おまけ 幼い自分から旅立つ日
加筆修正完了!
誤字脱字の見逃しあれば教えてくださいませ~><;
後、後書きにネタバレなどが含まれてる設定資料とかも残していこうかと思っていますので
初見さんは見ないようにしてくれますと嬉しいです!
うんしょっと…今日も、井戸から水を汲んで、桶に入れて、運ぶ。
運んでいると、お隣に住んでいる昔からの友達で、頭が坊主で、家業は牛飼いとか、農作をしている男の子が近づいてくる。
なんだろう?手伝ってほしいことがあるのかな?
この間、手伝いは当分、大丈夫っていってたよぅな?…
何用かと考えていると、ふと最近の話題を思い出した
あ!ぁ~、あれかな?
最近、この辺りである噂がずっと話題になっているの、王子様が何か準備をしてるっていう…僕たちの周りではそんな噂ばっかり。
今日もその話かなって思っていたら違ったっていうか、違わないのかな?
「今日が出発らしいんだ!一緒に見に行こうぜ!がいせんぱれーどってのするみたいなんだぜ!!」
目をキラキラ輝かせて誘ってくれるのは嬉しいんだけど~…
お仕事あるからなぁ、王子様に興味ないなぁ…
折角のお誘い、興味が無くても付き合うべきなのだろうけれど、日課のお仕事が終わっていない、怒られると嫌だしなぁっと、どうしようかと悩んでいたらお母さんの声が聞こえてきた。
どうやら、先ほどの会話がお家の中まで聞こえていたみたい
「お小遣いあげるから行ってきていいよ!!帰りに出店も出てると思うからみんなとたまには遊んできなさい」
窓からお小遣いの入った袋を投げてきた!?
両手が塞がっているのに!?
どうやってキャッチしようかと慌てていると、僕の代わりに友達がキャッチしてくれた。
「ありがとう!桶の水を入れてくるから待ってて!」
友達にお礼を言って、急いで桶の水を水壺の中に入れて戻ってくると友達も友達のお母さんからお小遣いをもらったみたいで喜んでいた。
二人で駆け足で向かっていると、近所の子供達が次々と目的の場所へ向かって集まってくる。
進行方向が同じだし皆の会話も同じだった、きっと、みんなの目指す場所は一緒みたいで、気が付けば近くに住んでる子供たち全員が集まってきていた。
視界を見渡す限り、普段こんなにも全員が一か所へ向かって向かうことなんて無かった、近所の皆がある場所に向かって進んでいる!その中に気になる人物の姿が見えた。
あ!あの人もきてる!挨拶しよ、ぅ?ぅ…うん。
気になる人の姿が見えたけれど
やめとこう…近寄らないでおこう…
声をかけてはいけない、ううん、かける勇気が私には無い
あの人はね、昔からよく遊ぶ友達のグループの中で、ね、その、ほら?うん…一番優しくてね、みんなのまとめ役とかしてくれる人なんだけ、ど、ね?
その、出来れば、一緒に見て回りたいけど、さ~…
今日は、いいや、だって、隣に近所で一番かわいいって有名な子と一緒にいるんだもん。邪魔しちゃ、いけないもんね…
見えてしまった胸が痛くなる光景に、つい、足の力が抜け、前へと走る力が落ちていく…
足が遅くなったからなのか坊主の子が腕を掴み前へと引っ張ってくる「あっちのお家のさ、2階に行くための階段が子供達でも見やすい高さだから」こっちを見ないで、案内してくれる。
力強く握ってくれる腕の力に前へと向かおうとする力を貰えた気がした。
彼に案内されるまま進むと、気が付けば、これから先パレードが通るであろう場所がよく見える場所に到着していた。
周囲を見渡すと子供だらけ…わた…僕達よりも早くに集まって場所取りをしていたのか、みんな各々で見やすい場所を見つけ肩を並べていた。
周囲の様子を見て何処か隙間が無いかと慌てて探す、こういうときにとろくさい僕だけがまだ、場所取りが終わってなかった、周囲を見ても隙間が無くどうしようと困っていたら腕を引っ張って連れてきてくれた坊主の彼が手招きをしてくれていた。
「ほら!もっと詰めろって!ほら!ここ座れって!」
近くに行くと僕のスペースを確保してくれるようにと近くに座っていた人を押してスペースを作ってくれた
申し訳ないなっと頭を下げて確保してくれたスペースに座ると前がよく見えた。
目の前に広がる光景に驚き目を開いていると
「こうすりゃみれんだろ!」
豪快な笑顔で私…僕の顔を覗き込んできたので頷きお礼の言葉を言うと
「ぉ、おう!気にすんなって!いっつも家の手伝い、手伝ってくれてっから!お礼だ!お礼!」
照れくさそうにそっぽを向かれてしまった。
さぁ!場所取りも終わって、パレードが始まる!まで、まだまだ時間があるみたいなので、友達といつもみたいにあほみたいな事でじゃれあって待っていると、周囲から大きな声が聞こえてきた。
なにか始まったのかと耳を澄ますと
どうやら、王子が王国の精鋭たちと一緒に街の外へと出発するみたい!!
立ち上がって声が投げかけられている方へと体を向けると、大きな大きな歓声の中で鎧に包まれた人達が王国の門に向かって歩いていくのが見えた。
いったい、どこに向かうのだろうか?
彼らの向かう先へと視線を向けると…ある門が見えた。
あの門の先は、何処だっけ?…
ぁ、お父さんがいる街に向かう街道だ!
そっか!王子様が騎士様達を連れて始祖様と同じように人類に仇名す敵を倒しにいくんだ!ぁ!凱旋パレードってそういうことか!!
王子様が出向くのなら…
これできっと、お父さんは帰ってくる。
─── そう思ってしまうと期待で胸が膨らんでいった…
─── これが、お父さんを奪ったパレード(元凶)だなんてこの時の私は知らなかった…
いろんな場所でピューピューっと口笛が聞こえて、拍手が鳴りやまなくて、色んな花弁が空中を舞っている!すごく綺麗!!
何も知らない私は…
僕もがんばってー!っとか、応援してるー!っとか、周りに合わせて声を出し続けていた。
友達も一緒に叫んでいるけどなんて叫んでいるのかわからない言葉だった。
喉が痛くなるまで叫んでいると、一際大きな大きな馬車が前を通った。
その場所は他と違ってお馬さんが四頭もいて、四頭で引いていた。
きっと、あの中に王子様がいるんだぁってそう思い、馬車の窓に注目する。
だけど、カーテンのせいで、よくみえなかった。
でも、窓から手を振っているのだけは見えた!
王子様が敵を滅ぼしてくれたらお父さんもずっと、家にいてくれるから楽しみ!!
毎日、家にいたらお小言ばっかりじゃなくて遊んでくれるよね?
楽しみー!!僕も周りの子が自慢してた、お父さんと一緒に釣りにいったり!果物とか野草とか採りに行きたかったの!!楽しみだなぁ。
たまに、医療の本とかおねだりしたのを買ってくれるけど、もっと一緒に遊びたいなぁ。
王子様が門を通って見えなくなるまでみんなで見届けたら、いっぱい居た人たちも何処かにいっちゃった。
でも、近くに屋台とかいっぱい出てて、坊主の子と一緒に屋台でたっぷり遊んだよ!
劇とかもやるみたいだから、屋台で買った飲み物を片手にもって、椅子に座って待っていたら、近所のみんなも聞きつけてきたのか全員が集合してた!
劇の内容は、始祖様のお話だった!
よくお祖母ちゃんが読んでくれた絵本の内容だった!
あちこち違うのは、きっと色んな始祖様の絵本が出てるからそのどれかなんだろうなぁ…
始祖様って槍使いだよー?剣なんて使わないもん。
まったく!そこはちゃんとしてほしかったなぁ!!
そう思っていたのは私だけではなく色んな人が思っていたのか、帰り道にあの劇のあれって違うよなー!っとか、あのシーンかっこよかったよなー!っとか話題は王子様のことよりも、劇の内容ばっかりだった。
どうして、王子様の話題がでないのか…理由は単純で王子様が見えなかったから。
だってさー、王子様の手しか見えなかったし、騎士様達の姿も鎧兜が見えただけで、ほとんど見えなかったんだもん。話題にしようがないよー!
でも、皆でお祭りに行くなんて滅多にないから凄く楽しかった!
お家に帰ってくると、お母さんが裁縫室で、両膝をついてお祈りの姿勢でずっと祈りを捧げていた。
珍しい、お家で祈りを捧げるなんてしたことないのに?なんでだろう?
集中してるみたいだったので、二階にあがって絵本を読むことに…
最近、むつかしい文字も読めるようになったから、お祖母ちゃんが始祖様の絵本、全部貸してくれたんだ!
絵本を読んでいたらお母さんも祈りが終わったのか2階に上がってくる
「あら、帰ってきてたのね、楽しかった?」
読んでいた絵本を閉じてお母さんの近くに行ってパレードのことをいっぱいいっぱい伝えると
楽しそうでよかったわっと頭を撫でてくれた。
それから、毎日、朝と夜はお母さんがずっと祈りを捧げていたから僕も一緒に傍で祈りを捧げることにした。
どうも、お母さんは集中できていないみたいでお洋服を作る手も止まっていてずっと、そわそわと落ち着きがなかった。
急ぎの仕事も無いみたいだし、大丈夫だと思うけれど、何でそんなに落ち着かないのかな?
家にいるとお母さんがずっとソワソワして落ち着きがないので、昼はお外で遊んだり、本を読んだりして過ごしてたの。
そんなことをね、坊主の子に、相談してみたら、
「お前んとこのとーちゃんも一緒に戦うからじゃねぇの?」っと鼻をほじりながら言われて気が付く!
そうだよ!お父さんもきっと王子様と一緒に戦いに出てるはずじゃん!お父さんいっつも自慢してたもん
「父さんはね、あの街で一番強いんだぞ!」って、そうだよ…一番強い人が一緒に戦いに行くのは当然だ!
ぁ、だからお母さん心配で心配で気が気じゃないのか!
それじゃ、今僕にできることは、お母さんの代わりに出来ることをしてあげないと!
友達にお別れの挨拶をして家に帰ると、お父さんのお洋服をじっと抱きしめながら動かないお母さんが居た。
お母さんが家の事しないのなら僕がすればいいだけの話!僕だって料理の一つや二つくらい出来る出来る!
台所で料理を作ろうと材料を探してみると、ろくな材料がなかったので
お隣に住んでいる坊主の家に余った野菜とかないかなーって尋ねに行くと友達のお母さんが「これ持っていきな!」って、シチューの入った鍋ごと持たせてくれた。
こんないっぱいもらえないよって言うと、「いつも手伝ってくれてるお礼!たまには甘えておくれよ!」といいからもっていきなさいって背中を押し出された。
僕も、お母さんも、はんぼうき?っとか、お仕事がいっぱいっぱいじゃないときで、手が空いてるときは一緒に畑を耕したり、牛さんの乳しぼりとか手伝ってるだけなのになぁ。
毎日手伝ってるわけじゃないのに、それによく牛乳も、お手伝いした時にもらったりするのに…いいのかな?こんないっぱい。
お鍋を抱えて家に戻ってくると、お母さんはまだその場で動かないでじっとしてた。
お鍋を温めるために薪をくべて火をつける。
シチューが温まってきていい匂いがお家にいっぱいに広がるとお母さんがキッチンに顔を出してきた
「あなた、それどうしたの?」
うん、そうなるよね、事情を説明すると
「お隣さんにお礼をいってくるわね」
トントンっと階段を下りてお隣さんのお家までお礼にでかけていった。
そんな毎日が続いて、王子が出発してからえっと、ん?2週間たったのかな?どれくらいたったっけ?わかんない…
いつもだったら、お爺ちゃんの家に勉強に行くんだけど、最近は長いことお爺ちゃんのお家にいってない、何か仕事が大変みたい。
あ、でも、何かで、行った気がする。あれ?いつお爺ちゃんのお家にいったんだっけ?思い出せない…
家の手伝いもないから、最近はずっと、朝はお隣さんの畑を手伝ったり、近くで畜産をしているお家の豚さんのお世話したり、野菜の収穫を手伝ったりして過ごしている。
お手伝いが終わった後は、お爺ちゃんの家でしていたようなトレーニングを一人黙々と行っていく。
お母さんはどんどんと部屋からでなくなってしまった、家のことは僕がすればいいし、周りも気を使ってくれて色々と差し入れしてくれたりするので、なんとかなってる。
お金もお父さんがいっぱい稼いでくれているみたいでたぶん、大丈夫だと思う。
なので、僕は、僕のすることをする
例え、お爺ちゃんのお家で勉強が無くても
少し離れた広場でトレーニングは出来る。
頑張ろう。
ふと、トレーニング中に遠目で、この間、色々と相談された人が女性の人と仲良さそうに手を繋いで何処かに歩いていくのが見えた…
どうして、こんなにも胸が痛いんだろう…
わかってる、僕、あの人が好きだったんだ。
初恋ってやつなのかな?なんてね、これで何回目の恋かな?だんだんと恋がどんな感じなのかわかんなくなっちゃったかも…
恋は全部、胸が痛いだけだからしたくないのになぁ…
パレードが始まる結構前に相談されてさ、まさか、パレードまでに、もう仲良くなってるなんて思わなかったなぁ…
良い時間にもなってきたので、お夕飯を作らないといけない。
トレーニング道具を置いて玄関に向かっていくと、
馬車がこっちに向かって走ってくるのが見えた、昔からよく見ている馬車だから、その馬車がどこに向かっているのかすぐにわかる。
お爺ちゃんのとこで使われてる馬車に執事さんだ。
何事かと待ち構えていると執事さんが今まで見たことのないくらい辛そうな顔をしている。
声をかけようとしたら玄関が隣近所まで聞こえるくらいの大きな音を出しながら開く。
「…ぁ」
お母さんがすごい勢いで出てきたと思ったら執事さんを見て泣きそうになっている…
僕もこの只ならぬ雰囲気から嫌な予感しかしなかった。
二人で何も言わず馬車に乗りこむと、馬車が悪路とか関係なしに馬を走らせる。
言わなくてもわかる、お父さんに何かあったんだ。
馬車の中では誰も話そうとしない、お母さんも自分の服をぎゅっと握りしめてずっと俯いている。
僕は、こんな時にどんな顔をすればいいのか知らないし、どんな風に声をかけたらいいのか教えてもらっていない…
お父さんは肝心なことは教えてくれなかった…
お爺ちゃんの家に着くと、馬車から降りて案内された場所にいくとテーブルを中心に親戚一同が集まっていて、テーブルの上には
折れた片手剣が置かれていた。
お母さんがテーブルの前に立ち、片手剣を持ち上げると大きな声で泣き崩れた、お母さんの周りにお祖母ちゃんたちが集まり、肩を抱き寄せ一緒に泣き始めた…
その後は、葬儀も何もなく、ただただ、何事もなく日々が過ぎていった。
葬儀がない理由?遺体がないんだ。後日、骨だけが届けられた。
どうやら、向こうの街で葬儀が行われたみたい…
お父さんの装備はお母さんが受け取りを全部断っていた、理由は知らない。
ずっと、塞ぎ込んで夜な夜な独りで泣いているお母さんを、僕は……どうやって慰めればいいのかわからない、僕が出来るのは
お母さんの代わりにお金を稼いだりするくらいしかない、だって、頼りになるお父さんはもういないんだ。
元々、興味があった医療の本を読みながら、体も鍛えていく。
医療の本はお爺ちゃんの家にあったやつを借りて読んでいる。
もう、お父さんが買ってきてくれることはないから。
お爺ちゃんが、お家においで独りでは辛いだろうとお母さんを誘ったりするのだけど、お母さんはこの家から離れたくないそうだ。
代々、お母さんの一族が受け継いできた仕事に家、それに、お父さんとの思い出が詰まったこの場所から離れたくないそうだ。
ある日、初めて見る綺麗な女性が家に尋ねてきた…初めてのはずなんだけど、どうしてかわからないけれど、何処かであったことがあるんじゃないかなって思ってしまった。
その日は、お爺ちゃんの家で勉強があるので、お母さんを独りにするのは不安だったけれど、お爺ちゃんやお祖母ちゃんが言うには、一人になる時間も必要だろうって。
僕はその言葉を信じて馬車に乗り込んでお爺ちゃんの家にいく。
お母さんとよく知らない人を二人っきりにしてしまっても良かったのだろうか?ずっと馬車の中で悩んでも答えが出なかった。
きっと、お母さんの遠い知り合いだと思う、悪い人じゃないと思う、だって、身に着けている服もすごく洗練されていてお化粧とかもすごく綺麗だった。
もしかしたら、お母さんのドレスを購入してくれていたお得意さんかもしれない。
不安も抱えながらお爺ちゃんの家に向かっていく…
お爺ちゃんやお祖母ちゃんがお母さんの様子を教えてほしそうにしていたので現状を伝えると悲しそうにしている。
金銭面でも何でもいいので、頼りにしてほしい、何かあれば絶対に守るから何でもいいので相談をしてほしいっと全員から懇願された。
今、家にお金がどれくらいあるのかなんて僕も知らない。とりあえず、言われたことを伝えようとは思う。
お爺ちゃんの家でのトレーニングと勉強も終わって、家に帰ると、昨日見た知らない女性の姿はなかった。
泊まりに来たってわけでもないみたい、お母さんはどうしてるかな?家に入っていくとお父さんの服を抱きしめながら泣きじゃくっていた。
昨日はご飯食べたのかな?キッチンを見てみると昨日家を出るときから何も変わっていなかった。
慌てて何か作ろうと思って食材を見るけど何もない…
お隣さんのところに行って何か野菜とか、食材が余ってないか慌てて聞きに行くと、この惨状が周辺には伝わっているみたいでお隣のお家にはいろんなお家のお母さんたちが集まっていて、何でもいいので頼りにしてほしいっと涙ながらに手を握られ皆から一斉に言葉を押し付けるように投げかけられた。
【この周辺の人達は昔から貧しくても支えあって生きてきた。
貴方達、一家にも私たちは全員、数多くの世話を焼いてもらっている、ずっとみんなで支えあってきたの、貴方のお祖母ちゃんにもお世話になってきたの。
惜しい人を亡くしたけれど、あれはしょうがないのよ、防ぎようのない事故だったのだから。
悲しみの連鎖を止めれるのなら止めてあげたい、でも、私達じゃ出来ることが限られている、だから、些細なことでもいいから頼ってほしい】
皆の熱い気持ちを受け取ってありがとう、そんな言葉しか出てこなかった自分の学のなさに情けなくなりながらも、野菜などをみんなから受け取り
急いで帰ってご飯の支度をした。
貰った今日とれたばかりの牛乳を温めてお母さんに渡しにいく、涙で目も腫れあがっていて、衰弱しているお母さんにそっと温めたミルクを渡すとゆっくりと飲み始めた傍にいてあげたいけれど、先にご飯を用意しないと。
私が傍から離れるとまた泣き声が聞こえてきた。
料理を作りながら初めてお父さんを罵った
気が付くと私も涙を流しながらお父さんを心の底から罵ってしまった。
どうして、死んでしまったのか、お父さんだったらわかるでしょ!お父さんが居なくなったらお母さんがどれだけ悲しむのか!!知ってるでしょ!!
なんで死んだの!?どうして危ない街にいったの!?なんで!!
料理が出来ると同時に涙を封じ込める、私が泣いているとお母さんも辛くなる!!
今だけでもいい!私の心を鋼のように固くして!気丈にふるまうの!!
私だけでも
お母さんを支えられるように
絶対に心を強く持とうと決心した
そこから、半年?一年?ずっとお母さんは塞ぎ込んでいた、仕事もするけれどすごく遅かった…
なので、オーダーメイドの特注品はしばらくは受けないで依頼は断る形になってしまった。
依頼主もお母さんの惨状を理解してくれて、今の状態で華々しいドレスなんて創れないだろうとご理解をいただけたので、お母さんがいつも通りになったら発注してくれることに。
この間の、お母さんの創るお洋服はすべて、何処かしら悲しみや絶望の雰囲気をまとっている。
一部のお母さんのコアなファンは恐らく、一生このような愁いを帯びた作品は生まれないだろうと言って嬉々として高値で買ってくれた。
そのおかげもあって、生活が金銭面で困ることはなかった。
私も出来る限りの仕事をあちらこちらで手伝ってお金を工面しているので問題はなかった。
一番の不安が、お母さんが突如、何処かに消えてしまいそうで…
私を置いてこの世を去りそうで怖かった。
そんな状態のお母さんをお爺ちゃんもほっておけないのか、一緒に住まないかとお爺ちゃんからお誘いを受けたけれど、家から離れる勇気が持てないってことで、迎えに来てもらった執事さんには、悪いけれど毎回断っている。
執事さんがお爺ちゃんからお金を預かっているからっと、渡そうとしてくれるけど、お金は受け取れないよ。
生活に困ったらちゃんと助けてほしいっていうから、今は大丈夫と断っている。
お母さんと私だけ…二人だけの生活。
それがずっと続くとお母さんも少しずつ変化してくれた…
お母さんは少しずつ笑ってくれるようになったけれど、笑顔がぎこちない。
少しずつ、少しずつだけど、私の中でふつふつと湧き上がる感情があった、認めたくない感情。
お母さんをこんな気持ちにさせてしまったやつが憎くて仕方がなかった。
お父さんを殺した存在が憎かった、許せなくなっていた、どんな手段でもいいから復讐したくて仕方がなかった。
鏡の前に立つと大きくなった自分の姿に驚いてしまった…
そうか…もうそんなにも月日が経過したのか。
お父さんが月の裏側にいってから、2年?そうか、もうそんなに経つんだ。
私の体もどんどん大きくなった、もっとお父さんに似て筋肉が大きくなるのかなって思っていたけれど、お母さんよりも気持ち大きいかな?ってくらいだった。
いっそのことお父さんみたいに筋肉が膨れ上がってくれた方が吹っ切れてよかったのに…
私の体が憎い
お父さんを殺した奴が憎い
お母さんを悲しませたやつが憎い…
お母さんもあの時からすごく痩せてしまった。
殆ど肉が無くて、骨と皮だけみたい。
栄養のある物を食べさせたいから色々と市場で買って料理を作るけれど、食欲がないみたいであまり食べてくれない…
一年ほど前ぐらいから、お母さんが私は大丈夫よ、貴女のしたいことをしなさいって背中を押してくれた。
独りにしても大丈夫なのか何度も念を押すように確認して、ご近所さんに私が居ない日はお母さんを見ていてほしいとお願いして。
私は私の目的の為に動こうと決心する。
その為に、お爺ちゃんにお願いして色んな勉強を見てもらっている。
術式に長けている王宮の一族の人に頼んで術式を学ぶ
医療の知識をもっともっと知りたいので王宮御用達のお医者様から医療の知識を学ぶ
いざ、戦闘になったときに備えてお爺ちゃんから戦闘のイロハを学ぶ
学べば学ぶほど、私の中にある殺意が膨らんでいく。
お爺ちゃんはいつもいう
「絶対に命を投げ出すようなことはしないように」
わかってる、絶対にそんなことはしない。だって、あいつらを一匹駆除した程度じゃ、ダメ。
根本を、根元を根こそぎ駆逐しないと終わらない。
悲しみの連鎖は終わらない!!
殺してやる!
絶対に殺してやる!!
私達から幸せを奪ったあいつらを許したりするものか!!!
必死に学び必死に体を動かし、必死に…殺意を膨らませ続けた…
15になったときに、お爺ちゃんにお願いした。
お父さんと同じように僕もあの街で死にたいって
頬を全力で叩かれた…
頬を叩いたお爺ちゃんが悲しそうに
「この程度の攻撃が避けれないようじゃお前は闘いに向いていない。」
暗に諦めろって言いたいのだと思う。
わかってる、私も長い間、お爺ちゃんに指導してもらったからわかる。
私の中途半端な肉体じゃ限界だと、どう頑張ってもお父さんを殺したやつをこの手で殺せるとは思えなかった…
困ったことに私はお父さんほどの戦闘に対するセンスは無かった。
困ったことに私は術式に対する理解力も平民並でセンスが無かった。
自分が戦闘に向いていない事なんて十二分に理解させられてしまっている。
それでも!私があの街に行く理由がある!
ひとつだけ…一つだけ!私には才があった!ううん、違う。
長年の積み重ねがここで活きた。
「わかってるよ!!戦士としてはいかない…医療を扱える人としていきたい、あそこで怪我した人を命がけで助けるんだ」
そこから、私の中で燻ぶっていた熱が火を吐く様に溢れ出てきた…
その結果、巻き込まれて死んでも悔いはない!!
私がこの手で助けた人が!私の代わりにあいつらを駆逐してくれるのなら私の復讐はそこで完結する!!
他にも多くの感情を…
全力で叫んだ
全力で涙を流した
全力で想いをぶつけた
その叫びにお爺ちゃんもわかってくれたみたいで、
「戦士としての才能は残念ながらお前にはない、だけど、母親と共に研鑽した縫合技術によって培われた指先の器用さ、持ち前の頭の良さ、医療班であれば確かに、お前は輝くだろう、だが、お母さんはいいのか?」
最後の一言が私の心を抉る…
良くないよ…たぶん、私があの街で死んだらきっと、お母さんは静かに自分の人生に幕を下ろすと断言できる。
それでも!私の中にくすぶり続けて我が身をも焦がし焼き尽くそうとするこの感情をぶつけない限り
私の心が先に私の体ごと!燃やしてしまう!
何もせずに燃え尽きて死んでしまう!!
お爺ちゃんの言葉のせいで黙っていると
「…全力で俺らが彼女を見守り支えよう、それが愚息の想いであると…わしも思うさ、行ってきなさい。きっとあいつが生きていたら孫ちゃんを引き留めるなんて愚行をしてしまったら怒られてしまうな…せめて、向こうでは笑えるようになるんだぞ、あいつは復讐を望んではいないだろうからな」
ぎゅっと私を抱きしめてくれた…その優しさに私も涙が止まらなかった…
16になったとき、私は、僕に戻り、前に進む、お母さんは悲しそうに見送ってくれた。
安心して、絶対に死ぬような愚かなことにはならないように全力を尽くすよ。
行こう、お父さんの魂が眠る大地へ…
僕は、僕のやり方で復讐する!
生涯の目的、目標としては…
あいつらを完全に駆逐し、お父さんの無念を晴らす。
その全てが終わってから、僕は私になればいい。
お父さん、もし、まだ月の裏側にいなくて、傍にいるのなら見守っててください。
貴方の、息子、娘は…
死の大地に向かいます。導いてください…
私の、僕の夢、願いをすべて叶えれるように…
自分で思ってしまった内容に笑ってしまいそうになる。
それは、さすがに、強欲すぎるか…
どれか一つでもいいよ、っていっても、第一前提にあいつらを駆逐しないと私の夢は叶わないから。
あいつらを滅ぼす願いだけでいいから叶えてね…
感想、評価、いいね、Xのフォローよろしくお願いします。
感想は一言でもいいので、頂けると嬉しいです。
お気持ちだけでも励みになりますので、よろしくお願いいたします。
▼XのURLはこちら
https://twitter.com/TF_Gatf
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追記:
完結してから、一度、見直して修正するところとか、読みにくい所があれば修正してます。
当時の目標が完結優先で、急ぎ足で書いていたので見直していなかったのです。
完結後に見直し訂正する予定でしたので!
ゆっくりと修正して行こうと思います。
─※ 完結まで読んでから見てね ※─
─※ ネタバレ注意 ※─
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良くないよ…たぶん、私があの街で死んだらきっと、お母さんは静かに自分の人生に幕を下ろすと断言できる。
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実の娘にそう評されるほどに、彼女の心は実のところ物凄くか細く弱いのです。
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行こう、お父さんの魂が眠る大地へ…
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これも実は伏線で、シヨウさんの魂がまだあそこに縛られているのを魂の底で敵と繋がっているユキさんは何となく気が付いています。
彼女としては無意識にそう感じ零れ出た言葉です




