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最前線  作者: TF
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デッドラインへ

体が揺さぶられている感覚?誰だろう?…今、って朝?夜?昼?夜ならもう少し寝たい…

「起きなさい」

頭を叩かれる衝撃で目を開ける、見覚えのある人の顔で判断する、自分が実家に帰っているのだと知る

「もう少しねるー」

実家にいるのであれば、仕事は休み、だったらもう、お昼まで寝ててもいいじゃん。たまにはノンビリしたい、、、、

くるっと掛け布団を巻き込みながら寝返りをうち、二度寝しようとすると近くでため息が聞こえる…そのままゆっくりと意識を落とそうとすると

「姫ちゃん、GO」不穏な単語が聞こえた気がした。


ん?…姫ちゃん?…っは!?

その一言で思い出す、自分が実家に行ったのではなく、お母さん達がこっちに遊びに来ていることに、そして先ほどの言葉の意味とは?眠たい頭では理解するのに時間が掛かってしまう。


起きて、にげ!?


正に一瞬の判断、その遅れが致命的だった、逃げる時間も、ガードする時間もなかった、判断の誤り、油断、それらが致命的となって死ぬのがこの街であると思い出させてくれた。

朝早くから私の悶絶した声が部屋中に響き渡る…逃げようにも、足は誰かに掴まれていて逃げれない、体をくねらせるしか抗うすべがない、母の前で暴力はいけない!いけないけれど!それ以外の逃げるすべを私は知らない!!


「ぬがぁ!!」

全力で掴まれている足を振り払い、ベッドに立ち上がってくすぐってきた相手の脳天に!!っは!?距離を離されているだと!?

私が起きるタイミングを完全に熟知している参謀が後ろにいるのを失念していた!

我慢の限界で起きるタイミングを完璧に把握されているお母さんによって姫様はしっかりと後ろに下がらされており、姫様は守られていた。


っく!!冷静に考えるんだ、姫様は悪くないの、お酒が入ってしまったから寝起きが悪い私が悪いの。

なんで飲んじゃったかなー、だって、飲みやすいし、女将がわざわざ私の為に取り寄せてくれたみたいだったし、お爺ちゃんが、ぁぁもう!言い訳しないの!この擽り地獄を受けてしまった苛立ちは自分が悪いの!!


すぅふぅっと深呼吸をして、自分を落ち着かせる。


「ほら、姫ちゃんも起きて準備できてるんだから起きてささっと準備しなさい」

そうだね、起きて準備しよう、あー昨日遅かったからお風呂入ってないから、お風呂入りたいけど時間なさそうだよね?

いそいそと隊服着ようとすると違和感を感じる…何にって?姫様が隊服を着てるから?滅多にそれ着ないのに?まって、今何時?

「ほら!ぼけーっとしないでお風呂いくよ!」

ぐっと手を引かれる、まって!まだズボン履いてないから!握られた手を放してもらう為にわき腹を突く、ひゃんっという声と共に解放されるのでその隙を逃すことなく服を着る。

壁に掛けてある時計を見ると、朝としては朝食を食べるにしても早い時間だった、姫様どうやって起きたの?朝弱いのに!?


従来であれば、こんな時間で姫様が起きるなんてことはないのに、どうしてだろうと困惑しているとお母さんが状況を教えてくれる。

「やっぱり、貴女ねー忘れてるでしょ、お開きの時に姫ちゃんが、朝早くにお風呂入って、ご飯食べて、仕事が片付いたら、お爺様のいきたい場所にいきましょうかって今日の予定を話してくれたでしょ?」

…言ってたっけ?途中から完全に記憶がないから、わからない…むむぅっと思い出そうとしても思い出せないでいると

「お酒に弱いのはきっとお祖母ちゃんに似たのね貴女…お祖母ちゃんもお酒は好きだったけど、よく記憶を飛ばすから、ああ、そっか、だから、あんなのに引っかかるのね…まったく…」

…その一言でぞっとする、飲むときは信頼の出来る人と飲もう、起きたら知らない人が隣にいたら、一生自分を許せないと思う。


準備も終わったので、みんなでお風呂に向かっていく、お母さんにここの大浴場がお爺ちゃんの実家程ではないけれど綺麗なつくりをしているのを自慢しないと!


せっかくなので親孝行としてお母さんの体を洗ってあげたり、姫様が大浴場の造形でこだわった部分を教えている、そんなこだわりがあったなんて、私も知らなかった。


湯舟に丸い円が描かれているなって思ってたけど、これが大地を意味していて、それが描かれた湯舟に入りながら上を見上げると同じように丸い円がある、これがお月さまをイメージしてる

大地と月の間に私たち人が入ることで完成する構図なんだって、体の重みが抜ける感覚が始祖様が月から大地に向かって降臨されていく状況を描いているって…ふぇぇ、知らなかった…


メイドちゃんも知らなかったようで、驚いている様子だった、それじゃ、壁に描かれている綺麗な石をカットして張り合わせて描かれた、どこの山なのか、見たことのない綺麗な△の形で登頂部が真っ白い、この地域では見られない雪っというものを表現されている、この山は何を意味しているのですか?っと聞くと、何となく!で返された…意味のないものもあるのね。


この流れは私も聞かないといけないと判断し、ひっそりと置かれている石造を指さす。

男湯にも同じ場所に石像がある、女湯にも、同じ場所に女性の石像がある、あの少し離れた場所に男湯、女湯と同じ場所に置かれている石造がなにを意味しているのか聞くと、うーんっと悩んでいる。


あ、これも意味がないのかもしれない、姫様の回答を待っていると、思い出したのか、「あ!」声を出しながら、手をポンっと叩いて

「それは確か、貰い物で置き場に困ってたやつ」っと教えてくれた。

誰にもらったのかは思い出せないから大した人じゃないよ!って言うので、貰い物であれば誰からもらったのか把握するのが礼儀だよねっと、湯船から出て、何処かにこんなたいそうな物を送れるのは領主クラスの人間だろうと高を括り、領主の象徴である、旗印の刻印が施されている可能性が高いので、見てみると、台座に刻まれていた、その象徴である御旗の柄は、見覚えがある。


私の記憶が正しければ、王都から見て南方にある大きな領地で、えっと、お爺ちゃんの家にあった、歴史書で見た記憶が、えっと、なんとかの巫女を祭って、た、土地じゃなかったかな?うーんうろ覚え。


でも、すごく綺麗な女性だよね、髪も長くて、すっごく神秘的で見守ってくれている感じがして好きなんだよねー。


お風呂を堪能した一同は、湯船で火照った体の熱を冷ますために、中庭のベンチで座っていると、お爺ちゃんとベテランさんもお風呂に入っていたみたいで一緒にこちらに向かってくる。

皆でノンビリと過ごしながら、周りを見てみると、朝も早くからジョギングしたりする医療班のメンバーや研究塔のみんながすれ違っていくのでその都度、会釈などをして挨拶をする。

その一団に三つ編みが似合ってる、可愛い新人の三つ編みちゃんも混ざっていた、ちゃんと、先輩たちと一緒に行動している辺り、医療班の一員として馴染んできているのだろうと一安心する。


皆の火照りも収まった様子なので、食堂に向かっていく一同、向かっていく途中で我らが医療班の裏ボスである大先輩が奥様と一緒に中庭に向かって歩いていくのが見えたので、会釈をすると、気が付いてくれたみたいでうんうんっと頷いてくれた。

年をとってもあんな風に夫婦そろって仲良く過ごせれるのって羨ましい?ううん、憧れ?うん、憧れるよね。


食堂にいるおばちゃんも結構なご年齢、だけどね、年齢に負けずと頑張って働いてくれている、たまに手の空いた料理の心得がある人が手伝ってくれていたりする。

噂では二代目としておばちゃんのレシピを学んでいる人もいるけれど、そんな大層なものじゃないよ?って口が裂けても言えない。


姫様も、あの人が限界超えてもう無理ですって言わない限り、新しい人を迎える予定はないって言うくらい厚い信頼を寄せている、長い間、戦士達を支えてきてくれた人だからね。


確か、年齢はNo2にプラス10くらいだっけ?詳しい年齢は知らないけれど、そんなニュアンスをNo2が教えてくれた気がする。

いつもの定番メニューの朝食を食べながら、お爺ちゃんに行きたい場所に行くのかを確認すると、ベテランさんに戦士達の修練を見てやってほしいとお願いされたみたいで、それが終わってから見たいってことで、午前中は修練所に行く予定。

私はどうしようかなって悩んでいると、お母さんが、「私は女将さんのところにお邪魔する予定よ」さらっと午前中の予定が決まっていると報告される。

どうやら、両方とも昨夜のお酒の席で決まっているみたいだった。


姫様はどうするのかなって話を振ってみると、片付けないといけない仕事があるから午前中は仕事、メイドちゃんもそれの付き添い…あれ?私だけ予定がない?

何か手伝うことある?って一応聞いてみるが予想通りで無いよっと言われてしまう。


最近の私って仕事してない人みたいになってない?


お昼は、食堂に集合ってことで各自解散っとなった…どうしようかと考えたけど、まずは、仕事を変わってくれた大先輩に挨拶に行くのが大人としての行動だよね?

医療の父に久しぶりにゆっくりとお話しよう!そうと決まれば、王都で戦乙女ちゃんたちが代わりに買ってくれていたお土産のお菓子をもって挨拶に行こう!


自室に戻ってお土産袋の中身を確認すると、中身が完璧だった、確か、姫様が戦乙女ちゃん達に頼んでいたから、私が誰に何を渡すのか想定してたってことだよね?


うんうん、わかってるよねー、中身は、大先輩である彼がお気に入りで定期的に取り寄せているコーヒーの銘柄、それに合う少し甘めの大人の味わいで王都でも有名な焼き菓子。


その二つを持って医療班の診療所にある診察室に入ると、ノンビリと本を読みながら過ごされていたので、仕事を代わってくれたお礼等を述べてお土産を渡すと「お前はちゃんとしてるな、アレと違って」って言いながら頭をなでてくる。たぶん、大先輩がアレって言う人はNo2しか居ないよね。


そうだ、No2の事、大先輩は知っているのか聞いてみると、渋そうな顔をして「めでたい話を師匠である俺に何も言わないで出ていくような、恥知らずなんざしらねぇよ」ちょっとご立腹だった。


挨拶には来てないんだ、私たちには、挨拶をしてくれたけど、会いたくない理由があったのか、たまたま、大先輩がこの街にいないときに出て行ったのか?いや、それはない、時間の余裕はあったはずだから、避けて実家に帰った?なんでだろう?


こうなってくると、怪しく感じてしまう、No2は、本当に妊娠したの?本当に実家にいるの?実家って王都だよね?うーん、会いに行けば良かったなぁ、詳しい場所は知らないけど、姫様だったら確実に把握しているはずだから、姫様に聞いてみても良かったかも。


そんな事を、頭の片隅に置いときながら、大先輩の話を聞く。

どうやら、お孫さんも順調みたいで、早く生まれて欲しいっとか、かみさんが楽しみにし過ぎていてちょいちょい上の空だったりなどの他愛もない話に花を咲かせていたら、もうお昼に近い時間になってきたので、予定がありますのでと伝えると「今回みたいなのは俺的には歓迎だから、遠慮するなよ」笑顔で送り出してくれた。


No2は大先輩は怖い人だーって言うし、医療班のみんなも怖い人だーって言うけれど、そんな感じしないけどなー?医療的判断が遅かったり間違えると鬼になるけど、普通に気のいいお爺ちゃんって感じだけどなぁ?


修練所の近くに来たので、お爺ちゃんの様子見がてら中を覗いてみると、椅子に座って指導をしていた。

ベテランさんもそれの補佐をするような形で新人達に細かい指導をしていた、あ、彼女もリハビリを終えたみたいで修練に励んでいるみたい、よかったよかった。


お爺ちゃんが私に気が付いたみたいで手招きをするので中にはいっていく、新人たちの面倒を見てくれてありがとうねっと感謝の気持ちを伝えると「なーに、新人達も男だけじゃなく女性の方もいるなんて思っても無くてな」

ぁ、ダメだよー?エロい目でみたら?両目潰すよー?


小さな殺気に気が付いたのか一瞬ビクっとした後「み、みんな真剣で良きかなよきかな」っと誤魔化し始めた、よくよく考えるとエロスの塊のような存在二人が指導しているのだから、誰もその行動を止めれる人いないじゃん。

しまったな、大先輩の挨拶を早めに切り上げてこの二人を監視するべきだったか、後で戦乙女候補生達に何もされていないか確認しよう、したという情報を掴んだら後日、文を送っておばあちゃん連合に〆てもらおう。

ベテランさんの場合は奥様に文を送れば自動で〆てくれるので、そうしよう。


新人たちの教育だけなのかと思っていたら、奥からフル装備の集団が入ってくる、槍兵が3,槌が1、片手剣が1。

得物だけが本番用じゃなくて、全て木製にしてあって、持ち手にくるっと巻くタイプの重りがつけられている、実戦練習をするのだろうと察する。

あれ結構、辛いんだよね、私も参加したことがあるけれど、普段自分が使っている得物よりも、重く調整されているから、動くだけでも結構ハード。


誰が敵の役をするのかと思っていたら椅子からすっとお爺ちゃんが立ち上がると、ベテランさんが木刀をお爺ちゃんに渡している、お爺ちゃんが敵役するの?大丈夫かな?現役を退いているって言ってたけど?


修練上の中央に行き、受け取った得物をぶんぶんっと軽く振りながら体を捻ったりして準備運動に取り掛かっている、新人達も観覧席で食い入るように見ている。

「ほれ?どうした?何時でも構わんぞ、敵は獣じゃろ?いつでも襲い掛かるのものじゃないのか?」わざと背中を向けたりして挑発をしている。

それを見た騎士の部の人達が一斉に襲い掛かる、お爺ちゃんと言えどあの数は危なくない?心配しながら見ているとお爺ちゃんがちらりと視線を向けてくる、どうやら、私が心配そうに見ていることに気が付いたみたいでウィンクで返事をしてくれた、余裕あるから大丈夫ってことかな?


お爺ちゃんが持っている得物は片手剣、当然、片手剣よりも間合いが遠い槍を持った人が先陣を切るのは正しい判断、槍兵部隊が一人二人三人と同時に攻める。

一人目がお爺ちゃんの胴体めがけて突きを繰り出すけれど、体を捻って最低限の動きで、華麗に躱した瞬間に槍兵の指を片手剣で叩く、槍兵は手甲を装備しているので叩かれた指は、折れはしないだろうけれど、結構な衝撃みたいで、突きを放った槍が揺れている、その揺れた隙に剣を持っていないほうの手で躱した槍を握り、突きを放った槍兵に向かって押し出し、槍兵は自分の槍で胴体を突かれる。


持ち手の部分であり木製なだけあって鎧が少々凹んだくらいで済んでいる、鎧が凹むほどの衝撃を受けた一番槍は後ろによろめく、二番手も続けざまにお爺ちゃんの足元に向かって突きを繰り出しているが足を上げてあっさりと躱される同時に、突き出した槍を一瞬で上げていないほうの足で地面に固定し、避ける為に上げた足で槍を踏み、圧し折る。


三番手の槍兵が、槍を腰の回転と共に槍を薙ぎ払うようにお爺ちゃんの顔面に向けて振るうが、あっさりと片手剣で上空に打ち上げられると同時に手に持っていた槍で三番手の膝に向けて突きだしカンっという音と共に、三番手の槍兵が前に進めなくなってしまい、三番手が打ち上げられた槍を振り下ろそうとする動きを完封したと思った瞬間に、膝に当てた槍を一瞬で上に向かってしならせると槍の持ち手の部分で、三番手の顎先を下から上に向かって打ち抜き、三番手の意識を刈り取る。


恐らく、先の流れから考えられる連携は、一番手の槍兵が胴体を狙って動きを封じ、二番手がさらに、足元を封じて、三番手が相手の意識を刈り取る連携で、その後に、槌部隊、剣部隊で畳みかける連携だと思われる


なので、この先に繋げる為に待機していた殴打、切り裂き担当の槌剣の二人が動きを止めている、ベテランさんが「カバー遅いぞ!」一喝すると、二人は急いで前に出て、ここが獣との戦いだったら、獣からの追撃を許すわけにはいかない、なぜなら、追撃される=前に出ていた兵は死ぬからである。

槍兵と敵の間に割って入ろうとするが、時は既に遅かった、一番手の喉元には片手剣の切っ先、二番手の喉元に奪われた槍の切っ先が突き付けられていた、それを見たベテランさんが「それまで!」大きな声で終了の合図をだす。


あの連撃を苦も無く躱し、得物を奪い、相手の先を封じ、二名の命を刈り取る一連の流れが速すぎる、対人戦においてお爺ちゃんに敵う人っているのだろうか?

そんなことを考えながら、顎を撃ち抜かれた人の容態を確認するが顎が折れている様子はなさそうなので、軽めの回復術式を施してあげると、ありがとうございます団長っと声を出してくるけど、顎打たれているのだから話さないほうがいいよっと一声かけてあげる。


「どんなもんじゃい!ワシもまだまだいけるじゃろ?孫ちゃん」

お爺ちゃんが褒めてほしそうにニカっと笑っているので「最小限の動きで落ちたスタミナを考慮しつつの華麗な動き、熟成され完成された動きだと思うよ」素直に感想を述べると嬉しそうにそうじゃろそうじゃろっと大きな声で返事をしながら、うんうんと頷き、満足した顔をしている。

「恐れ入ります、流石は師匠の御父上、学ぶところが非常に多く感服いたしました」手をパチパチっと叩きながらベテランさんも感想を述べている「どうじゃ?お主も交えるか?」お爺ちゃんが軽く挑発するがベテランさんが壁にかかっている時計を指さしながら「ご予定が、おありですよね?」っとうまいこと挑発から逃げている。


まぁ、確かに予定の時刻まで時間がないけれど、いいの?若手たちにカッコいい処orかっこ悪い処を魅せなくて?王国筆頭騎士、王家直轄の騎士と手合わせなんてそうそう出来ないんじゃないの?

「そうじゃな、もういい時間だしな、一対一の演武は先ほどしたしのぅ、それに、他のメンバーっとなると新人達しかおらんし、分が悪すぎるっか、良き戦略眼を持っておるのう」

なんだ、二人同士の戦いは既に終わっていたのか。

確かに、新人達を嗾けたとしても逆に邪魔にしかならないから挑むべき相手ではなく、勝ちの目がない退くべき相手ってわけになるのね、撤退するのもまた大事だもの、私たちの敵は獣、第一に考えることはこちらに被害なしで殲滅することだからね。その判断は正しいものだと私も思う。


お爺ちゃんが得物をベテランさんに渡すと「ほれ、孫ちゃん、食堂にいこうか」っと笑顔で私の肩を叩くので、三番手の人も自分は大丈夫ですのでっと起き上がったので、お爺ちゃんと一緒に食堂に向かっていく。


二人で食堂に到着すると、お母さんも姫様も先に到着していたみたいで二人でノンビリと談笑している様子だった、どうやら、先にご飯は食べ終わっているみたいでゆっくりと女子トークを楽しんでいるみたいだったのでお爺ちゃんに「何か食べたいのある?」って聞くと「何でもいい」っとのことで、先に席に座ってもらっておばちゃんにお昼の定食を二つ注文し、出来上がった定食をもってお爺ちゃんに渡すと「肉か…」っと一言呟くと、お母さんが「何でもいいのなら何でも食べましょうね」っと圧をかけると小さな声でハイっと言うと口に運びモグモグしはじめる。


もし、お爺ちゃんに介護が必要になったら確実にお母さんが呼ばれるのだろうなと先の未来が見えてしまった…


食事をしながらふと、気になることを思い出したので、姫様に確認する、そう、王都に出発するときに出自がどうのこうのってあれなに?お爺ちゃんも知ってるみたいだったけど?

「あらー聞こえてたかー」失敗失敗てへ☆彡っと舌をだすけど絶対にわざとだよね?わざと聞こえるように言ってたよね?


「貴女の同期であり、最近めでたく結婚したティーチャーも実は王家の血筋だよ」

「「ぇ!?」」驚いた声が二つ同時に出てくる、どうやらこの一言にお爺ちゃんも驚いていた。

ん?あれ?お爺ちゃんも知ってたんじゃないの?出自のこと。

「あやつ結婚したのか!?相手は?」ぁ、そっちか…

「相手は、研究塔の主、お爺様にわかりやすくいうと、あの一族の血筋だよ」

その一言でお爺ちゃんがポツリと呟く「あの血筋なら問題ないのう、あやつも命を狙われんですむ…いや、子供のほうが危ういのか?」物騒な内容を呟かないでもらってもいいですかぁ?


状況が呑み込めていない私を見て姫様は更に詳しく説明をしてくれる。


ティーチャーのお父さんが前王で、お母さんはとある貴族の家系、その次男だよ。

王位継承権は有しているけど、本人はその気がないのは見てわかるよね、知っていると思うけど、彼は闘争を好む人じゃない。


王位継承のゴタゴタに巻き込まれたくないので、前王がこの街に行くように仕向けたんだって。

彼も、この街に来たのであれば勤めを果たそうと頑張った、想定以上にかなりの結果を残してしまったんだよね。


その理由も単純で、幼い時から修練を積まされてきたから、土台が違い過ぎて、他の人達からすると一線を凌駕しているのよ。

実力が伴っていれば、必然的に、この街で、結果も出しちゃったってわけよ、あれよあれよと、気が付けば今の地位に落ち着いちゃったんだよね。


だから、彼と私がもし、王都に凱旋しようものなら、下剋上が成立しちゃうってわーけ。

ほんっと、困ったことに、現在この街にいる責任者達が、まさかの王家の血筋、本人たちはその気がなくても、王家の血筋ってのはね、政治的に見て厄介なの。


当然、街での功績や名声は王都にも広まっているから、非常に優秀であることが民衆にも伝わっているので、もし、仮に貴方達が下克上をしたとしても、民衆たちは確実に支持してくれる、貴方達なら王家の一員として受けれいてくれるほど、評価が高いのよ。


困ったことにねー、ほんっと、この街じゃなかったら確実に、今の王様なら暗殺してきてたと思うよ?

っていうか、絶対に暗殺対象に入ってると思う、私とティーチャーと団長の三名は、暗殺対象だと思うよ


その話を聞いてお爺ちゃんが険しい顔をしている、まさか、自分の孫が暗殺の対象になっていると再確認させられているのが辛いのか、それとも、王族の醜い醜態に対して反応しているのかどっちだろう?


続けて姫様が説明をしてくれる

気が付いていると思うけれど、王都では貴女は男性として出自の登録がされております、なので、女性の体型に成りましたし、女性の恰好をすれば誰がどう見ても女性にしか見えないので王城に入ったとしても誰も、貴女の事だと気が付かないだろうってことで、女性の恰好を指定しました。

それと、ティーチャーに関しては結婚したことは王都には伝わらないようにしています、幸いにも、奥様の家系はこの街にいらっしゃるので、特に問題なし、ティーチャーのほうも実家とは疎遠なので問題なし。

王城に近寄らなければ暗殺されることはないでしょう。


私はいつも通り警戒すればよし!迂闊に、王家の血筋の人と一緒に近づかなければたぶん、派手な暗殺はしてこないはず。


念のために、服の指定は何の意味があるのか気になっているので確認すると「見たかっただけ!」ぁー、うん、そうだね。姫は、そういうとこあるからね。

気になることも聞いてしまったので、その後は特に何もなくご飯を食べ終える、お爺ちゃんが悲しそうな顔をしているので、食事中に聞くべきじゃないというか、お爺ちゃんがいるときに聞かないほうがよかったんじゃないかと反省する。


気まずい雰囲気で、食事も終えて、お爺ちゃんが行きたい場所に向かう流れになってるけど、遠目でいいよね?さすがに、ね?危険地帯にいくのは、非戦闘員である人を連れていけないよね?

そんなことを考えて歩いていくと、大穴から敵が攻めてきた時の最終防衛ラインと言われている城壁のごとき壁、その出入口まで歩いていく、その城壁の上に遠見の術式が施された魔道具が設置してあるので、そこで目的の場所を見てもらうのだろうと思っていたら、どうも、様子がおかしい。


門の近くにフル装備の女将がいるし、女将の隣にはお父さんの鎧と片手剣、槍まで用意してあるけど?

お爺ちゃんが何も言わずさも当然のように、お父さんの鎧を着始めているし、お父さんの愛刀を腰に差してる…背中に槍も装備している、戦う気満々ですよね?ぇ?行くの?お母さんはどうするの?ぁ、隊服に着替えてくるの?行くのか…


行くなら行くって言ってよ、装備持ってきてないよ、自室まで取りに行くから待っててもらおうかな?そう言おうと思っていたら肩を叩かれ振り返るとメイドちゃんが笑顔で私の装備を渡してくれる、お昼いないと思っていたら準備していたんだね。

その場で着替えようとしたら、お母さんと一緒に更衣室で着替えておいでと姫様に注意されたので一緒に更衣室に向かう。まだまだ、男として生きてきた部分が残っているから気を付けないといけないよね。


全員の準備が終わって一緒に向かう人たちを確認する

姫様、私、お爺ちゃん、お母さん、女将、ベテランさん。


メイドちゃんは連絡係として待機&遠見の術式で危険がないかの監視要員。


出発するメンバーで察する人もいると思う、うん、そうだよ、お爺ちゃんがね、息子が死んだ場所を見たいって言うリクエストがあったの。

どうやら、昨夜、あの酒場で全員で行こうって話になってたみたい。


ここから歩いて、凡そ、3時間くらいで到着する場所、当然、転移術式を経由していく、経由してもそれくらい時間が掛かる

だって、デッドラインの近くまで行くことになるから…非常に危険な場所でもある、そんな場所にまで行くとは思っていなかった、遠見の術式を使えば見えないこともない場所だから、てっきり昼間の明るい時に遠くから見るのかと思っていたけど、現地まで行くとは想像もしていなかった。


思い返してみれば、姫様が隊服を着てる時点で、気が付かないといけないよね、昔から私って察しが悪い子だったから気が付かないのはしょうがないよね?

後、戦闘服、ちょっと変わったのかな?なんか感覚が違う?あとで説明を聞いてみよう。


さぁ、気合を入れないとね!戦闘に長けている人が大勢でも!非戦闘員がいるのだから絶対に守らないと!あの姫様ですら見たことのない装備を身に着けてるからね!

さぁ行こう!お父さんの死に場所へ…



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