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最前線  作者: TF


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53/843

死を受け入れ乗り越え、明日への希望を胸に

加筆修正完了!


誤字脱字の見逃しあれば教えてくださいませ~><;


後、後書きにネタバレなどが含まれてる設定資料とかも残していこうかと思っていますので

初見さんは見ないようにしてくれますと嬉しいです!

忘れ物がないか、入念なチェックも欠かさず行い、全員の準備ができたのを確認すると合図を送る。

その合図を見て、戦乙女ちゃん達が転移術式が刻み込まれた陣に魔力を注ぎ道を開いてくれる。


転移を行う陣の中に入る順番は、最初にベテランさんが入り、その後に私、次に姫様、お爺ちゃん、お母さん、最後に女将の順番で入っていく。

この順番であれば、転移された先がもしかしたら敵に襲われていたとしても対処できるし、後列に撤退の合図も出せるからだ。


転移された先では、ネクストこと医療班No3が率いる医療班の部隊と、隠蔽部隊、この二つの部隊が陣を築いてくれていた。どうしてここにいるのか、ネクストが陣の前で待機していた。この二つの部隊が合同で陣をひくのは非常に珍しい。


周りを見渡しているとネクストが話しかけてきたので挨拶などをし現場の状況を確認する、どうやら、姫様からの指示があって、非戦闘員部隊である私たちが近づける最大のポイントまで移動して陣を築いたとのこと。


姫様はいつの間にこんな指示を出していたのだろうか?抜け目がない人だからね。


転送されると同時にお爺ちゃんもベテランさんもすごくピリピリとしている。初めて来るこの場所が安全ではないのだとお爺ちゃんは肌で感じている様子だった。

私も、彼らと同じように神経を研ぎ澄ます為に、すっと目を閉じ耳を澄ませれば…感じる


獣たちの息遣い

獣たちが垂れ流している魔力の残滓


ここが、この場所が…敵が生息しているエリアであり、虎視眈々と人類を襲うことだけを考えている獣たちがいる世界なのだと五感全てで感じ取れる。獣たちが居て当然で、人類がいることを拒んでいるのだと痛感する。


ああ、この感覚、私は死地に来たのだと心底理解するよ。

心が魂が引き締まっていくのが解かる


少しでも気を抜けば死ぬ現場、うん、いいね、心も体も引き締まるよ。


いくら、隠蔽部隊によってこの場所に人がいるのだと見つかりにくくしていても、危険なのは変わりないし、何よりも、この先では人型に遭遇するリスクが跳ね上がる。


メイドちゃんが高見台から、遠見の術式を用いて、偵察をしてくれているから、仮に人型を発見した場合は、即座に、発見場所に向かって信号弾を打ち上げる手筈になっているので私達はなるべく人型と遭遇しないように動く予定となっている。

だとしても、メイドちゃんが遠見の術式で見つける前にこちらで、遭遇する可能性も当然あるので、気を抜くことはできない。


不意の一撃を貰わないように全力で索敵範囲を広げないとね。


戦闘経験なんて無く当然、命がけの危険な場所に来るのが初めてのお母さんの様子を確認すると、指先が震えているし、呼吸も浅い、目線がロンパっている。


こんな状態で前に進むのは危険極まりない、お母さんの心構えが出来るまでは待機したほうがいいだろう。地に足が付いていないような状況で前に進むのは危険極まりない。


お母さんの様子を窺っていると、ベテランさんが手招きするので近くに行くと、どうやら、お爺ちゃんと陣形の話をしていたみたいで、二人の話し合いの末、どの様な陣形なのか決まったので、教えてくれた。


先頭に立つのがベテランさん

その後ろにお母さん

お母さんの左右に私、お爺ちゃん

お母さんの後ろに姫様、その後ろに女将っという陣形


図にするとこんな感じかな?


   べ

 私 母 爺

   姫

   砕


気が付けばお母さんも隣に居て真剣にお爺ちゃんの話を聞いている。

幸いにもこれから先に行く場所は森林エリアに比べて視線が通りやすく、開けている場所なので敵を見つけやすい。

逆を言えば敵に見つかりやすいエリアともとれるのだが、当然、認識阻害の術式を使っていくのでこちらのほうが先に視認することになるだろう。


森林エリアだと、意識外からの強襲が怖い、そう、非常に厄介な猫タイプの獣がいる。

過去の経験上、森林エリアだと、木の上から強襲されることが多々あるので、非戦闘員が主に怪我したり、死ぬ原因になりやすい場所でもある。

そのエリアを通らないで済むのが、運がいいというのか、陣を築く場所から目的地のルートを計算し考えの下、用意されているのか、どちらかだろう。

姫様の事だから、恐らく後者の可能性が高いかな。


全員が進行ルートの確認や、現場にいる人たちと状況確認をしている間に、お母さんの手の震えも落ち着き、足もしっかりと動かせる、呼吸も落ち着いている、ついでに脈拍も取らせてもらったけど、平常時に近づいているので問題はなさそうだと判断できた。


ついでに、パニックを起こしていないか、思考クリアチェックをしても思考に乱れがなく冷静であると判断ができた、お母さんの眼も踊っていない、これなら大丈夫だろう。

お母さん以外の全員も準備が整っているのでゆっくりと、隠蔽術式のエリアの外へと足を踏み出す。


出た瞬間に肌が、思考が、全てが感じ取ってしまう、ピリっと空気が凍り付くのを感じる。この場にいる全員が神経を研ぎ澄ましているのがわかる。

私も当然、しっかりと仕事をする。


即座に聴覚を向上させる術式を使って音による索敵を行う。

ある程度進んでは、進行方向に敵が居ないのか、目、耳、魔力探知で索敵する。


耳担当の人は、聴診器を地面に当てて、足音プラス地中を掘り進む敵が居ないのかチェックを行う。どんな時でも地中からの奇襲は気を付けないといけない、森林エリアには少ないがこういった開けた場所にはモグラタイプの敵がいるときがある。脅威ではないが見つかると他の獣を呼んでくるケースがあるので注意が必要。


姫様は、定期的に魔力の流れを感知する術式を展開し周囲の索敵を行っている。

この手の索敵で姫様以上に巧みな人はいない、どんな獣であれ人であれ、魔力という物質を多少は垂れ流しているもので、姫様が展開する術式は、その流れを掴みどこに何が潜んでいるのか探ることが出来るのだが、非常に扱いが難しい、だけど、姫様なら扱いこなし些細な魔力の残滓ですら見逃すことがない。


一緒に歩くお母さんもしっかりと役割がある、何もしていないわけじゃない。


認識阻害の術式が刻み込まれて作られた魔道具を握る役目を担っている。

補助道具として魔石も十二分に持たせているので、魔石から魔力がなくなったときに術式が途切れないように交換中だけ魔力を流す役目を担ってくれている。


目的の場所が、警戒せずにピクニック感覚で歩いて行けるのであれば、目的の場所まで1時間半くらいで到着できるのだけれど、ここだとそうはいかない。

索敵しながらなので時間が掛かるし、進行方向に向かって索敵を行って、HITした場合はすべての獣を見つけ次第、すかさずベテランさんが仕留めてくれている。


下手に生かしておくと、何かのはずみで後方から襲われる可能性があるからだ。


奇襲されない限り獣を仕留めるのはベテランさんが担当している。

相手に見つかっていない敵の駆除なんざ、ベテランさんからすれば、非常に簡単な作業となる。


よって、危なげなく獣を仕留めて進むことが出来るので、現時点では安全に進んでいけている。


従来の野生の獣であれば、仕留めた際に傷口から出てくる血の匂いを嗅ぎつけて、肉食獣が集まってくるのだけれど、こいつらにその心配をする必要性はない。


姫様や、研究塔によって長年にわたる研究の成果により、あいつらがどうやって人類を索敵しているのかある程度の仮説が立てられている、何を一番索敵に重視しているのかは獣の種類によって違うが共通点もある。


視覚・聴覚・嗅覚・魔覚がある。どの獣においてもこの四つのどれかで索敵していると判断される。もちろん例外も当然あるので、基本はこの四つ。


まぁ、これだけ上げればそりゃ、どれかになるでしょって思うけど、どの獣にも絶対にあるのが魔覚、魔力を検知する感覚器が備わっている。

なので、認識阻害の術式で主に展開するのが魔力を感知させないための術式、次に、消音効果のある術式、次に、視覚を逸らさせる術式、嗅覚も念のためぼかす程度の術式を展開している。


過去に隠蔽部隊の場所がばれてしまう多くの原因が、嗅覚頼りで索敵するタイプの敵や、蛇とかの特殊器官をもっているタイプによって露見することが多かった。


では、なぜ、敵が血の匂いで判断しないのか?

実は、嗅覚でも索敵をしているので当然、人間の血の匂いには敏感である。

なら、獣同士の血の匂いでも反応するのが普通だと思うが、こいつらの理は大きく違う。


そもそも、こいつらに流れている液体が血液ではない、我らとは理が大きく違っている。


酸素を吸い込んでいるのは確実なのだが、酸素を運んでいるのかと言われると答えは微妙にNO、なぜなら、こいつらの体液を検査した際に、判明しているのだが、どの個体も赤血球が多くない、赤血球らしきものが多少は存在しているのだが、これだけの数で全身に酸素を送れるわけがない。


では、どうして酸素を吸う必要性があるのか?


仮説として、あげられているのが、先ほど紹介した嗅覚、嗅覚を作用させるために酸素を吸うという行為をしている。

次に、酸素を吸うことで大気に満ちている魔力を吸収している説が挙げられている。

更に、酸素を何かしらの器官を通して魔力に変換している説も提唱されている。


なので、あいつらから呼吸器官を奪えば比較的楽に殺せることが多い。


首を圧し折るのも非常に有効だ。

圧し折ることで傷口を広げないことによってこいつらの体液が外に漏れるのに少々時間が掛かる、なので、圧し折ることによって嗅覚頼りで索敵するタイプの敵に死体を発見されにくくなる。


一番良くないのが爆裂系統で敵を爆ぜて倒す方法、爆発四散すれば音でも気づかれるし、匂いが大気全体に広がるしで非常によろしくない。

なので、燃やすのも実は良くない、その匂いで駆けつけてくる可能性が高まってしまう。


一番の理想はとどめを刺した後に土に埋めることだ、その為に、地面を掘るための術式が刻まれた護符を持ち歩くのだが、今回は埋めている時間も無いので、放置する。

後は、回収部隊が居るのであれば彼らに任せるのが理想なのだが、ここまで深く進んでしまったら回収部隊が危険となるので今回は用意できない。


他にも例外というか、ある特殊な敵もいる。

ある個を撃退すると、なぜか他の個に場所が伝わって近くにいる同系統の獣が集まってくることがある。

これが、非常に厄介で、どうしても敵対する数が増えると戦闘音が大きくなるので、その音を聞きつけて、他の獣も集まってきてしまう。

結果的に、最悪、囲まれてしまって逃げられなくなり全滅する恐れがある。


対処方法は何か?倒さないほうがいいのか?答えは状況次第である。


単体の個が死んだ場合、何かしらのシグナルが飛ぶ、そのシグナルには、飛ばせる距離がある。

その距離だけど、凡そではあるが把握しているので、その範囲内、他の個体が居ないのであれば、即座に殺す。


一定の距離感覚で個体が密集している場合は避けられるのであれば避ける、近寄らないのが吉。


どうしても、倒さないといけない場合は、投擲などによって敢えて少し離れた場所に音を出して、その音を聞きつけてきた敵をおびき寄せてから弓矢などで射殺す。

死んだ場所に他の個体も集合するので、それを見てから弓矢で射殺しても良し、遠距離で攻撃できる護符や術式で確実に仕留められるなら仕留めても良し、戦闘を回避するのも良し。


この様に獣の種類に応じて臨機応変に対処しないと事態は急変して緊急事態に陥ってしまうことがある。

今回は隠密安全を最優先としているので動きはかなり遅く慎重に慎重に、対策を講じて動き続ける。


絶対にアクシデントが起きないいように気を配っているおかげなのか、その後も順調に進んでいくことが出来た…

懸念していた事態にならないように、お母さんの体調は常に把握するようにしている。この大地は慣れるまでストレスが強すぎるからね。


警戒を続けながら一定数歩くと、お母さんの顔色が良くなかった。

連続した緊張感に疲弊してきている様子だったので、ベテランさんに合図を送って一時休憩とする。


直ぐにお母さんの容態をチェックする…

呼吸が荒い、私達もこのエリアを歩くのは慣れるまでは辛かった、一歩一歩がぬかるんだ沼地のような重みを感じて呼吸すらも辛く感じてしまう。


一定の訓練をしたものですら、そんな状況になるのに、何も訓練をしていないお母さんがこの地に足を踏み入れるのは無茶だとわかっていた。

けれども、この機会を逃したらたぶん、お母さんは一生あの場所に辿り着けないのではないかと、そんなことが頭を過ってしまった。

お母さんの思いをくみ取ってあげるのであれば、できればその願いを叶えてあげたいと思うのが親を想う子供心だと私は思う。


顔色は悪いがお母さんの心の活力にはまだ火が灯っている。

まだ、動ける、まだいけるのだと瞳が伝えようとしてくる。


お母さんの呼吸が落ち着いては移動し、呼吸が荒くなってきたら休憩を繰り返しながらも…少しずつ進んでいく。


その間も結構な数の獣と遭遇する


デッドラインに近づくほど危険度は跳ね上がるので致し方ないのだけれど、予想と違っていた。


今回はたぶん、相当に運がいい?


敵との遭遇率が予想していた時よりも少ない?

それに、人型に遭遇するリスクも相当に高いはずなのに、出会わない?


これが違和感なのか、運がいいだけなのか、それとも、何かしらの策を講じていてそれが功をそうしているのか?私には判断がつかない。


ちらりと、姫様の顔を見てみると険しい表情をしているので、姫様の策ではない?それとも、策ではあるけれど、何か引っかかっている?


んー長い付き合いだけど、姫様の表情から状況を読むのは難しい。


警戒を怠らず一歩ずつ一歩ずつ音を消して気配を消して進んでいく…

幸いなことにお母さんも徐々にこの緊張感、空気に慣れてきたのか歩を進めるスピードが速くなってきている。


人型などの強敵に遭遇しないのであればそれに越したことはない、これを幸運と捉えるのか、お父さんの導きなのか…今はそう考えるようにしよう。

深い考えは私には到達できないのは、わかりきっているので、考えるのは後でいい、今は目的の場所に何事もなく無事に辿り着くことに専念専念…したいんだけど、敵の気配があるポイントだというのに敵の気配が完全に無い。なので、少し緊張感が欠けてしまっていらないことを考えてしまう。


良くない、油断こそが全ての終わりへと繋がる。

今、私が出来ることに集中しよう。





進んでいくと少しずつ少しずつ…小さかった目的の場所が大きくなっていき、何れ…そう、この場所に何れ辿り着かないといけない。


先ほどまでだいぶ遠くに見えていた目的の場所に到着した。

驚いたことに人型とは出会うことなく…


目の前には大きな大きな、私たちの身長よりも一際大きな岩がある。

その岩の中央が何かの衝撃によって大きく割れている。


あれから何年も経っているのに、この傷跡は消えずに残り続けている


視線を少しだけ大岩から外してみる、人類が何度も挑んでは誰も帰ってこなかったといわれる踏み込んではいけないライン


通称、デッドライン


そのデッドラインまであと少し、デッドラインの近くに来ていますよっというサインにもなっている割れた大岩。


この大きな岩を割ったのが戦士長…お父さんだと伝え聞いている。


戦士長が、死を覚悟しないといけない強敵を倒すために放った、死の一撃の痕跡。

大いなる偉大な戦士長がそれを使わないと倒せない相手がこの先にはいるのだと、後世に伝え続けている悲しみが刻まれた岩。


伝え聞いた話だと、ここでお父さんは、ある二足歩行と決死の覚悟で闘い、戦いの中で、自分の死を悟り、自分の命を引き換えに人類の脅威となる存在を殺せるのであればと、悟り、放った、そう聞いている、ううん、聞かせてもらった。


戦士として生涯に一度だけ使える自分の全て、命を力に換えた一撃。


その威力の凄まじさが見て取れる、その一撃は、敵を貫いても衝撃が止まることなく敵の後ろにある大岩をも砕く。


皆が岩を見つめている中、姫様が道具を取り出して、色々と設置している、それを見て自分も設置の手伝いをする。

難の魔道具かわからないが設置しているのを手伝い、索敵係である私達の手が塞がっている間、索敵護衛は三人に任せて素早く手早く設置していく。


全ての道具を設置し、動作を確認し終えると、姫様がGOサインを出してくれるので、中央にある魔道具に魔力を込めて術式を発動する。

中央の魔道具が発動すると連鎖的に他の魔道具も発動していく。


どうやら、新しい隠蔽術式みたいで、今まで見たことのない波長を感じる

「声を出しても大丈夫、消音・消臭・消気・消魔を徹底的に行っている新機軸の術式を用いた魔道具、急造であるけれど性能実験は折り紙付きよ、つい最近ある事件で敵に露見しちゃったからね次世代の新品をもってきたわけ」

術式がしっかりと発動したのを確認した姫様が声を出すとみんなの緊張がやや抜ける


特に緊張していたのが、女将とベテランさん。


二人にとってもこの場所は辛い場所、緊張が抜けるのと同時に、あの最悪の日を思い出しているのか、女将の手は固く握られ涙が頬を伝っている。

ベテランさんも涙は流していないけれど、悲しみや怒気?が背中から伝わってくる。


全員が、大岩の前で、膝をつき祈りをささげる。

私も大岩を見つめ頭を下げ祈りを捧げていると地面の痕跡に気が付いてしまった。


岩から続くように流れるように続いている一筋の線が気になり、目で追ってしまった。


大岩からまだ薄っすらと伸びている、切り裂いたような痕跡が地面に残っていて、その縦線が始まる場所がある、その始点にはひと際大きな窪みが残されている。


ここだ、ここ


この始点にお父さんの片手剣、その切っ先が突き刺さったのだと予測できる…


その窪みに触れながら祈りを捧げる、月の裏側に行かれてしまった偉大なる戦士長、であり、お父さんへと祈りを捧げる。


近くでベテランさんが祈りの言葉を紡いでいる。

「貴方の息子も愛する妻も父君も、愛弟子も再度この地に辿り着けました、貴方の思いは後世にしっかりと語り継がれ、今なお受け継がれています、月の裏側から我らの生末を見守りください」


暫く、全員が、自分の中にある戦士長であるお父さんとの思い出がつまった心のアルバムを製本にしていくように綴っていく。


全員が静かに黙祷を続けていく。


静かな黙祷も一人が終わり、また一人が終わり、一人ずつ立ち上がって空を見上げている。

全員が立ち上がったら祈りが終わった合図となった。


ここからは撤収作業に入るのだけれど、姫様は隠蔽道具をそのままにしておいていくと魔道具の回収をしないといった、今後の為にいつかはこの魔道具をこの場所にセットしようと思っていたのでちょうどいい機会だったと言っていた。


なので、回収せずにそのまま設置した状態で展開されている術式の範囲から出た後も警戒を怠らずに安全第一で帰る…のだけれど、違和感がある。


道中で仕留めた獣の死体が一切動いていない

単純に考えれば死体から敵が引き寄せられているという事態はなさそうだと思えばいいのだけれど、ここってデッドラインの近く、だよね?

心の芯、奥の方を擽るように触られたような感じがする。

例えるのなら心臓の下部、その下部を下から上へとなぞる様に撫でられたような不快感も感じる…


他の獣たちが近寄った痕跡も見当たらない、索敵範囲にも敵の反応が感じ取れない。


…違和感を感じる、むしろ違和感以外何も感じ取れない、前線で戦い続ける部隊じゃないけれど、違和感を感じて仕方がない。

なぜなら、死体の周りに何もないし、微動だにしていないのって普通なの?いや、絶対に違うと思う…


嫌な予感がする、こんなにも静かだった?

私の知っている戦場はこんなにも静寂だった?


嫌な予感がずっと頭の奥底でアラームとして鳴り続けている。


具体的に何に対して警戒しているのかわからないが、確実に嫌な気配だけがずっと体の芯に残り続けている。


早く街に帰って、この違和感が何なのか経験豊富な人たちに相談したい。


帰り道は驚いたことに一切の敵に出会わなかった…

何事も無く本当に、何もなく…あっさりと隠蔽部隊と医療班の部隊が陣を築いている場所に辿り着く、辿り着いてしまった。

本当にこ、こんなあっさりといけてよかったのだろうか?


きっと天が味方してくれたのだろう、運がよかったのだと胸をなどおろす。


比較的安全な場所に辿り着くと、つい呼吸がふぅっと一息漏れてしまい、緊張が抜けると同時に溢れ出てくる汗を拭っているとネクストがこっちに向かって走ってくる、何用かな?って見ていると、此方に走ってくるネクストを遮るようにすっとベテランさんの手が伸び、ネクストの首根っこを捕まえた。

きっと、先の状況を現場の責任者であるネクストを捕まえて説明をしたかったのだろう、耳を澄ませれば内容はそんな感じだった。

首根っこを掴まれたネクストが一瞬慌てた表情をしていたけれど、内容が内容だけにしっかりとベテランさんへと向きを変えて真剣に話を聞いている。


ある程度自分も落ち着いてきたので、この状況をよく耐え抜いた人物へと視線を向ける。

やっぱり、そうなるよね…

お母さんも相当疲れてしまったのか、普段なら絶対にこんな場所でお尻をついて座らないのに、座ってしまって項垂れている。

私達の姿を見た医療班の人が全員に水が入った瓶を配っている、お気遣い感謝感謝。


私も受け取って水をごくごくと勢いよく飲んでいく…思っていた以上に喉が渇いていたみたいで一瞬で飲み干してしまった


女将も一瞬で飲み干していた、歴戦の猛者でもある女将でもあの場所に行くのは神経が擦り減ってしまうみたいで、女将の全身から湯気が昇っている。

周囲に人がいるのを感じると安心はするが、まだまだ、この辺りも危険、油断せず、私だけでも緩んだ心を再度、敵陣の中に居るのだと切り替え警戒を続けていく。


警戒していると転移陣の準備が整ったという報告によってお母さんも立ち上がり疲労困憊で足をふらつかせながらも、全員で無事…街に帰還した。


街に帰還してからようやく全員の緊張が抜け私語が零れ出てくる。

その内容に耳を傾けてみると…やっぱりベテランさんも女将もあの場所で感じた違和感を感じとっていたみたいで姫様にあれをどう見るのか詰め寄っていた。


姫様もその違和感が気になるみたいで研究塔の主と一緒に論議を重ねたいとその場を離れていった。


お爺ちゃんとお母さんも相当、疲れたみたいで、来賓室で横になると言って足を引きずりながらも何とか自分の足で部屋に向かって歩いて行った。

お母さんだけならわかるけど、お爺ちゃんも肩で息をしていたくらいなので、相当神経をすり減らしていたのだとわかる。


私たちは現場に慣れ過ぎてしまって恐怖が薄れているのではと思ってしまう。何時だってあの大地は死が隣にある、緊張感を忘れてはいけないっと今回の流れで得た教訓を心に刻んでいると、女将も鎧を脱いで仮眠室へと向かっていった。


あの粉砕姫と呼ばれるほどの異名を持っている女将ですらも…あの大地は彼らの精神を蝕んでしまう。

女将は、一線から退いて長いっというのもあるのだろう。

久しぶりの死の気配が漂う大地は堪えたのだろう。


彼女と比べてほぼ同期のベテランさんは女将と違っていた。

まだまだ余裕があるみたいでお爺ちゃんや女将が置いて行った武具防具を磨いて手入れをしている。

私も余力が余っているのでベテランさんに手伝うよっと声をかけてると「気遣い感謝する、女将の分をお願いできるか?」っと女将の武具を渡してくれたのでしっかりと手入れをする。


聞きづらかったけど、これが良い機会なんじゃないかな、勇気を出して踏み込んでみようと声を出す

「ベテランさんは、お父さんの最後には近くにいたの?」

聞いてはいけなかったのか、鎧をふいていた手がぴたりと止まってしまった。


申し訳なさそうな表情だけど、今にも泣き崩れそうな顔をさせてしまった、聞くべきではなかったのだとつい視線を背けてしまうと、彼の口からゆっくりと

「あの時は、吾輩の、いや、俺のせいで、俺が弱かったから敵の一撃を食らってしまって意識を失っていたんだ、だから、最後の瞬間は…知らない」

懺悔のような彼とは思えれない言葉遣いに、消えてしまいそうな程、最後のほうの声は消え入りそうなほど…小さかった。

けれど、手に持っている布が皺になるくらい手に力が込められていくのが伝わってくる、もう一度彼の顔へと視線を向けると眉間に大きな皺を作っている、顔も怒気に溢れている、温和で怒りを露にするような人じゃないのにここまではっきりと怒りを表現するのはそうとう憎しみが宿っているのだとわかる、わかってしまう。


そんな彼に私は何て声をかけたら良いのか何もかわからなかった。


「二度はない、二度はないと誓っている、あのような不甲斐ない姿を野に晒すのは、二度はないと誓っている!師匠を殺した奴はもうこの世界にはいない、だけど!それに連なる奴はいる、必ずこの手で殺すまでは死ねない」

感情が痛いほど伝わってくる、守られてばかりだった弱い自分、奪われてばかりのどうしようもない現実。

その怒りをぶつける相手も一筋縄ではいかない、怒りに任せて倒せれるような甘い相手じゃない。


私、知ってるんだよ、昔に溢していたのを聞いている…ほんっとたまにだけど

「自分なんかよりも師匠が生きていたほうが世界にとって良かったんじゃないのか」って、零しているのを…悩み苦しんでいるときがあるのを私は知っている。その言葉に私はまた…何も言えなかった。


最近はふっきれたのか、言わなくなったけれど、根っこのところで、その感情が燻ぶっているのだろう。


大切な人

恩を感じた人

自分の人生を導いてくれた人

感謝してもしきれない人


そんな人が、自分が弱かったせいでこの世を去ってしまった…


許せない気持ち、やるせない気持ち、色々な感情が渦巻くのは仕方のないこと、それだけ、人の生き死には簡単なモノじゃない…


頭では、わかっているけれど…この街は死が身近にありすぎて馴れてしまったのかもしれない。

私たちは、ううん、私は特に、その感覚が薄い…きっと心の底から大事な人を失ったことがないからだ…


誰が死のうが何処か遠くで、俯瞰で見てしまうときがある。

理不尽な出来事に激昂することはあるが、永遠と尾を引くようなことは今までなかった。

大先輩にも相談したことがあるけれど「生き死にの医療に携わっている人が陥りやすい心理現象だ、馴れろ」って言われたけど…

これが人として正しいのわからない、もし、お父さんが生きていたらなんて言うのかな?


もっと怒れっていうのかな?

もっと悲しめっていうのかな?

もっと嘆けっていうのかな?

強くなれって言うのかな?


そんなことを考えながら手入れをしているとふと、誰かに頭を撫でられたような気がした、上を見ると薄っすらとお月さまが見えていた。

上を見上げていると、すっと目の前に綺麗なレースが施されたハンカチを出されてしまい、一瞬意味がわからなかったその言葉を聞くまでは

「綺麗なやつだから、安心して涙をふくが良い、その涙は弱さじゃない、尊き感情だ、大事にするがよいぞ」


自分が涙を流していることに気が付かなかった。


「…ありがとうございます、先輩」

ハンカチを受け取り顔全部をハンカチで抑えると、どうしてかわからないけれど声が小さく漏れるように涙を流し続けてしまった。


ああ、そうか、今まで何処かであんなにすごい人が死んだのなんて受け止めきれていなかったんだ、遺体を見たわけでもないし、死の最後を見届けたわけでもない、ごめんねお父さん、やっと、心の底からお父さんの死を理解した気がする…ちゃんと受け止めきれたような気がする。


涙も止まり、ハンカチは今度、洗って返すねと返事をし、武具の手入れを進めていく。


手入れが終わるころにはお月さまも真上に来てすっかりと日も暮れてしまった


お爺ちゃんもお母さんも、今から帰るのは辛いみたいで、もう一泊してから翌朝に帰ることになった。

疲れているのにどうしてか、今日はお母さんが料理を作るっといって食堂の厨房をお借りすることになった。

私も何かしていたい気分なので、何か手伝えることがある?って聞くと、いっぱいあるから手伝ってっと言われたので野菜を切ったり色々と手伝うことになった。


次々と料理を作ってはメイドちゃんに頼んでテーブルに料理を運んでもらう。


テーブルに並んでいく様々な料理、いっぱい作りすぎてしまったんじゃないかって思うくらい大量の料理

私、知ってるよ、これ全部、お父さんの好きな料理だよね。


野菜を切ってないのに、目が染みるねって言って涙をぬぐりながら料理を続けていく…

ふと、キッチンの外から聞こえてくる音が大きくなっている?

誰か集まってきたのだろうか?テーブルの周りにはいろんな人が集まってきているのか多くの人の声が聞こえてくる、料理を前に待たせるのもあれなので、先に食べてて!っと言葉を言う為に顔を上げると、集まってきていた人の数の驚いてしまった。

騎士の部の人や、医療班、研究塔の人もいる、本当に色んな人たちが集まってきていた。

そして、お預けされていたのだとわかってしまった、皆食べてヨシ、その言葉を待っていたのか、全員が一斉に食べ始めてくれた。


その勢いに少々不安を感じてしまう。

大量の料理を作ったとはいえ、それは、先ほどまで一緒ん行動していたメンバーの人数を考えたらの話しであって集まってきた人達の分は考えてない!!


物凄い勢いで作った料理が消えていくのが見え心が焦りを感じてしまって、少々パニックになりそうだったけれど、この状況を見かねたのか察してくれたのか食堂のおばちゃんが料理を手伝ってくれた!

おばちゃんもまさか、こんなに状況になるとは思ってもいなかったみたいで、冷蔵庫にある材料は好きに使ってもいいなんて言うんじゃなかったよって笑いながら冗談を言っている。


料理に専念していると、気が付くと追加の食材を女将が運んできてくれていて、女将も厨房にはいって料理を手伝ってくれた。

次々と各々が料理を作って各々が料理の手伝いをしているけれど、食べる人と作る人の数が!!釣り合っていない!!

料理を作っては下げられたお皿を洗ってを繰り返していると気が付くと、料理が得意な人が全員手伝ってくれたおかげで、どんどんと大量の料理が作られていった…


気が付けば食堂はどんちゃん騒ぎ!

厨房もフロアもお祭り騒ぎ!


計らずともお父さんの偲ぶ会になってしまった気がするけれど、気にしない、人によって死の受け入れ方、乗り越え方があると思う、きっとお母さんにとってこれがお父さんの死を本当に受け止め乗り越える儀式なんだと思う。


だって、こんなにも素敵な笑顔をしているお母さんを見るのは本当に久しぶりだった。


全ての食材を使いきって「あー!疲れた!」って大きな声を出しながら椅子にどかっと座るお母さんの姿を見て色々と溜め込んでいたのだと心底察することが出来る。

だって、疲れたって言う言葉とは裏腹にやり切った、出し切った!そんな清々しい晴れやかな表情をしていたから。


テーブルの上にある大量の料理も次々と食べられていく、普段は食堂以外にも食べに行く人たちも噂を聞きつけてか集まってきている。

いつの間にか各々お酒も持ってきて飲んでいる、完全に宴会の席になっていた。


新人達も何かの祝い事かと思って楽しそうに飲んだり食べたりしている

食堂のおばちゃんもちゃっかり食べたりお酒を飲んでたりする、普段だったらこんな宴会を食堂ですると怒りそうなのにね、一緒に楽しんでいる。


姫様も遠巻きでご飯を食べながらメイドちゃんと何か話し込んでいるのできっと仕事が立て込んでいるのだと思う。

仕事が立て込んでいるときはご飯を自室で食べながらするのに、今日という日を、特別にしたいのか姫様もしっかりと参加してくれているのがうれしかった。


宴会も終わって、片付けもみんなが手伝ってくれたのですぐに終わった。

その後は一斉にお風呂場に行くものだから大浴場も大混雑してしまった


その大勢の中に私も、お母さんも、姫様も、メイドちゃんもいる。

珍しい人がいれば当然、近寄ってくる人もいる、特に古い人でお父さんの事を知っている人だったら尚更…お風呂場ではお父さんのことを知っている人達から色んな質問がお母さんに飛んできていた。


どうやら、お父さんって結構、自慢話っというか惚気話を色んな人にしていたみたいで、あの話は本当だったのかーっとか聞きに来ていた。


お母さんもまさか、お父さんのことを知っている元戦乙女達が、まだこの地にいるなんて思っていなかったみたいで嬉しそうな顔で質問に答えていた。


お母さんの顔を知らない人達ばかりだと思うのに?どうしてこうもピンポイントで近寄ってきたのだろうかと悩んでいると、どうやら、先日から噂になっていたと教えてくれた。

あの戦士長の父君と奥方がお忍びで遊びに来ているっという噂が流れているのだと…

そして、食堂で戦士長の弔いの宴会を開催しているっと噂が広がって集まってきてくれたみたい。

普段、滅多にこちら側の街に来ない人たちもいるなぁって思っていたらそういう繋がりがあったんだね。


あと、その噂はダメだよー?ほら、お母さんから角がでてきてるじゃないの!No2とお父さんが恋仲っていう、噂は厳禁だよー?今はもう確かめる術がないんだからね?角しまってしまって!!


…なお、過去に、この噂が本当なのかとNo2に思い切って聞いてみたら「違うよ」って悲しそうに否定されたので、本当にそういった関係では無さそう。


後でお母さんにフォローを入れておかないと、暫く機嫌が頗る悪くなるからね…

下手すると帰り道にお爺ちゃんがビクビクすることになるからね、寝る前にフォローしておかないと…


お風呂を出た後は中庭でノンビリと話をしながら涼む。


火照った体を涼ませている間にする話題もずっとお父さんの話題ばっかり。

お母さんもなんやかんやと、お父さんの事、溺愛してるからね、二人そろって骨の髄まで愛し合っていたんだと知ってるもの。

お父さんは私よりもお母さんばっかり構ってたからね!…だから、知ってるよ。二人がどれだけお互いを想いあっていたのかを。


ああ、そっか、その姿を見て育ったから私もそんな関係を築ける人が欲しかったから惚れやすい性格だったのかも…

だって、お父さんもお母さんもすっごい一途だもん、ぇ?お爺ちゃんの血筋じゃないかって?…私どすけべじゃないもん!!


気が付けば、お母さんが少し舟をこぎ始めたので、寝ようかと連れていこうと立ち上がって歩き始めると、部屋と向かう途中で姫様がみんなで寝よう!っと言い始めたので、姫様の私室で全員で寝ることになりました。


姫様の部屋は大きいから全員で眠れるくらい余裕の広さがあるので問題ないけど、ベッド足りないんじゃないの?って思いながら部屋の中へと入ると

しっかりと大きなベッドが連なっていた、いつの間にかベッドが運ばれていた…


用意された色違いのネグリジェに着替えてパジャマパーティーがスタートするのかと思いきや

全員が相当疲れていたのか、着替え終わってベッドにダイブしたらもう、刹那で眠りについていた。




今日の朝も、お母さんが先に起きていて、お母さんが用意する紅茶の薫りに釣られて全員がゆっくりと起き優雅な朝を堪能できた。

紅茶を飲んだ後は、みんなの髪の毛を綺麗に櫛で解いてくれて「娘が一気に三人になった気分」って言いながら楽しそうにしていた。


姫様も、毎日、お母さんに起こしてほしいって我儘を言うくらいである。

その発言を聞いたメイドちゃんが少し寂しそうな顔をしていたので、毎朝の自分の仕事が盗られてしまう可能性をイメージ出来てしまったのだろう。

大丈夫、姫様も冗談で言ってるだけだから、本気にしないのっと頭を撫でてあげると嬉しそうに頭をくっつけてくる。

メイドちゃんってどことなく妹感があるんだよねー。妹欲しかったなぁ…


朝のゆったりとした時間も終わるころには、車の準備も出来たみたいなので戦乙女ちゃんが部屋まで呼びに来てくれた。

みんなでお爺ちゃん達を見送りをするために、車の場所まで特に何も言わず静かに移動した、昨日までの出来事で私達はたくさん話をした、もう、何も話すことはないのかもしれないほどにたくさんの会話をした。


この数日に満足感を感じながら車がある場所へと向かっていくとお爺ちゃんが車を磨きながら待っていたので、おはようとっと挨拶をするとニカっと白い歯を見せながら返事が返ってくる。


朝の挨拶をしていたら、いつの間にか女将さんもベテランさんの姿があることに気が付いた、どうやら見送りに来てくれたみたい。

最後にお別れのハグをして、お爺ちゃんたちの車が走っていくのを見送った。


「また、会えるように、昨日のような日を迎えれるように、明日を掴もう」


ベテランさんが何気なく呟いた一言が胸に響く…

私たちの心だけでも常に希望を向けていよう、私たちの代では、アレを駆逐することはできないかもしれない、でも、昨日を生きれたことを喜び、明日を願う気持ちが続く限り私たちの心は折れない。


心地よい日をまた迎える為に迎えてもらう為に私は前を向こう

向き続けよう!どんなことがあろうと救うのが私の仕事だ!


さぁ!久しぶりの仕事!!明日への希望を紡ぐためにも!絶対に!どんな怪我でも治療できる存在になるぞ!


やる気も漲り、明日への渇望も高まり、回れ右して職場に向かおうとしたけれど、遠くから馬が走ってくるのが見えたのと同時に違和感を感じてしまった…このご時世に馬?

それも珍しく早馬だ、何かあったときに走らされる駿馬だ…

全員がその駿馬を見て何かを察したのか緊張感が高まっていった。


私も彼らと同じ…背筋が一瞬凍り付いてしまった。


何か事件が起きたのだ…あれ?馬の上に誰も乗っていない?

蔵の左右に荷物を入れる箱だけが付いている、文だけが入るサイズの小さな箱。


それをみたベテランさんも姫様も緊急事態が何処かで発生したのだと察し、慌てて馬のほうに駆け寄る

馬もベテランさんの近くに来るとゆっくりと速度を落とす、私も馬の為に桶に水を入れて走る。


馬が落ち着いて水を飲んでいる最中に、箱を馬から取り外し、中身を確認すると文が入っている。


王家の紋章が入った文


これは、自分が開けるべきではないと判断したのかベテランさんが文を開けずに姫様に渡した。

姫様も内容を察しているのか封を開けるのを躊躇いつつも開けていき中身を取り出した。

姫様は直ぐに眼球を動かし中に入っている紙を隅から隅まで読んでいく、目線の動きで判断できるのは内容が結構簡素である可能性が高い、読むスピードが速いので内容が薄いのだと予測できる。


つまり、内容が簡素であり、重大な内容っとなる。

交渉とかそういった類の内容であれば、文字を読む視線の動きはもっとゆっくりと動く…

早馬を使う時点で恐らくは悲報の類だろう、みんなもそのつもりで姫様の発言に対して心構えをとり、どんな言葉でも受け入れる覚悟を作っている。


固唾を飲んで見守っていると読み終えた姫様が大きなため息をつきながらすっと涙を流す


「女将の故郷が滅びました」


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追記:

完結してから、一度、見直して修正するところとか、読みにくい所があれば修正してます。

当時の目標が完結優先で、急ぎ足で書いていたので見直していなかったのです。

完結後に見直し訂正する予定でしたので!

ゆっくりと修正して行こうと思います。




─※ 完結まで読んでから見てね ※─ 

─※ ネタバレ注意 ※─ 

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デッドラインに近づくほど危険度は跳ね上がるので致し方ないのだけれど、予想と違っていた。


今回はたぶん、相当に運がいい?


敵との遭遇率が予想していた時よりも少ない?

それに、人型に遭遇するリスクも相当に高いはずなのに、出会わない?


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敵も困惑しているだけです

どう見ても闘う為にやってきた感じではないので様子見をしています。



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皆が岩を見つめている中、姫様が道具を取り出して、色々と設置している、それを見て自分も設置の手伝いをする。

難の魔道具かわからないが設置しているのを手伝い、索敵係である私達の手が塞がっている間、索敵護衛は三人に任せて素早く手早く設置していく。


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姫様がこっそりと認識阻害の魔道具を設置しながらちょっとした魔道具も仕込んでいるのですが、後日、敵が壊しています

こっそりと設置した魔道具の一つとして、地中の振動を検知する魔道具で敵の行動を知る為の魔道具です

検知した振動をある程度、記録してから音波に近い性質を飛ばして伝える魔道具です。

飛ばされた音波を隠蔽部隊にそれを受信する魔道具を持たせこの先の情報を得る為に設置したのですが

機能はしていません


他にもいろいろな魔道具を仕掛けたのですが壊されています

特に物語に絡みそうもないと判断し、カットしました。


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具体的に何に対して警戒しているのかわからないが、確実に嫌な気配だけがずっと体の芯に残り続けている。


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妖精の彼が全力で敵の魔の手から団長の心を守ってくれています。

その余波です。

敵としても今の死の街の情報を現地にいる人から直接記憶を覗かせてもらえる方が確実に情報を得ることが出来るので、団長の魂へと接続しようと試みています。


実は、姫様も何か嫌な気配を感じているのでルの術式を展開して破邪の力を行使しようか悩んでいます

ただ、使わなかったのが、ここで発動させると敵に位置がもろにバレてしまうと考え発動していません。

まぁ、敵には見つかっているんですけどね。


敵としては遊び感覚で来ている人達なんて警戒はすれど相手取るつもりはありません、何故なら、それどころじゃないので!


この時の死霊使いは仕事タスクが山ほどあってパンク寸前でもあります。

世界各地に海の獣を使って死の大地で量産した白き獣を運んでいるので、ほんっとそれどころじゃないんですよね。

そうやって、死の街へと進攻をさせないようにとルィンティア先生が時間を稼いでくれています。

その代わりこの大陸以外の人達は絶滅寸前にまで追い込まれて行ってますけどね!

ルィンティア先生の誤算として、外の大陸の人達が弱すぎたってことです。


ドラクエで例えるとスライムが街の外に出るような場所に

クリア後の裏ダンジョンの中での一階層付近で戦う雑魚敵の分類に値する敵を大量に送り込んでいることになります。

そら…壊滅しますよね。


ルィンティア先生の基準が高すぎたっていう誤算です。

あの程度なら国の総力をもってすれば対処できるでしょうってね…


幸いに、今代の姫様は色々と心折れていて

泥の中に眠っているあれがしたかったこれがしかったっという残滓の願いを叶える為に動いているので、敵からすれば遊んでるだけにしか見えていません。

それも説得材料に繋がっています。



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「あの時は、吾輩の、いや、俺のせいで、俺が弱かったから敵の一撃を食らってしまって意識を失っていたんだ、だから、最後の瞬間は…知らない」


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これも実は伏線でして

死の一撃を見た者はそこから気づきを得て

そこへと至ることが出来ます。


ベテランさんもまた、その器を有しているのですが

体内に残された始祖様の因子が少なく

心が未熟であり、更には師匠が遺すべき技を完全に見ることが出来なかったのと


…あの事件のせいで彼は死ぬのが怖くなってしまいました


故に、彼は永遠にあの頂へと登れなくなっています。

ですが、因子は少なくとも!彼は努力を続け純粋なる研鑽によって高みへと登っていきます。


ただ、問題があります、努力の末、日々の研鑽の末にその境地に辿り着けては居るのですが


心が、それを求めていませんので彼には死の一撃を発露する為のきっかけを会得することが出来ません。


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「二度はない、二度はないと誓っている、あのような不甲斐ない姿を野に晒すのは、二度はないと誓っている!師匠を殺した奴はもうこの世界にはいない、だけど!それに連なる奴はいる、必ずこの手で殺すまでは死ねない」


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若き頃の憤りはずっと彼の中でくすぶり続けているのですが

彼も年齢でして、熱い感情は長続きしないのです


瞬間的に燃えることはあっても持続しないのと

奥様と子供達の影響もあって大人になろうと大人にならなければならないと彼の中でもずっと葛藤が起きています。


命を投げうってでも師匠の仇を取るために英雄になりたいという葛藤と

命を投げうってしまっては愛する家族を誰が守るのかっという葛藤が

彼の中にはずっと渦巻いています。


そういったストレスから逃げるためにいろまt・・・・いや、単純に好き者です彼は。


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頭では、わかっているけれど…この街は死が身近にありすぎて馴れてしまったのかもしれない。

私たちは、ううん、私は特に、その感覚が薄い…きっと心の底から大事な人を失ったことがないからだ…


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この部分も団長のが他とは違う異常性があるのだという部分です。

これって実は、医療に長く従事している人で尚且つ、看取ってきた人に多いと言われてたりする心境だったりします。

そこも狙ってたりします。


終末医療に携わる関係者様にはいつも感謝しかありません。




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あと、その噂はダメだよー?ほら、お母さんから角がでてきてるじゃないの!No2とお父さんが恋仲っていう、噂は厳禁だよー?今はもう確かめる術がないんだからね?角しまってしまって!!


…なお、過去に、この噂が本当なのかとNo2に思い切って聞いてみたら「違うよ」って悲しそうに否定されたので、本当にそういった関係では無さそう。


後でお母さんにフォローを入れておかないと、暫く機嫌が頗る悪くなるからね…


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浮気云々ではなく、あのような女性と仲が良かったのかという

旦那の見る目の無さに苛立ちを覚えています


お母さんはお父さんが絶対に騎士の誓いを破らないと信じているので

絶対に手を出していないと信じていますので。


ただ、No2とは最悪の形で出会っているので

No2の名前を聞くだけで嫌気がさしているのもあります。

まぁ、普通にトラウマでしょうね。



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