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最前線  作者: TF


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Fine 道の果て 13

古い誰かが亡くなったのであれば、先輩がその方を見送ってくれている、あの人は何時だって死にゆく人の傍に寄り添ってくれるから。

勿論、他の人達も先輩と一緒に傍にいるでしょうね、現場が落ち着いているのであればなおさらよね。

古い付き合いだからこそ離れられないこともある、先輩が抱える悲しみは奥様に任せましょう、私がいくと変に見栄を張って空元気を出そうとするから、今は近寄ってはいけないわね。


重鎮のいない診察室から自分が良く使う診察室へと戻り冷蔵庫から小さな小瓶を取りだす。

中身は先輩が淹れてくれているコーヒー…香りが強く苦みと酸味が目を覚ましてくれる黒い液体を喉の奥へと流し込む

「何でかしら、今日のコーヒーは何時もに比べて…苦いわね」

時間が経ちすぎているからなのか、先輩が配分を間違えたのか、何故か胸に焼き付く様に苦みが体から抜けようとしなかった。


コーヒーが好きな先輩が自分の分のついでに私の分も淹れてくれることが多い、奥様は何方かというと紅茶派でコーヒーを飲んでくれないから寂しがっていたわね。

先輩がコーヒーが好きな理由をお聞きした時に少しでも集中力をとぎらせないためにカフェインっていう成分を体内に流し込む為のは、お歳になられてから集中力の低下と気が付くと眠くなるからって理由だったかしら?そんな事をおっしゃって誤魔化すように合理的な理由を並べていたけれど単純に香りと味が好きなのでしょうね。


姫ちゃんが新しいコーヒー豆を栽培して収穫したら真っ先に先輩に渡していたものね…


「ふぅ」

お腹の中にコーヒーが満たされ少しばかり張り詰めていた緊張の糸が抜けそうになるのをもう一度締め直す


ここでの仕事は落ち着いたとしても、まだ、気を抜いてはいけない、医療班のNo2としてではなく、この街の幹部としてやるべきことがある。

いいえ、愛する娘を失わせない為に動かないといけない、彼女が敵の王を倒すためにも必要不可欠なピースを動かせれるようにしないといけない。


魔力を送る為の塔


あそこを使えれるようにしないと魔力切れで姫ちゃん達が窮地に立たされていたら一大事よね。

医療班としての仕事が無い場合はこの街の幹部として行動しましょう!


次のするべきこと、やることが見えてくるとやる気もせり上がってくる。


ここから先は死の大地と考えて行動するために、外での勤務用に用意してある装備が入っているロッカーを開けて外に出る仕度を整えていく。



「っま、こんなもんかしら」

姫ちゃんが私の為に用意してくれた特別製の装備。

っていっても、何が違うのか覚えきれてないのよね~、単純に獣の牙や爪で布が切り裂かれないように頑丈になっていて、普通の隊服に比べたらより耐久性があるってくらいかしら?

あとは、内側にポケットが多くあるってことくらいなのよね

「そのぶん、重たいのよこのコート」

ただでさえ重たいものを二つも背負っているのにコートまで重くなってしまうと肩こりと腰が…四の五の言ってられないのはわかるけど辛いのよねぇ…

「っと、いけないわね!悠長に準備していないで外に行きましょう!」

外に出ていますっという紙を机の上に置いて何時ものように隣の診察室へ顔を出し

「先輩いってきますね!」

何故か先輩がそこにいるような気がしてつい声を掛けてしまい、空っぽになっている部屋の中で私の声だけが反響する。

「…さっき見たばかりじゃないの歳ね私も」

少々照れくさいと感じていると髪を引っ張られるような感覚がして振り返ると

『怪我すんじゃねぇぞ』

先輩が何時ものようにぶっきらぼうに返事を返してくれた、そんな気がした。

「はい、怪我なんてしません、いつもありがとうございます」

誰も居ないからこそ素直な返事を部屋に残し診察室を出ていく


廊下の外は静まり返っている…怪我人が回復して現場が落ち着いているのと息を潜めているからでしょうね。

廊下を歩き外へと通じるドアの前に立ち深呼吸をしてから外へ飛び出す

外に出てすぐに周囲の状況を確認するが特に獣の姿はなく魔力を送る塔へと重たい装備を背負いながら地面をめい一杯、力強く蹴る



道中で自爆タイプが爆発したような痕跡があり、道の横には獣の死骸が積み重なっていた。

その中に白衣が混ざっていたので何事かと近寄ると焼けて燃えた白衣や土まみれの隊服が転がっていて思い出す。


転がっている白衣や隊服に目印がつけられていないということに


つまりこの服は敵が着ていたって事かしら?

そんなことがあるのかしら?っと、首を傾げ乍ら進んでいくと隊服を着た人影が見えたので追いかけていき

「後ろからごめんなさいね」

声を掛け近づき肩を叩き

「今って状況、分かるかしら?」

小声で話しかけると綺麗な隊服を着た人物が此方へ振り返り顔を見た瞬間、身の毛もよだつような気持ち悪さで吐き気がせり上がってきた。

「そういうことね!!!」

バックステップで振り下ろされた剣を避け、敵との距離を作る!

『リビングデッドの術式よ、触媒が足りていないから自我は殆ど用意されていないわ、気をつけなさい!』

もう一人の私が注意をしてくれるけど遅いわよ!出会う前から言いなさいよね!!

具体的にどういう敵なのか教えてくれるかしら!?

敵との距離をとり、周囲に武器があるのか見回してみるが魔道具が入っている箱しか見当たらない、槍が欲しいわね…

『基本構造は土で出来てるわよ、特殊な奴は鉱石などで骨格を形成しているから土だけど骨があると思いなさい』

土?っということは土木建設みたいなものかしら?だとすれば私の持っている魔道具じゃ不利ね。

物理的に破壊するのが良いのかしら?

『対処方法なんて知らないわよ、如何にかしなさい』

如何にかって!貴女ねぇ!それは無いんじゃないのかしら!?

『触媒を砕き術式を行使している奴を潰せとしか言えないわよ!文句ばっかり言わないで其方でも考えなさい!』

正論で怒らなくてもいいじゃないのよ!ってあぶないわね!

薙ぎ払ってきた剣を更に下がって避ける、幸いに敵の動きは遅く避けるだけなら距離を取っていれば問題なく避けれる。

文句を言いあっている間も敵は動くのよね!これくらいの相手なら槍があれば倒せれそうだけど…

もう一度周囲を見渡すが使えそうな長物が見当たらない。


こう言うのは苦手だけど、そうも言ってられないわね、姫ちゃんならどうするのか、考えましょう。

敵との距離がまずは大事、ある程度、距離を空けて置けば避けれる!


一定距離を保つようにしながら策を考える


敵の肉体は土で出来てるの、よね?だったら、水、水を使えば?そうよ、水でどうにか出来ないかしら?

『止めておきなさい何処にそんな水があるって言うのよ』

いいアイデアだと思ったけれど、ごもっともね、水源がこの辺りにないし、水をかけている間、敵が大人しくしてるわけじゃないわよね。

表皮がダメなら骨組みを崩す?土だけで動いているわけではないでしょうから、人と同じ構造をしていると考えれば肉を支える骨は必須よね?骨の材質が解かれば多少は…あるわけないと思うけれど、取り合えず脳を揺らしてみるわね。


ポケットの中から暴徒制圧用の衝撃波を産みだす魔道具を取り出し敵に投げつける

鈍足な敵の頭に魔道具が当たり脳を揺らす衝撃波が発生すると、敵の動きが止まる

「あら?有効だったりするのかしら?」

動きが止まり、体が小さく揺れている。

脳震盪するのかしら?『違うわね、骨組みが振動して動けていないだけよ』成程!言われてみればそうね!

「崩す手段が無いのであれば」

敵の動きが止めてその間に距離を離せばいい、他力本願で申し訳ないけれど!戦士達が見つけ次第壊してくれるのを祈って

「念のためもう一度」

ポケットから魔道具を取り出してもう一度ぶつけると敵の動きが止まり手から剣が落ち、今なら距離を離せれるとその場から離れると「っげ」敵の数が一つなんてそんな手ぬるい事ないわよね!!


進んだ先には先の土人形が両手で数えきれないほどうろついていた


「目印が必要っていうのはそう言う事ね!!」

全員が隊服を着て剣を…いえ、槍も握ってるし槌も握っている、どうりで!道中にもこの辺りにも武器が無かったわけね!これで合点がいったわよ!人様の物を勝手に拝借するなんて教育がなってないわよ!!


長物どころか武器が何処にも見当たらなかったのは敵が奪っていたからなんて…そんなの想定してないわよ。

こういう非常事態になるのを想定して消耗品である武器を各地に配置しているのが裏目に出たわね!

獣が得物を持つなんてあり得ないからこそ、その辺に武器を設置出来ていたのに!今回はそれが良くなかったって、わけね!


武器を手にした土で出来てる人のような塊が首を360度動かして何かを探し続けている。

それも数えきれないほどの数が居て、何体かは此方を見て近寄ってくる。


数が数!一つの動きを封じたところで如何にかなるわけじゃないわ!ここは…この道から先へと進まない方が良いわね。


道を変えて、戦士や騎士と合流しましょう!武器が無い私ではこの先へと進むことが出来ないわ!


来た道を引き返し違う道から魔力を送る塔へと近づこうとしていると騒がしい音が聞こえてきたので其方へと走る方向を変える



大広間に通じる通りに出ると二の足を踏むどころかバックステップするかの如く下がる

「目印が必須じゃない!」

視界に映し出された色とりどりの戦士や騎士達、後方支援部隊の姿を見て自分が危険な状況であると思い出し慌てながら周囲を見渡していると魔道具が入っている箱を見つけ急いで駆け寄り願いながら開けると

「良かったまだあった、残ってたわぁ」

目印として染めないといけない為、箱の中には運悪く残っていない可能性が高かった。

運よくペイント弾を見つけることができコートを脱ぎ地面に置いてコートの背中部分にペイント弾を豪快に叩きつけてぶちまけた。

色は…えっと、これは緑ね!赤色なら直ぐにわかるのよね~。

色付けしたコートを羽織って、戦士達が大勢集まっている通りに顔を出すと鋭い視線が飛んでくるが色がついているコートを見て敵ではないと判断され鋭い視線が消える。

殺気だっている戦士達の極限にまで研ぎ澄まされた集中力を侮ってはいけないわね。

心臓が乱れるように暴れているのをそっと指先を当て落ち着かせながら後方支援部隊に近づき声を掛けると

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