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最前線  作者: TF


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Fine 道の果て 14

「え?No2?」「あ、ここにいたの?」

その一団の中に長の姿を見つけるのと当時に彼女もまた私を見つけ、驚いた声を出していた。

彼女と、そのすぐ後ろに大きな木箱が置かれているのを見て、この状況が何を意味するのか理解する

「進めていないって事かしら?」

「はい、敵の数が多すぎてこれ以上前に出れないのです」

もどかしそうに何度も前を見ては此方を、いえ、後ろを見ているわね。

彼女がするように進行方向を見ても結果は変わらない、敵味方が混戦乱戦状態


ただ、驚いたことに此方には獣の姿が殆ど見えない、これで獣達も居たら非常に戦線は混乱を極めている。幸いにして進行方向には土で出来た人の形、えっと、土人形でいいわ、その土人形が主な障害物となっている。

危険性は低そうで動きも鈍く左程脅威ではないだけれど、数が減る様子が無い。


戦場を見ていると、土人形は戦士や騎士によって砕かれて崩れているけれど、直ぐに他の場所から湧き上がって迫ってきている

ひとつ壊してもすぐにまた、新しく産まれ出てくる…

ただ、幸いにして新しく出てきたやつは何も持っていない土人形もいるから、戦士や騎士達からすればもっと危険度は落ちる。でも、数が減らないから作業するために編成された非戦闘員が前に進むことが出来ないってことね。


「何とかして強行突破できないものかしら?」

「そうしたいのはやまやまなのですが、アレを見てください」

長が指を刺す方には騎士が土人形を槍で胴体を貫いていた

「…?」アレの何を見れば?胴体を貫けば…そういうことね。

槍で胴体を貫こうがアレは人ではない、槍が刺さろうと前へ向かってくるどころか槍を奪おうと自分の体を溶かし槍に絡みつかせようとしている、騎士も槍を奪われないように必死に引き抜こうとしているが引き抜くことが出来ていない。

それを見た近くの戦士達が槌や剣で絡みつこうとしている土人形を壊して救出している。

「得物を持っている持っていないは大きな影響もなく、驚異の部分でみれば関係ないのね」

「はい、下手に攻撃すると奪われかねなくて、今は此方の数が上回っているので」

何とかなっているって状況ね、この状況で獣共が合流してきたら情勢は一気に悪化して崩されかねない。

「獣がいないのが救いね」

「いえ、そうでもないんです、実は、矢文でこの先がどうなっているのか教えてもらっていまして」

此方をどうぞっと文を渡され開くと


[獣数多し塔の奪還困難極める、応援求む]

乱雑でなおかつ急ぎで書かれているけれども、字を書きなれているのか整った綺麗な字が描かれていた。

「メイドかしら?」

それにしては、妙に達筆ね?こんな豪快で綺麗な文字を書いたかしら?

「はい、恐らくメイドさんがこの先で戦っていると思われるのですが」

此方に合流しようにも後ろにも下がれず前にも行けず、息を潜めているって状況でしょうね。

「戦ってはいないわよ、息を潜めて救難を待ってるってところよ」

「はい、そうですね」

苦笑する辺り長も同じ意見ってことね

「後は此方も」

もう一つ渡された文を開くと

[研究塔方面、獣多数、応援求む]

「こっちの方が一大事じゃないの!」

恐らくメイドのやつが隠れながらもどこかのルートで応援を求めに行こうとしたけれどいけなかった。

そのうちのひとつとして研究塔へ行く道にも向かったけれど、獣が居て通れなかったってことでしょうね。

でも、あいつって弓って得意だったかしら?こんな乱戦状態での矢文って難しくないかしら?

これ、メイドのやつが送った文では無さそうね。誰かしら?

「ですが、研究塔と此方のルートはまだ健在で塔の状況は逐一報告を貰っていまして」

「報告に出れるっということは、まだ、混乱を極めていないってことね」

外に出た時は結構、緊迫した様な雰囲気を感じたけれど?本当に大丈夫なのかしら?

「はい、まだ指揮系統が生きていますし、此方にも連絡をしてくれるので余裕はあると思います、塔には魔道具も豊富に揃っていますし」

バリケードも完璧だったものね、危険だとわかっていても、病棟もバリケードをこさえるべきだったかもしれないわね…皆なら何とかしてくれるわよね?

「病棟なら大丈夫ですよ、認識阻害の術式が展開されていますので並大抵の獣では見つけれないですから」

心配しているのが伝わってしまったのか、知らない情報を教えてくれる。

「あら?そうなの?」

初耳ですけど?

「外で拠点を築く際に使われている術式で定期的に姫様がアップデートをしてくれていますので、この街の中では病棟が最も安全ですよ。ただ、病棟に一度でも踏み入れたことがある人には病棟が見えていますので、中に何かしらの理由で獣が入るとその獣を絶対に殺さないと他の獣に見つかってしまうリスクがある術式なんです、術式に理解がある獣が居るとは思えれませんが、自爆タイプとかにでも侵入されたら一発で術式が破壊されかねないですね」

知らなかったわね…思い返してみると病棟って安全だったのよね、鳥とかの強襲も姫ちゃんが来てからは一度も無かったわね。

あの子、私の知らない間にそんなことまでしてくれていたのね。

「知らなかったわ」

「知らないのは当然ですよ、下手にその術式をいじられると困るので技術班の中でもごく一部の人しか知りえていませんもの、幹部と言えど、全てを知る必要は無いからっと姫様が」

そうね、こういう大事な部分は秘密を知る人が増えれば増えるほどリスクが高くなるってことね。

「それに、一部、信用の出来ない幹部もいらっしゃいますので」

「…そうね、あいつね」

お互いはぁっと深い溜息を零し「貴族って嫌ですよね」不敬な言葉を吐き捨ててから顔を上げ

「お知恵をお借りしたいのですが」

気持ちを切り替えこの先へと進む決意が伝わってくる。

彼女にしては、決意が高まりすぎている気がするのよね、大丈夫かしら?

「指揮とかそういう類、私は出来ないわよ?一応、若い頃に最低限の教養として講習は受けているけれど、講習で受けた内容は人対人であって、例外中の例外では意味をなさないわよ?」

貴族が通う学院で教養の一環として過去の戦で学び得た教訓や作戦内容を履修することがある、私が知ってる戦術なんてその程度しか知らない。

「それ私も同じです、知恵をお借りしたいというのは、このまま前進するべきなのか、それとも後退して研究塔から獣達を蹴散らしてメイドさんの方へと進むのが良いのかっという判断を委ねたいのですが」

幹部として決定権を持っているのはこの場だと私っと言うことね…

全てを見通せているわけでもないにどう判断しろと?って言いたいけれど、責任を取るのが幹部としての役割でもあるのよね。

だったら、まずは情報と意見が欲しいわね。

「貴女は何方が正解だと思って?」

「あいにく、私は…何方も正解は無いと思っています」

前を見て後ろを見て、眉を顰めている

長らしいわね、誰かが死ぬのは嫌だって言いたいのかしら?

それは、皆も同じよ。

「犠牲が出るからってことね」

「…」

声に出さなくても顔を見ればわかる、前へ強行突破したとしても、戦士や騎士達無しで塔の奪還をすると言うことはそういうことになる。

かといって、下がって獣の群れが集まり研究塔へと向かっているのを正面から蹴散らしていくなんてどう頑張っても誰かは死ぬ。

「人の数が圧倒的に足りていないのよね」

「はい、前にいる戦士や騎士、合わせておよそ50名、病棟の中に待機してもらっているのがおよそ20名、把握しているのはそれだけですが、他のエリアにも多くの人達が戦っています」

戦える人達は総勢300~350名だったわよね?まだ余裕があるのではないのかしら?

「外に150名ほど出ていますよ先行部隊と門を守る部隊、死の大地を巡回している人達、それと王都を守る為なのか、王都とこの街を繋ぐ大通りに5名、お忘れなく」

「ぁ、そうだったわね、詳しいじゃない」

そんな細かく配置されていたのね、初耳よ?

「愛する旦那を良く知るのは妻として当然ですもの」

胸を張って自慢げに!こういうところが少々癪に障るのよね~、のろけてくるじゃないの…

ティーチャーが、そういう細かい配置の指示を出してくれていたってことね。

「そうなると、やっぱり、これから先、動くにしても人の手が圧倒的に足りないわね」

「はい、一点に集中すれば王都に獣が流れ込むのは目に見えています、状況は不明ですが術式研究所にも恐らくですけど、多くの戦士達が守りに向かってくれているはずです」

術式研究所も研究塔もそんなに離れていないけれど、確認が出来ない状況にまで敵が攻め入ってるってことね。

どうしたものかと悩んでいると長が目を細め何処か一点を見ている?何かあるのかしら?

同じように目を細めてみても獣が数体歩いているのしか見えないわね、あれは…鰐、かしら?背中に立派な棘一つ二つ生えている辺り両腕と両足、更には尻尾の力を使って背中を向けて飛び掛かってくるやつね。

あの距離なら警戒する迄も無いんじゃないかしら?何を見ているのよ?

「認識阻害の術式を解いても大丈夫ですよ」

認識阻害の術式?誰か来ているのかしらと首を傾げると

「ひゃ!?はい!」

何も無かったと思っていた場所から薄汚れてしまったメイド服が見え

「小娘!?」「やはりメイドさんでしたか」

こんな場所で合流するなんて思っていもいなかったからつい驚いてしまう。

「あの、お二人はどうして此方に?」

メイドのやつも私達がここにいることが不思議なのでしょうね。

「私は応援よ」

細かく説明するのも面倒なので端的に説明するとしかめっ面で睨まれてしまう。

何よ…少しでも手が足りてないのなら助けに行くのが幹部としての役割でしょう?

「塔の修繕へと向かおうと思っていまして、その」

後ろを振り返るように土人形の方を見て、私も頷いてしまう。

アレを突破するのは不可能よね。

「其方の方からは向かうのは得策ではないです、かといって」

メイドも土人形の方へと視線を向けて小さく首を振っている、流石ね、あの僅かな仕草と言葉で理解したのね。

最後に言い淀んだのはどうしてかしら?そもそも、貴女、何処からどうやってここに辿り着いたの?

「あの、メイドさんは塔から来られたのですよね?」

同じ疑問を彼女も抱いていたのね、私が質問するよりも貴女の方が小娘も素直に答えてくれるから、ここは任せましょう。


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