とある人物が歩んできた道 ~弱くなったときが狙い目~ No2の過去編
加筆修正完了!
誤字脱字の見逃しあれば教えてくださいませ~><;
後、後書きにネタバレなどが含まれてる設定資料とかも残していこうかと思っていますので
初見さんは見ないようにしてくれますと嬉しいです!
気が付けば、会議も長引いてしまっていた。
打開策が思い浮かべば提案し、それについて議論を繰り返していくと…
気が付けば会議室にいる三名全員が絶望に包まれてしまい、あの騎士様ですら天を仰いでしまっていた。
不謹慎だとわかっていても、どうしても彼に視線が吸い寄せられてしまう。
今も、疲れたのか打開策を求めるように遠い空…天を仰いでいるかのように椅子へ身を預けている騎士様を見つめてしまう。
その姿を見た影響なのか、脳裏にある映像が流れてくる。
脳に浮かんだ夢物語があまりにも現実味がなくて、心の中で笑ってしまった。
っふ、人間は耐え切れないストレスに晒されると、逃避行動を取ることがある。ってね、先輩から教えてもらったことがあるけれど…
私の脳が起こしてしまった逃避行動、こんなの…絶望のあまりに見せたストレスから逃げるための幻惑逃避行動よね。
脳内であり得ない夢を思い描いてしまっている。
私と騎士様。
二人だけで全てを忘れ、全ての責任を放棄して、二人だけの愛を求め、この大地から逃げる…という、あり得ない夢を描いてしまった。
そんな夢を思い描いても良くない?
だって、他の大陸では大穴の獣がいないって噂がありますし、この現状から逃亡したくなる気持ちもわかりますよね?
…けれど、それが出来ない。
騎士様なら家族を優先するだろうからって?
それもあるけど、根本的な問題は心の問題ではなく、この大陸そのものにある。
現実的に考えて、絶対に不可能な理由がある。
だって、大陸から出ようとしたら反逆罪で殺されますもの。
この大陸には大きな港町があるのよね。
その全てに、王国と繋がりのある騎士たちがしっかりと見張っている、厳しい王命に従ってね。
監視している?危険を守る為にじゃないのか?ええ、建前はそうよ。
街や村を守るという体裁で常駐している兵士諸君、港町を管轄する領主諸君。そんな彼らには、ある王命が与えられている。
そう、陰ながら王族から直々に勅命を受けている。
その内容があまりにも有名、陰ながらなんていうのは昔の話。
今となっては、貴族であれば誰でも知っている、有名な話よ。
貴重な戦力である人材。
人は力、つまりは国力でもある。
そのような人材が、この大陸から逃げないようにと……
徹底的に見張られています、この大地から私達を縛る様にね。
彼らはどのような理由であれ王命を守り通しています。
歴史の中で逃げようとしなかった人はいないのか?
当然、いる。いました。その結果も当然伝えられています
亡命しようとして自力で簡易的な船を作って逃げようとした人たちが過去にはいた。
簡易的な舟なんかで逃げ切れるわけもなく、捕まってしまった彼らは見せしめとして残虐な殺され方を…
それらをまとめた書物、今でも悲惨な内容すぎて覚えています。
学生時代の授業、法務の授業で習いましたもの…
公衆の面前で打ち首となり、交易のために通らなければならない街道に晒し首にされた、そう、見せしめとして…
思い出すだけで心臓が叫んでくる…そんな目にあいたくないと。
なぜそのような非道な行いを誰も断罪しないのか…
誰も触れてはいけない闇の歴史が、この王都…いいえ、この大陸にはあるのよ。
なので、この大陸に生まれた人類は、誰であろうとこの大陸からの逃亡は許されない。
理由も当然ある。
この大陸から逃亡すれば、誰も助けてくれない明確な理由がある。
この大陸から逃げようものならありとあらゆる世界中の人々から非難されてしまうのは必定。
王都は…他の大陸から援助してもらっているのですから。
援助をしてくれている彼らからすれば、
【この大陸で産まれ落ちたのであれば、大陸中の人類が一丸となって、大穴から人類を守りましょう、必要な援助を続けているのですから】
ってね…そうなるわけなのよ。
そう、ある意味これは呪いよ。
希望という名のね…
世界中から”人類の敵を殲滅しろ”という期待・希望という名の呪い。
押し付けてくるなんて、呪いよ、のろい…
その期待という名の呪いがこの大陸に生きる全ての人たちは背負わされているのよ。
そういった過去の悲惨な歴史もあれば、そういったどうしようもない事情を知っているのであれば、海を渡って他の大陸へ行くという選択肢を選ぶ人は、ほとんどいないんじゃないかしら。
後は、そうね、海を渡らない理由としては、王様の威光があるからだと言われている。
この大陸から逃亡する人はほとんどいないっという理由を授業でお聞きしたのよねぇ…確か、私達が守り続けているこの街が機能している限り、他の街も王都も平和そのものだから、だったかしら?そんな風にお聞きしたことがある。
冷静に考えてみると、逃げれば死罪から逃れられないとわかっているので、命懸けで亡命しようなんて無謀な賭けに出る人は少ない。
ただ、完全に今後!絶対に出てこない!そんな風に断言できないあたり、獣に蹂躙される未来に恐怖してしまう人は一定数いるのでしょうね。
戦えない人が死の大地に住まう特殊な獣に睨まれでもしたらフィアーによって何も出来なくなるのも致し方ないのよ。
仮に海を渡って他の大陸へ行けたとしても、追い返されてしまうのよね。
ほら、王都って他の大陸から援助してもらっているでしょう?
他の大陸からすれば援助しているのですから逃げてくるなよってなるのよね渡すもの渡しているのだから責務を果たせってね…
私たちが亡命したとしても、見つかれば即座にこの大陸へ連れ戻されてしまう。
他所の大陸にいる領主たちからすれば、死の大地に住まう脅威から守ってもらうために多額の寄付をしているというのに、そこの人間が逃げてくるなど
あってはならない。
他国に亡命したところで、責務を果たさない者として罵られるだけ。
だから、命懸けで亡命したとしても……
未来は何一つ明るくない。
ただ逃げただけで犯罪者のように追われる様な人生…嫌よ。
どこであろうと、この大陸の人間なのだとバレてしまったら…
誰一人として優しく受け入れてくれるはずがない。
当然、いつかどこかで捕縛され、逃げた場所へと送り返されてしまう。
帰ってきた先で待っているのは――
【反逆罪による晒し首】
この大陸に産まれ落ちた時点で、戦いを強要されているという事実から逃げることはできない。
なので、逃げるっという選択肢なんて夢物語なのよ。
考えるだけ無駄、愛の逃避行なんて…無理よ。
そんな事情があるのであれば、もっとこの街に人が集まってもいいと思わない?貴族なら歴史の事業で学ばされる内容なのに、どうして人が集まらないのかしらね?
そういった歴史的背景を知らない平民だけならまだしも、貴族だというのに、こういった様々な事情という名の現実から目を背け、頑なに戦わない姿勢を取る人たちも当然いるのよねー。
そういう人たちが身近にいては、国民全体に良い影響は生まれない。
王国にとっても働かない人達には罰を!ってことで、危険思想の持ち主には見せしめが待っている。
そう、生贄として強制的にこの街へと貴族であろうと送ることもあった。
当然、貴族ですら送られてしまうのであれば平民達も等しく拒否権なんて無いのよね。
嫌でも行かないといけない
誰かが犠牲にならないといけない
死の街で死んで来い…
そんな風に生まれ育った村から生贄のように扱われてしまったら、なおさら絶望するし、この街で生きようなんて思えれないよ。
悲しい事にね、この街を継続させるためには、そんな人生に絶望した人達ばかりがこの街へと送られてきたという悲しい歴史がある、いいえ、過去の出来事ではないわね。
たぶん、今もそう。
あーだめね、気分がまいってしまってる。いけないいけない!強く!騎士様の隣に立てるほどに強く!!
世知辛い現実を受け止めて!少しでも建設的な話を進めるために!
気分を入れ替えていかないとね!
私たちの未来のために!!
愛の逃避行という逃げ道はない!!
さぁ、冷静に!
心が折れようとも、もう一度、騎士様の隣に立つ資格を得るために!
愛という名の補強材で、折れた心を何度だっておったててやるのよ!!
柱があるのは男だけと思うなよ!!!
心の中で気合を入れ直し、話し合いを再開した。
今できることを現実的に考え、定めていく方針で会議が再スタートした。
まず、現実的に考えると、大前提としてこの会議の内容は他言無用となった。
理由としては、どうしようもないほど絶望的な内容なので、包み隠さず全貌を明かしてしまうと、この街にいる多くの人たちが不安と絶望で満たされてしまうだろうから。
そうなれば、現場で働く人たちの心が乱れてしまう可能性が高い。
無駄に乱すわけにはいかない。
恐怖や不安は、人知れず伝播していく。
絶望に包まれてしまっては健康にも良くないし、何より恐怖や不安を胸に抱いた状態で敵と遭遇してしまえば、恐怖に飲み込まれ、フィアー状態へ陥りやすくなる。
人類が滅亡する、その時を迎えるまでもなく、死の空気に耐え切れなくなった人は、甘い甘い死の蜜にすがりたくなってしまい…誘われてしまう。
医療班として…いいえ、この街で共に頑張る一人の同志として。
そんな状態で戦場へ赴いてほしくない。
そうよ!
いつだって、どんな時であろうとも!無駄に命を散らしてはいけない!
だったら、この場にいる!心の芯が強く、明日を生きる意志が強い、この三人で!この秘密は守り通そう!一蓮托生!!
…という流れになっていったのよね~、言葉に熱を込め過ぎてしまったかも?気合を入れ過ぎたかしら?
そんな感じで私たち二人は熱く心を燃やしているけれど……
このプレッシャーに耐え切れなくなって、今にも吐きそうになってしまっている人が一人いるわね…
立ち会わせてしまった不幸を、どうか呪ってください。
ええ、もちろん。
私や騎士様がこの程度で心折れて腐るほど軟ではありません!
顔面蒼白になっている人物なんて、この場にはあと一人だけ。
この街で財務を担当されている方なんだけど……
彼の立場を考えると仕方、ない、よね、そうなってしまうのも。
そもそも彼は、普段働いている職場はここではなく、王都なのよ。
ここが彼の職場ではないのよ、担当部署ではあるけれど、ただの、言うなればこの街の経理を押し付けられただけ、って立場なのよね。
普段は、王都で物流や商談、財務を管理している部署に勤めていて、その担当区域の中に、この街がある!…というだけ。
彼からすれば世界を救いたいとか、武家として名を上げたいとか、そういった考えなんて一切抱いていない、ごく普通の民なのよ。
そんな彼がこの街で請け負ってくれている仕事内容は、おおよそ週に二回ほどこちらへ出向き、経理をまとめること。
購入履歴などを記載した書類から、この街の予算がどれほど必要なのか計算してくれたり。
また、王家から寄付された金額と此方が保管している残金に間違いがないか、誤差がないか照らし合わせる仕事を担当してくれていて凄く助かっています。
他にも、こちらで必要な物があれば、王都にいる商人へ手配を依頼したりもしてくれる。
そう。
彼は様々な雑務や計算をするため、わざわざ王都から派遣されてきている方、使命を心に宿して正義の為に出向いているとかそんな大層なことは何一つ抱いていません。
ただ、計算が得意で、人と人を繋ぐ橋渡し役を任されているだけの、王家直属の一般職員なのよ。
この街を再建したい。
再興したい。
発展させたい。
人類のために身を粉にして戦いたい。
人類の為にっという大きな志を抱いている人ではない。
そんな彼が、どうしてこの場に居合わせたのか、居合わせてしまったのか?
ふと気になって会議の休憩中にそれとなく聞いてみたら愚痴が溢れ出てきてしまった…
…何でここにいるのか、もっと早く疑問に思ってあげればよかったわね。
そんな悲痛そうな顔で睨まないで欲しいわね。
思い返してみても、王都からの使者が来ている間は、彼のことまで気を回せるほど余裕がなかったじゃない、わかってくれるわよね?仕方ない…よね?
愚痴を零してくれた内容をかいつまんで説明すると…
彼がどうしてこの場にずっと居合わせてしまったのかというと
仕事でこちらへ向かおうと仕度をしていたらお偉いさんに声をかけられてしまった。
なんでも、今回は、たまたま王都からの使者もこちらへ向かう予定があるから、お前も向かうのであれば、どうせならと…案内役を頼まれただけだった。
彼としても使者の方を無下に扱う事なんで恐れ多く逆らうことなんてもっての外、断る理由がない。
それに、安い馬車での移動でなく使者の方が扱う豪華な馬車に乗せてくれるというのであれば、豪華な馬車で移動も予定していた支給されている交通費もちょろまかしてご飯代にでも、そんな些細な幸せを感じていた。
そうして彼は、上機嫌で使者をエスコートしながら王都を出発し、無事にこの街へ到着した。
その間、どうしてこの街に用事があるのか踏み込めば回避できたのかもしれないが、使者の方に内容を聞くなんて恐れ多すぎて下手に聞いてしまえば命や今の立場が危うくなるので絶対に聞くことが出来ない。
ただ、使者の方が出向くのであれば、あの街を管理している人物を呼び寄せないといけないのは、暗黙の了解であると彼は解っている。
使者の方を会議室まで案内を終えた後は勿論、騎士様を呼んでこないといけないのだが…彼もこの街での仕事が待っている。
そう、使者の方と騎士様を会議室に残して自分は自分の仕事に取り掛かるべき!なのだが…困ったことに今回この街に来た仕事内容が予算の話し合いとかも含まれているのでそういった内容を管理している騎士様がいないことには、彼の仕事が始まらない。
かといって、何もせずに王都に戻れば、お前は何をしに行ったのだと?同僚たちに馬鹿にされるのが目に見えている。
なので、使者と騎士様の会議が終わるまでは特にすることもない。
かといって、この様な危険な街…うろうろする気にもならない。
自分のみを守るのであれば絶対的強者である騎士様の傍に居るのが最も安全であると彼は知っている。
その騎士様が会議室にいるのなら、どこかで時間を潰すより、ここで待っていた方がいいかな~っと、そんな軽い気持ちで会議室に残ってしまったそうよ。
そして、そんな軽い気持ちで会議室に残っていたら会議が始まってしまった、彼もそこで逃げれば巻き込まれなかったのにとぐうたらな自分を戒めていたわね。
部外者と言えば部外者である自分が会議室にいたとしてもお構いなしに会議が始まったので、遠巻きにぼんやりと会議を眺めて、もし、自分に何かを求められることがあるとすれば、会計や雑務を担当している立場なので「予算はこれくらいあります」そう発言する程度だと思っていた。
まさか、こんな重大な話に関係者として巻き込まれるなんて、夢にも思っていなかった。
会議の内容なんて私には関係ありませんからね~、ふぁぁあ~早く終わらないかなっと、そんな気持ちで会議室で息を殺し、漂う空気のような存在になり、会議が何事も無く終わるのを待ち続けていたら…
内容がだんだんと、きな臭くなっていき、持ち前の直感がずっと囁いていたこのままだと良くないと…なれば、逃げようかな、と思った時にはもう遅かった。
会議室の雰囲気が空気が!完全に部外者は立ち入ってはいけない空気へと変貌している!!この空気では、立ち上がって出て行くことすらできない…
という状況によって逃げ場を失い、今もなお不穏な会議に付き合わされ続け「もう逃げられませんからね?」と、一蓮托生だと言わんばかりに、騎士様が圧を込めてきて…今に至るってことね。
これがね、この場に居合わせてしまったがために、ただの一般人で、この街に骨を埋める覚悟など持っていない人物である彼が巻き込まれてしまった経緯なのよね。
まぁ、そんな不幸な彼の事情はひとまず置いておいて…
会議を進めるにしても、この絶望に包まれてしまった空気は良くないよね。
女は愛嬌!側室として学んだ技法!ここで活かして良い女アピール忘れんな!つってね!
少しでもこの絶望感漂う空気を和ませようと椅子から立ち上がり、こういう長い会議の為にと用意してあるのよね。
少しでも場の空気を和ませようと明るい雰囲気を身に纏って会議室の棚から紅茶の茶葉を取り出す。
一応、念のため中身の確認は怠らない!医療班である私が出したものでお腹を壊されてはいけない!
匂いや目視でチェックを行い、特にカビが生えている様子のを確認する。
問題なさそうね。
会議室に備え付けられている、お湯を沸かす魔道具へと魔力を注ぎ、お湯を沸かす。
お湯が沸くのを待っている間にティーポットなどを軽く洗浄し準備を進めているとふと、お茶請けがあった方がいいよねと思い立ち
「お茶請けを探してきます。」
そう一言残して食堂へと小走りでお茶請けを持っていそうな人物に心当たりがあるので其方へと向かった。
食堂に到着しドアを開けるとおばちゃん…もとい、お姉さんが何時ものように皆の為に仕事をしていた。
お邪魔なのは分かっていても、何時ものように
「お菓子ないー?」
砕けた感じで尋ねると
「洗い物してるのに何言ってんだ、こいつは」
悪態をつかれてしまう、そんなの何時もの事なので何も気にしない。
唐突に来てお菓子を要求する不届き者であったとしてもお姉さんは私がお菓子を求める時は何かしらの事情があるのだと察してくれているのか、それとも、純粋に優しいからなのか、焼き菓子を出してくれた。
笑顔で受け取り、お土産を片手に会議室へ戻った。
会議室に戻ると、ちょうどタイミング良くお湯も沸いていたので、三人分の紅茶を淹れると、会議室いっぱいに優雅な香りが広がっていった。
香り良ければ心も少しは緩む、張り詰めていた心を少しだけ癒やしてくれると信じましょう。
紅茶の芳醇な香りがそうさせてしまうのか、ついつい、その香りに釣られたのか、鼻歌まで歌ってしまった。
「ここだけ切り取れば、とびっきりの別嬪さんなんだけどねぇ…」
そんな財務の方の何とも言えない呟きが聞こえてきてしまい、ストレスから解放されていたというのに、ストレスが戻ってきたのか、こめかみに力が入り血管を浮き上がらせてしまう。
……あんだてめぇ?
こっちが気を利かせてやってるのに、失礼な!
喧嘩売ってるのかなぁ?
てめぇのだけ、とびっきり苦くてえぐみが強い紅茶にしてやろうかぁ?
ついつい上機嫌だった表情を崩し、睨みつけそうになってしまった。
でも!私はそんなことしません!騎士様にそんな顔を見せられるものですか。
皆に紅茶とお茶請けが乗ったお皿を提供し、私も自身が先ほどまで座っていた席へ戻り、淹れたての紅茶を一口、口の中へと優雅に空気と共に滑り込ませる。
香りと一緒に紅茶を吸い込むように僅かな量を含み、豊かな香りで満たされた状態で焼き菓子を頬張る。
そうすることで、優雅な香りが口の中から鼻へ抜けていく…
僅かな一杯が喉を通っていく頃には、先ほどまで会議室を支配していた不穏な空気も、紅茶の香りに絆されるように消えていった。
当然、心も少しずつ落ち着きを取り戻していく…
心落ち着かせるように一呼吸置いてから。
ようやく生気を取り戻したのか、話し合いが再開された。
紅茶が功を奏したその後の会議はある程度、余裕をもって話し合いが進んだ。
長い長い会議の末、ある程度、今後の方針が決まった。
決まった内容を簡潔にまとめると~…
・騎士様の右腕を育成する
つまり、次の戦士長候補を育てるってことになるのよね。
候補として挙げられたのは坊やと乙女ちゃん、この二人ね、異論なんてないわよ。
現状、実力も伴い、コミュニケーション能力にも問題がないのは坊や。
一方の乙女ちゃんは実力こそあるものの、オールラウンダーとしてはやや欠ける部分があり、コミュニケーション能力にも少し難がある。
では実力だけだと、どうなのかって疑問もあるよね?
実力だけで判断するのであれば、巨躯の女性が最も右腕にふさわしい。
そう、彼女は強い、あの二人でも勝てない。
乙女ちゃんでも、実は厳しい、急所を守られつつあの重さで責められたら勝てない。図体が馬鹿デカいだけで厄介なのに、知恵もある程度まわる、意外と冷静に立ち回るのよあいつ、こと戦闘においてはね。
なので、周りの評価も騎士様の評価も、彼女に対してはとても評価が高い。
個人の戦闘能力だけで見れば、騎士様に匹敵するほどの腕前へ成長している。
けれど、戦士長としての器はどうなのかと問われると向いていない、圧倒的に向いていない、何故なら、彼女の戦い方は誰にも真似できないからだ。
だから、彼女の戦い方を後世へと繋げる役目としての育成係としては最も不向き。
他にも色々な難を抱えているので次代の戦士長候補として考えると彼女は候補にあがらない。
総合的に判断した結果…
坊やを騎士様の右腕として育成する流れとなった。
…とは会議で決まったモノの?
実のところ、騎士様は、もともとそのつもりで坊やを育てていたらしい。
だから育成方針そのものを変えるつもりはない。
ただ、独り立ちを少し早めた方がいいかもしれない。
そういう結論になった。
これで、騎士様が与る部隊の方針は決まった。
来る決戦に向けて個々の能力を限界以上に引き上げる訓練をする方針に…
続いては、私が預かるチーム、医療班の方針。
・医療班も本格的な戦闘訓練を始める
今まで一度も訓練をしてこなかったのかと言えば、答えはNO。
定期的な運動も兼ねて、戦闘訓練へ参加している人もいる。
とはいえ、その内容が「いい汗かいたなぁ。」そんな程度で終わる軽い訓練だった。
その程度の運動をしたからといって死の大地で生き残れるわけではない。
だから今後は、もう少し踏み込んだ内容へ変更していく。
さらに、これまで参加していなかった人たちにも、有事に備えて参加してもらう。もちろん、年齢的に厳しい人もいる。
そういう方には無理をさせず、体力に合わせた軽い運動程度から始める。
そんな方針が決まった。
手ぬるいのではないか?っと言われるとそうかもしれないけれど
私達の本質は戦う事ではない、生きる事。
体力が無ければ生き残ることすらできない。
それに…死の大地に出向くとすれば私でしょうから。
だから、これくらいでいい。
次に話し合ったのが装備や蓄えについて!つまるところ!金が要る!
・財源の確保
備えがなければどうしようもない!
武具や防具を揃えるだけの資金は最低限必要!
だから…ありとあらゆる、売れる物は売る!
まずは資金をかき集める!!
その意見に対し、騎士様は「僕の鎧を売りましょうか」と申し出てくださった。
いやいやいや!それは本末転倒!!絶対に駄目です!!
安い鎧のせいで騎士様が怪我をするなんて、論外なんだから!!
なので、売れる物となると~…
この街の技術を一般向けに工夫し、大衆にも受け入れられる形へとアレンジして販売する。
…という方向性になった、つまり!どういうことかというと!
そのアイデアを街のみんなから募集する。
こういう時こそ!知恵を共有する!それが無い者たちが出来る事よね!
お金が必要な理由も説明しなければいけない。
理由としては【戦士の皆さんへ、より良い装備を揃えてあげたい】
そしてもう一つ。
【有事に備えて備品を充実させたい】
この二つなら、みんなも協力してくれる…はず!
だから、そういった根回しは私の役目。
前回みたいに知識や経験を本にまとめて販売するのもいい。
他にも売れそうなアイデアがあれば、みんなで相談して形にしていく。
きっと、この街をもっと良くしたいという思いには応えてくれるはずだから。
次が私としても頑張らないといけない事なのよね…
・術式研究を進めていく
これに関しては、基本的にはこれまで通り。
私たちが生き残る確率を少しでも上げるために。
そして戦術の幅を広げるために。
必要な術式の研究を進めていく!んだけどぉ…
騎士様に現状を包み隠さず伝える、悲しい事に研究塔は皆さま好き勝手に研究しているのだと。つまり!今の研究塔は各々の発想が八方へ広がり過ぎているのだと…
だからまずは、そんな彼らの意志を統一し研究候補や内容を絞ることから始めないといけない!…説得はきっと私がするのでしょうね、頑張らないといけないわね。
そして!研究が進めばきっと出てくる新たな技術!
それが戦術として本当に活用できるのか、騎士様と相談しながら発想の段階で選定し勝手に枝が伸びないように此方で決めていく!
っという形で方針が決まった。
方針が決まったので現状、こういった何かが欲しいものがあれば提案していく流れに変わった。
どういった技術やどういった戦術が有効なのか
私ではわからない、なので、騎士様が知恵熱が出てしまいそうになったとしても彼起点で話が進んでいくのだが…直ぐに案が決まるわけも無かった。
これだけ話し合っても、方針が決まっていったとしても…
それでも、まだ、私達は不安で押しつぶされそうだった…
その不安を振り切るように!
来る日に備えて課題を設ける。
期日までにその課題を乗り越える!
余裕があれば、更なる高みを目指して研究を続けていく。
術式に関しても、武術に関しても、医学に関しても!全てにおいて私達は更なる成長が求めらている…いいえ、成長しなければ未来が無いのよ。
人類の未来がね
このプレッシャーを受け止めてしまったからにはきっと…寝られない日々が続きそう、嗚呼、こういう時にこそ頼りになる人に添い寝して欲しいなぁ…
そんな弱い部分をみせることなく三人で話し合った結果!(主に騎士様と私だけど。)
「こういう術式があれば助かる」
彼の提案に私は頷くことしか出来ない、彼が求める術式を拙い私で出来るのか出来ないのか判断は出来ない、今はただ彼の中にある願望に近い要望を受け止めていくだけ
それでも、術式研究所として、今後の研究方針が決まってくれるのは助かる、何を研究したらいいのかわからない方が困るから。
その要望を基にして、最優先課題となったのが次の四つの術。
①安全にデッドラインまで歩く方法を模索する
②移動方法の改良
③補給物資の運搬方法
④敵と遭遇しない方法
この四つを最優先課題として、研究塔総出で開発していく。
そのためには、現在ストップしている研究の一つ。
敵を倒した際に戦利品として回収した、二足歩行が使用していた魔道具の解析も同時進行で進める、いえ、進めないといけない!
私たちだけでは発想力が足りない。
少しでも利用できるものがあるなら、積極的に利用するべき。
今までは奥様がいらっしゃらなかったので、魔道具の解析は迂闊に進められず、研究も止まっていた。
けれど!奥様もいい加減こちらでの生活に慣れてもらわ…おっと、きっと、先輩と一緒に頑張ってくださっている、わよね?多少の無茶くらい引き受けてくれるくらい、余裕があるわよね?
不安になりそうなのを必死に振り払うように心を強く持とうと
ええ!そうよ!今の私と奥様の関係なら、多少無茶なお願いをしても頷いてくれる!
私と奥様の二人体制なら、多少は解析も進められる!…と、いいなぁ。
頑張って気合を入れてみたけれど、奥様の掴めない性格が故に説得しきる自信が無かった。
仮に奥様が引き受けてくれなかったとしても!私が研究塔の皆を説得して回れば!きっと!…それもダメだったら、私一人でやるしかない。
頑張って勉強してきたからこそ!
今の私なら、人が作った魔道具であればある程度は解析できる自信がある!
けれど!けれ、どぉ~…ひとりはきびしいのよぉ~
敵の魔道具って、意味不明な物が多すぎるのよ…
原理が分からない物ばかりで…
人類の理解できる範疇を超えているのよぉ…
無理だよぉ…
いきこんでさぁ、みたもののぉ~~…
どうしても苦手意識の強い分野だけに、不安を感じてしまう。
ただ、不安に関しては各々が不安を感じているので私だけ弱音を吐くわけにもいかない。各々が不安を胸の奥へと押し込みながら、会議は終わりを迎えた。
長い会議が終わったとしても暫くの間、疲れたのか全員立ち上がろうとはしなかった。
会議室にいる三名の中で一番最初に立ち上がったのが財務の方で、静かに椅子から立ち上がり背中を丸めながらドアへと向かっていき、会議室を出る直前
「現状を乗り越えるためのアイデアを、一つでも早く集めたいので! この街にいる皆さんへ通達を出してきます!」
作り笑顔で、更には空元気で私達を鼓舞するように振舞っていってくれた。
声は元気というより、もう破れかぶれと言った方が正しいほどのかもね。
元気づけようとしてくれたのだけれど、見ているこちらが彼の事が大丈夫かと不安になってしまうじゃないの。
「…大丈夫かしら?」
そんな言葉が思い浮かびつい、独り言が零れてしまった
けれど同時に「大丈夫なわけないでしょうね」
冷静な自分が独り言に突っ込んでしまった。
こんな状況へ巻き込まれても気丈に振舞い此方を気遣ってくれた彼の背中が
【自分には関係ありません】そうやって突き放すような人ではなく、協力的な姿勢を見せてくれたことに、少し安心してしまっている部分もあった。
彼が善行な人で本当に良かった。
だって…彼からすれば「自分は関係ないので手伝いません」そう言っても何も問題はなかったはずなのに、我が事のように受け止めてくれた。
彼が善人で良かった。
…もしくは?だてに長い付き合いだから、というのもあるのかもしれないね。
財務の方を見送った後、姿勢を保つのも辛くなってしまったのか、椅子の背もたれへ体重を預け、つい本音が零れてしまった。
「はぁ…疲れたぁ」
そう、隠すことなく表情を出してしまいながら、残った紅茶を胃の奥へと流し込んでいく。
すると騎士様も珍しく、心労からなのか「はぁ……」と、深いため息をついていた。
珍しい彼の仕草に、ついつい紅茶を飲みながら視線を向けてしまった。
その表情を見るだけで分かる、わかってしまった。
王家との関わりというのは、きっと神経をすり減らすものなのだろうなぁ、と…
もし、もしも、騎士様があの人と結ばれることなく遍く全ての意志を背負って筆頭騎士となり、次代の王の傍へ仕えていたら…
そして、もし、もしも…私が騎士様と結婚して嫁入りしたら…
私も王家と深く関わらなければならないってことになる。
っということは、これが毎日ってことになるんだよね?
ぁーーー…想像したくなぃ!
絶対に心がすり減って廃人になっちゃう!
おかしくなる未来しか見えない!!
無理無理!!
側室としての生き方を叩き込まれてきたからこそ、なおさら!なおさらよ!!
この街へ来てから、あの狭苦しい見栄っ張りだらけの嘘偽りの場から飛び出したからこそ…上流貴族がどれだけ面倒くさい存在なのか理解した!!してしまったのよね…
私は…何も飾らず、ありのままで生きられるこの街が……
この場所が好きなのよね
まぁ、騎士様がいなければ、すぐにでも離れるけどね!!
はぁ…どうして、この世界は人類で溢れているの?
はぁ…どうして、私と騎士様、二人だけの世界にならないの?
ありもしない未来を想像してしまったからなのか…
より一層心がへしゃげていくのを感じてしまったからなのか…
「あ"あ~……」
堪えることが出来ずありのままの姿、等身大の繕わない情けない声を漏らしてしまい、剰え(あまつさえ)、べちゃっと胸を押し潰すようにみっともない姿を晒すように机へと上半身を投げ出してしまった。
だというのに、冷たい机は、硬く私を受け止めてくれた。
…優しく受け止めてよ。
騎士様みたいに。
机にまで文句を垂れ流してしまいそうになるくらい、精神が参っているんだなぁ…
自分の中でストレスが際限なく膨れ上がっていることに気付いてしまった。
ストレスに耐え切れないのであれば…
癒やしを求めるように、視界へ映る麗しの騎士様を見つめるのだが…
彼もまたストレスで辛いのか。
わずかな癒やしを求めるように目を閉じ、手にした紅茶の香りを静かに楽しんでいる。
嗚呼…
いつまでも…
ずっと…
傍にいてほしい…
手を伸ばせば届く場所にいるのに…
絶対に手が届かない場所。
嗚呼…
何て遠いのだろう…
いいえ、違う。
あの頃、まだ若かった頃と比べたら、ずっと近い。
手を伸ばせば届く距離にいる。
嗚呼…
どうして貴方は、騎士の誓いを捧げてしまったの?
どうして…
私じゃ駄目なの?
つい…騎士様が惚れてしまった相手を、嫌な感情で押し潰してしまいたくなってしまったいけない私を感じてしまった。
そんな愚かな自分を戒めるように、言葉が胸へ降りてくる。
そう、そうよ。あの人がいたからこそ、騎士様はここにいる。
癪だけどね…あの人と騎士様が出会い。
そして子供が生まれた。
だからこそ、騎士様はここにいる。
もし、それがなかったなら…どこにでもいる側室としてしか生きられないと思い込んでいた私なんかと
こんな時間を共有することなんて、きっとなかった。
そう思う事で、自然と感謝してしまう。
【騎士様と出会ってくれて、ありがとう】
そう伝えたくなってしまう。
相手は私の事を知らないのにね…
そんな馬鹿げた考えが浮かんでしまうくらい、今日一日で起きた出来事は特別だった。
きっと、二度とこんな空気になることはない。
彼がこんな弱音を吐くことも、もうないだろう。
気が付くと。
私の手が、私の意思とは関係なく動き出していた。
関係なく動いた腕は彷徨うことなく、直ぐ近くにいる愛する人へと流れていく…そっと騎士様の太ももの上へと私の手のひらが着地した。
逞しい太ももに私の手のひらが触れてしまったことで、目を瞑っていた騎士様もゆっくりと、本当に、時が止まってしまったのかと勘違いする程に、ゆっくりと…目を開いた…
机へと向けている彼の瞳に吸い込まれる様に、視線を…ゆっくりと視線を上げていくと愁いを帯びた今の今まで一度も見たことが無い彼の表情に…
吸い込まれていくように顔を覗き込むように見上げると…
表情が更に崩れていくのか普段から冷静で表情を崩さない彼の顔が…困惑した表情へと変わっていた。
視線が触れあったとしても彼は何も言わない。
お互い、何かを、眼で語ろうとしているのか…
ただ、お互いに見つめ合う。
ただただ、見つめ合うだけの時間…
これを…愛を交わす時間なのかもしれないそう、感じてしまう程に
私達の時間はそこで止まってしまった…
沈黙だけが私達を置いて流れていく。
やがて。
沈黙が私達を置いて行ったのを思い出したのか一つの音が私達の間に帰ってきた…そう、騎士様が生唾を飲み込んだ音だけが、静かに響いた。
その音が…
私の
理性を
溶かしてしまった
私の唇が。
私の喉が。
自分の意思とは関係なく動き始める
もう、わたしはじぶんを
とめられない
「お願い、抱」「では! 自分はこれにて!」
静寂を沈黙を、何もかもを吹き飛ばすような勢いでガバッと!立ち上がられてしまい。騎士様はその勢いのまま逃げるように会議室を飛び出していった…
慌てているはずなのに、ドアを丁寧に開けそして静かに閉めていく。
その後ろ姿を冷ややかな目で、頬を膨らましながら見送ってしまった
…どんな時でも優雅な人ですこと!
悪態をついたとしても誰も咎めたりしない
静まり返った会議室へ、独りだけ残されてしまったから…
だったらもう!悪態の限りをつくしてやるんだから!!!
っもう!!いけると思ったのに!!
足を激しく揺らしたり手のひらで机を叩いたり
静かな会議室を小さな演奏会へと変えてしまう程に悪態と言う名の音楽を一通り奏で終えると
はぁ…
溜息が零れ、今更…体の中心で新しい音が暴れていた。
もう、今になって心臓がバクバク鳴り始めるじゃないの……
【心臓が口から飛び出る】
貴族会や社交場で小耳に挟んだ、そんな比喩…
あるわけないでしょう、ってね、昔の私は鼻で笑っていたけれど
本当なのね
もう、この音が外から聞こえているのか、それとも身体の中から響いているのか。
自分でも分からないくらい激しく鳴っている。
激しい鼓動を抱きしめるように椅子の上で両ひざを抱え込んでしまう。
はぁ…
頬も何もかも熱い…
この熱で…全身が溶けてしまいそう。
このまま外を歩くのは良くないわね。
ふらっと何かに誘われてしまいそうなくらい、身体が火照ってしまっているもの
暴れる感情、吠える鼓動が落ち着くまで何もしないのが一番よね。
今、何か、そう、何かあったら…冷静でいられる自信がない
落ち着いたら、私も部屋へ戻ろう。
そう言い聞かせ、ただ独り…静まり返った会議室で
見えもしない色を求めて黄昏れるように
いいえ、これは違うわね。
未練がましく、振り払われてしまった手をさまよわせているもの…
彷徨い求めるように伸びた手が落ち着いた先は…
騎士様が、ついさっきまで座っていた椅子。
まだ彼の温もりが残っている。
…暖かい。
できることなら。
この温もりを独り占めしたいなぁ…
そんないけないことを考えてしまう私。
ふふふ…
彼の拠り所かぁ…
奪ってしまっても、いいんじゃないの?
なんてね。
心がへしゃげてしまったら、そんな自暴自棄な考えも出てくる。
いけないことを考えてしまう。
私は…どんな時であれ、善性を貫くのよ
そうじゃないと…彼の隣に立つ資格なんてないのよ
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追記:
完結してから、一度、見直して修正するところとか、読みにくい所があれば修正してます。
当時の目標が完結優先で、急ぎ足で書いていたので見直していなかったのです。
完結後に見直し訂正する予定でしたので!
ゆっくりと修正して行こうと思います。
─※ 完結まで読んでから見てね ※─
─※ ネタバレ注意 ※─
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なぜそのような非道な行いを誰も断罪しないのか…
誰も触れてはいけない闇の歴史が、この王都…いいえ、この大陸にはあるのよ。
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教会も当然、見過ごすわけもなく。
そういった”いざこざ”をずっと続けてたりしていました。
王家としても自分達に歯向かう教会を疎ましく感じていて掌握するために聖女信仰を無くさせようと動いていた歴史があります。
語ると長いし、特に大きなキーパーソンにならないので書く予定が無かったです。
なので、随所にそういった”何か”があったのだなぁっと思わせてくれる文を随所にちりばめております。
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そんな彼が、どうしてこの場に居合わせたのか、居合わせてしまったのか。
気になって会議の休憩中にそれとなく聞いてみたら溢れ出てくる愚痴を聞いて、初めて知ったのよね。
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なお、騎士様はこの愚痴を聞いても何一つ表情を変えませんでした。
巻き込むつもりで彼を会議室に置いたのだから
騎士様も貴族としての教養があるので意外と策士です。
彼の子供ですからね、ええ、意外と、清廉潔白ではないのですよ、彼は。
正道だけはなく邪道も受け入れていますよ。
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わずかな癒やしを求めるように目を閉じ、手にした紅茶の香りを静かに楽しんでいる。
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ストレスでっというよりも
この一連の流れで彼の理性がパンク寸前なだけだったりします。
心惹かれつつある女性の巣の姿や、その、男性として経験が豊富ではない彼にとって目の前の女性の姿に、ね。
騎士の誓いを破ってしまいそうな程に昂ろうとするのを抑え込んでいるためです。




