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0 赤点と始まり
私はただただ、両手でテスト用紙を握りしめていた。高校3年生が始まった4月。学力確認のための小テスト。苦手科目の赤点。
「向井さん、震えてますけど体調悪いんですか?」
顔を上げると、目の前にはクラス委員で成績は学年トップ。ただし人形のように無感情、無表情のクラスメイト、草刈 七海が立っていた。
周りには誰もいない。赤点のショックで時が止まっていたみたいだ。全然気づかなかったけど、どうやら帰りのHRが終わりみんな帰った後のようだ。
「あ、大丈夫。なんでも……」
私の返事を遮り、
「あ、点数、赤点ですね……」
「ちょ……勝手に見ないでよ」
慌てて握りしめていたテストをグシャグシャに折りたたんで隠す。
「勝手に見てしまったのはすみません……謝罪します。しかし……」
その時の草刈七海の顔、たぶん一生涯私は忘れないだろう。あの、ハンターが弱っている獲物を見つけた時のような歪んだ笑顔は……




