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最前線  作者: TF
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おまけ 姫の過去編2~親の心、子知らず~

毎朝の食事の時に、お父様が時折、私の髪の色とチラチラとみているのがうっとおしいので、


術式を使って、本当はね、すっごく嫌だけど!!

髪の色を金色に輝くように徐々に徐々に色濃くしていったの、いきなり派手にするとバレてしまうから、少しずつ少しずつ濃くしていって、お父様と同じような色合いになったら術式を展開するのを辞めた。


一度染めてしまえば、長く染まっているのもペットの犬で実験済みだ。


お陰でね!うちのペットの毛質も、私と同じくらい金色のピッカピカで輝く毛並みになったの、周りからは、なんて高貴な!お犬なのかしら!って感じで、べた褒めされている。

なので、私の家にいるわんちゃんは、再度、染め直すべきか判断する良い生ける素材となったのだ!ふひひ。


それからかな~。毎朝のチラ見もなくなって、悲しそうな顔をしなくなってきたのは、恐らくだけど、私とお母様を重ねていたのか、もしくは、私がお母様と同じ病にならないか心配しているのだろう


いらぬ心配だよ!心配するくらいなら、、、お母様のことをもっと考えて助けようとしてくれても良かったのに。


今のところ、お母様の様に骨と皮だけ!みたいな感じでガリガリには~なっていない。

平均的な女性と同じくらいふくよかに育っている、と思う。


流石に、裸を見せろなんてお父様も言ってこない、言って来たら兄弟姉妹皆に頼んで、お母様達も巻き込んで、はったおします。


10歳になるころには、健康的に育ち幼い頃と変わらず元気だった。

その姿を見てから、外に出ろ!外に出ろ!と、五月蠅くなってきた。


今までだと、外に出るな!外に出るな!ばっかりだったのに、言う事がコロコロ変わってうっとおしい!!部屋でこもって術式の勉強がしたいのに!!邪魔しないで!!ほんっと自分勝手で嫌い!!


いきなり、部屋に使用人たちと一緒に押しかけてきて、着たくも無いドレスを着せられて、強引に外に連れていかれたの。

それが、世に言う社交界だって知ったのは到着してからだったわ。


初めての社交界、お姉様からどういった世界なのか、何をするべきなのか、徹底的に愚痴という形で勉強してるから、絶対に行きたくなかった!!

すっごく嫌だったけれど、せっかく外に出るのだから何か得るものがあるだろうと思って、少しだけ、意気込んでいったのだけれど、


正直に言って、あまり得るものが無かったってのが結果になります。


だってさ、皆ね?当たり障りのない会話ばっかりでさ、私を見る、視線というかそういうのがね、何処か、悲しそうというか、腫物を見るみたいな感じというか、

理由はね、何となく察しれたの、たぶんだけど、きっとね、ここに居る人達ってさ、


お母様の事を知っている人達だと思う。


この社交界って場所でレディがすることはね、婚約者を見つけたりするのがレディの務めだし、

未来の旦那候補から声をかけて貰える様に努力するのが、お家としての役割だって教えてもらっていたけれどさ、


深く関わってもすぐ死ぬ可能性が高い生き物なんて見たくも知りたくもないって思うもの、それに、恋仲になってもさ、子供が出来てもさ、お家の存続問題に繋がる可能性が高いんだよ?


だったらね、なおさらだよね。


関わろうなんて酔狂な事、誰も思うわけないじゃん、だから無駄足になるし、そんな目で見られるのも嫌だから絶対に参加したくなかったのに!!!


お父様は、きっと、私が苦しい姿を曝け出すのをみたいだけなんだよ!嫌い、意地悪なお父様なんて、ほんっとに!!!だい!!!!っっっ嫌い!!!


つまらないの、こんな世界なんて知りたくなかった肌で感じたくなかった!知識だけで良かった!想像通り嫌な思いするだけだった!私の予想を覆してくれなかった!!


家で本を読んでる方がさ、ずっと、ずっと!ずーーーーーーーーーーーと!!有意義じゃん!!!もう二度と外なんて出るもんか!!!!

孤独にね、椅子に座ってさ、ぼーっと時間が過ぎるのをさ、待つだけだよ?だってさやることがないから。


大人しく待っているとね、ギリギリだけどね、耳に聞こえるかどうかってぐらいの音だったけれど、聞こえちゃったの!気になるワードが聞こえてきたの!


音が聞こえてきた方向に向かって歩いていくと、段々と音が鮮明に聞こえてくるからね、聞き耳立てれるくらいの距離まで近寄ってね。


聞き耳を立てたの、ばれたら何処かに行っちゃうと思ったからばれないように聞き耳を立てるの。


近寄りすぎないようにしてたら、ちょっと距離を取りすぎちゃったの、だから、よく聞き取れなかったからね、集音作用のある術式を展開して、意識を集中して聞き耳を立てることにしたの。


会話の内容が、とってもとってもとぉおぉおおおおっても!!!!興味ある内容ばっかりだったの!!!


この瞬間、私にとって、もっとも!ホットな話題!といえば、これしかないよね!?


そう、術式についての会話だったの!!!


こんな場所でも、そんな会話をする人が居るとは思わなくて、どんな内容なのか興味津々でずっとず~っと社交界が終わるまで、そこで話を聞いていたの。


唯一得るものが得れたのだと実感があるのが、この会話だけだと思うくらいすっごい嬉しかった。

私以外にも、術式に興味がある人が、こんな場所まで足を運んで来てるなんて思ってもみなかったから。

すごく嬉しかったの、同好の士がこんな場所にもいるなんて思わなかったの!

予想外の出来事って、なんでこんなにワクワクしちゃのかしら?


それからは、とても有意義な時間だったの、だからね、すっごく早く!時間が過ぎ去ってしまうの。


さっきまではさ、いくら待ってても全然、時計の針がピクリとしなかったのにね、どうして楽しい時間ってこんなにも早く時計の針が動いちゃうの?過ぎていっちゃうのかな?

もっともっともっと、ゆっくりで、穏やかに、緩やかに、春先の窓から入ってくる風の様に遅くてもいいのになぁ、


絶対に、時間に関係する、術式をいつか紐解いてやるんだから!時を、次元を、時空を超越してやるんだからね!


それでね、凄く気になるワードも知ることが出来たの、あの人達が話をしていた場所が気になるの!えっとね、前線だっけ?なんかそんな場所


そのワードを頼りに色々と調べていったら、それが何を意味するのかすぐに分かったわ、私達子供たちはみんな知らなかったの、お姉様もお兄様もそんなこと一言も仰っていなかったし、使用人たちもそんな話題を出したこと無かったから、知らなかったのだと思っていたの。


違っていたの。


世界がね、そんな危機に瀕していることに、知らないのも私から下の子たちだけで、実は、お姉様やお兄様、みんな知ってたの。当然、使用人も全員知っていたわ。


私くらいの年齢には、学校とかで教えてもらったりするみたいで、それで常識としてしってるみたいだけど、私は学校とかそういったのは行かせてくれなかったから、知らなかったの。


それにね、お姉様が教えてくれたの!お父様が敢えて私からその話題を遠ざけていたの!

それで、家の中、特に私がいるときは、その話題は禁止みたいな感じだったみたい。


きっと、私が興味を持って出て行っちゃうのが怖かったからだわ!まったくもう!お父様は私にばっかり意地悪するの!


ほんっとに嫌い!


どうして?不思議で仕方がないの!!お母様は、なんであんなのが好きになったのかしら?

まlその、日記を読んだから理由は知っているけれども!納得できないの!


ある時期になると日記の内容が、お父様を褒める言葉ばっかりの時期があって、心の底からうんざりしたもの!あーやだやだ思い出しちゃったじゃないの!気持ち悪い!!


お母様は好きだけど、あの時期のお母様は嫌い!


それから二年ほど、社交界に出ろ!貴族としての嗜みを身に着けろ!淑女として未来の相手を見定めろ!とか言ってくるの!顔を合わせるたびにずっとずっと言い続けてくるの!


もう、うんざり!社交界に出ても、あんな、あんな、私に興味が無い人達と笑顔で会話なんてしたくないわ、ただただ、純粋に辛いのよ。


あの空間が、あそこにいる人達が苦手なの、どうしてお父様は、それがわからないの?理解しようとしてくれないの?どうして、歩み寄ろうとしないの?人の心が無いの?


本当に、心の底から私を愛してくれているの?ただ純粋に疎ましいだけじゃないの?嫌い、だいっきらい!!


でもね、お父様の事は心底どうでも良いのだけれど!最前線の街の事は、すっごく興味があるの!


あれから2年!初めての社交界から、もう2年も経ったのよ!


思いが膨らむ一方なの!ずっとずっと行きたくて行きたくて!どうやって行こうか悩んでるの。

だってね、お父様に頼んでも絶対にダメ!って言われるのはわかってるの、だから、私もお父様が行け!って言う場所には全部、嫌!って言ってるの。


だって、良い子にしてね、はいはい!って、言うことを聞けば聞くほど、予感と予想、二つともが告げているの、最前線の街から遠ざかっている可能性が高くなっていくって。


だったら、いっそのこと、お父様なんて無視して、私一人でどうにかして、最前線の街に行くことが出来るのか、その方法やルートを色々と調べてるの!


その一つがね、学校というところを経由していく方法があるの!課外学習?問題児更生プログラム?そんな感じのカリキュラムが学校にはあるの!


でもね、私は、お兄様やお姉さまが通っている学校には通わせてくれなかったの、幼い頃の私はてっきり、通うものだと思っていたから、お前は行かなくてもいいなんて、言われるとは思ってもいなかったの。


当然、下の弟や妹たちは学校に通っているし、通い始めたての弟や妹もいるわ。

その妹や弟と一緒の学年から始めるなんて、その、ね?私が行くのはちょっと年齢差が凄すぎて浮いちゃうよ…


同世代の子たちと同じ学年にしてくれたら嬉しいけれど~終了課程っていう、課題を乗り越えないと学年が上がらないってお姉さまが仰っていたから、1から進めるのは、その、年齢差が凄くないかな?


だから!今更!学校に行きたい!なんて~言えない!!かといって、家を出て、自力で向かおうにもお金ない。。。


旅をする為にはね、お金が必要なの!それも結構な金額が必要なの!だって、大陸の地図みたら、すっごい距離あったよ?

歩いていったら確実に路頭に迷って死んじゃう自信があるの。


貴族だから、お小遣いいっぱい貰ってるでしょって?私、お小遣いを貰ったことないの。


だって、外に出ることが無いから貰ったことないの、街にもいったことないの。

学校に通う妹弟達でさえ、お小遣い貰って、好きなもの買って帰ってきたりしてるのに!学校でいい成績を納めたら特別ボーナス貰ってたりするのに!!!


じゃあ、私はどうやって好きな本を手に入れているのかって?

本とかは、使用人に頼んだら買ってきてくれるし、売ってない本は、図書館で借りてきてくれるから、その、私が欲しい物は直ぐに手に入ってたから、お金なんて持ったことないの。


本の内容もね、子供たちが読む童話とか、英雄譚とかの趣向品じゃなくて、しっかりとした学術の本、それもね、私くらいの年齢の娘が読むような簡単な本じゃなくてすっごい、難しい専門の本だから、勉学の為ってことで、無条件で買ってくれるの。


外に出なかったら、物価とか知らないって思ってない?そんな事ないよ!ちゃんと物の価値はわかってるからね?そこまで箱入り娘じゃないから!


みんなのお給金がどれくらい貰っていて、それが高いのか安いのか世間的にどうなのかとか、平均年収はどれくらいなのか、ちゃんと知ってるよ!


専門の本ってすっごく高いのも知ってるよ!使用人が気軽に買えないってのも当然知ってるもん!私が書いた本が秘かに高値で売れてて使用人のポケットマネーになってるのも知ってるもん!


それにね!専門書だけじゃないの、私が呼んでる本はね、術式だけじゃないからね?

いろんな本を読んだから知ってるもん!使用人が娯楽で読んでる本も見せてもらってるし、週に一度、発刊されている、新聞もちゃんと隅から隅まで読んでるから世間の事は、見てはいないけど、知識としては知ってるよ。


まぁ、術式以外の本を読むようになったのも、最前線の街に行くために何が必要なのか調べる過程で得た知識なんだけどね。


つい2年前までは、まったく物の価値なんて知らなかったけどね!


…だから、本があんなに高いなんて知らなかった、使用人にね、高い学術の本を買いにお使いに行ってもらったときに、持たされたお金を持って逃げなかったのか不思議だよぉ。

軽く3カ月くらいは、働かなくても食べていけるだけの金額だったなんて思ってもみなかった。


やっぱりその、最前線の街に行く正攻法としては、誠実に真っすぐに、お父様を説得して連れて行ってもらえるのが一番だと思う。


純粋に応援してくれたら嬉しいけど。


絶対に断られるのわかってるもの、だって、お父様からしたら、娘なんて財界とのパスを繋げる道具としか思っていないもの。


そんな道具が、何も利益を生む事無く、勝手に出ていこうとするなんて許してもらえない。


だからね、どうやって説得すればいいのかわからないの、使用人に相談しても、許可は絶望的じゃないかな~ってみんながね、口をそろえて言うの。


どうしたらいいのか何も策が出てこない、だって、お父様の事、12年も一緒に居るけれど、良く知らないの。お金が大好きくらいしかわからないの。


だってね、嫌いって感情は厄介だなって思った、嫌いだから相手の事を否定したいから知りたくないの、見たくないの、考えたくも無いの、脳の一部でもリソースを割きたくないの。


嫌いって感情って、本当にダメ、すっごく厄介!

今みたいな、大事な時に情報戦で戦えない、嫌いだからこそ、相手を知り利用するくらいの強かさが必要だと痛感してる。


お姉さまが仰っていたのを思い出す、厄介でうっとおしい相手は味方につければ心強いけれど、敵になると本気で殺したくなるって。


嫌いって感情が極まると殺意にかわるってお姉様から学んだの、さすがに、お父様のことは嫌いだけど、殺したいなんて物騒なこと思いたくもない。


そんな悶々とした日々をずっと送っていたの、人を説得するにはどうすればいいのかを色んな使用人から色々とレクチャーを受けたりもしてた、お姉様達、お母様達にも、相談に乗ってもらっていたの、為になる話ばっかりだった、だけれど、その、使えない方法もいっぱい教えてもらったの。


色仕掛けっていう、財界や、社交界とかお見合いとかで使うテクニックをお父様に使いたくない。


恋愛話が、好きなメイドさんからも恋愛トークを教えてもらったり、恋の駆け引きとかもいっぱい知りたくもないけれど教えてもらったよ!使い道あるのか知らないけどね!


財務を、管理している人にもいろいろと教えてもらった、相手の欲しい物はどうして欲しいのか、その背景を知ることで相手に一歩近づき相手の懐から強烈な一撃(賄賂、及び、接待等)を与えて

断りづらくする方法とか、大人って汚いって思ったけれど、よくよく考えると理に適っててすっごい勉強になる。


後ね!すっごく面白いの教えてもらったの!殺意があって、恨みもある相手には、相手が大事にしている人にあえて!大事にしている人が欲しい物を贈って、お前の事は隅から隅まで調べてあるぞって脅しを含めた贈り物を送るって手法も教えてもらったの!…どこで使えば良いのかしら?


他にもね、社交界の達人である、意中の相手を絡め手を駆使して捕まえた、お姉様にも色々と正攻法ではなく、お姉さま的にも邪法だと思っている数々の方法を教えてもらったり、清廉潔白で誠実に相手と接することを良しとする規律大好きなお兄様からは、清廉潔白嘘偽りなし信頼を持って接することで相手から信頼を得る方法とかを、教えてもらったの!

どうして、相手に誠実であるのが大事なのか、信頼とはどのように生まれるのか、人は損得勘定だけで生きているわけではなく義理人情でも動くこともある!そんな心の葛藤とかを教えてもらった


では、お父様には、どれが最も有効なのか?知り得た情報を有効活用すれば、落とせれるのか?どうすればいいのだろうか?


頭から湯気が出るくらい、悩んだ、悩みに悩みぬいた。それはもう、術式の本を読んで疲れた時にふと考えりもした。


それでも、わからなかった、そもそも、どうしてお父様が私を家から出したくない出したくないって、ずっと言ってたのに、急にころっと変えてきたのか一連の流れ全ての理由が判らない。


絶対に断るってわかっているのに、お見合いの話を出してきたりと、私をこの家から追い出したくてしょうがないのかな?って思うときもある。


あーもう思い出しちゃったじゃなの!なんで、あんなぶっさいくで気持ち悪いやつと結婚しないといけないのよ!あとヒョロガリもお断り!勉強が好きなお前にはぴったりだろぉ?

あんだぁ、てめぇ!?私の好み!わかってないだろこのやろぉー!子供のころに教えてやったじゃないの!


筋肉ムキムキで英雄みたいな人が好みだって!


考えるだけで、イライラしてくる相手には、ついついきつく当たってしまうの、これもまた、良くないのはわかっているの、だけどね、どうしてかわからないけれど


反抗したくなるの、なんでだろう?嫌いだからかなぁ?…うん、きっと嫌悪感が強く出ちゃってるだけだよね?


ぁぁもう、思い出したら、イライラするなぁ、なんで嫌いな奴の事をこんなにも考えさせられるの?無駄じゃないの?ぁぁーもういいや!本読もー!気持ちの切り替え大事!


そんな感じで、毎日のストレス、イライラをぶつけるように部屋に引きこもりながらひたすら、術式の研究を没頭する日々を送っていたの。


その間も、何度も何度もお父様がね、あれをしろ、これをしろ、いいから出てこいっていう言葉を投げかけてくるけど、全部、嫌だ!って、断ってたのね。


ある日唐突に、急にドアが開けられて~、強引に手を掴まれて~馬車に乗せられて~、馬車の中で用意された服に着替えさせられて~。


流石に、部屋着でお外に出るのは恥ずかしかったから着替えさせて欲しいって言うと、馬車の中に着替えも用意されていたから、着替えるけど、せめて、着替えてる間くらいこっち見ないでくださる?


男としてマナーがなってないのではなくて?義理のお母様に言いつけるよ?実の娘が目の前で着替えてるのに、着替えをガン見してくる変態って言いつけるよ?


あ~もう、イライラするなぁ、急に連れていかれたことに腹が立つし、部屋着のまま強引に、せめて着替えてから連れ出してよ!なんで、嫌いな人の前でこんな狭い馬車の中で!ストリップショーみたいな状況にさせられてるのよ!ってのもイライラするし、二人っきりってのも、また、ぐぎぎぃ!イライラするぅ!!!



でもね!これってさ、逆に考えるんだよ!チャンスだって!この滅多にない二人っきりの時間を使って説得すればいいのよ!


降ってわいたような機会を逃すな!零すな!チャンスを握りしめろ!この未曽有の大チャンスに気がつかない者は栄光を掴めない!真に欲するモノが手に入る可能性が出てきたときにアクションを起こせないのは3流だぁ!!!

きっとね、これは、お母様が背中を押してくれたチャンスなのよ!絶対にものにしてみせる!!



・・・・・・・・・長い長い長~い沈黙



いきこんでみたのは良いのだけれど、何から話せばいいのか、さっぱり、わからないの、何も浮かんでこない、会話の取っ掛かりも出てこないの。

やっぱり嫌いな人とは、話せない、話そうとしても喉から声が出ないの、お母様、私はどうやら3流みたいです~どうしたらいいのかわからないよ。。。。お母様はどうやって、この唐変木から会話を引き出せたの?幼い頃に見たお母様とお父様は良く会話なさっていたのを覚えているのに、私ではダメなの?



父と娘、会話の無い沈黙馬車の旅は想像を超えてとても長かった、だって、出発した瞬間は日帰りだとずっと思っていたのに、まさか、生まれ育った街の門を超えた辺りから


ぁ、これ、もしかして長旅になるのでは?という予感がしてきたの。


更に続く沈黙の旅、、、、


長い事、一言も話さない。

沈黙馬車でやることがなくて、ついつい視線は馬車の窓を見てしまうけれど、外を見てても楽しいことは無くて、本を読もうにも揺れてて気持ち悪くなるから見れなくて、辛くてぇ、どうしようもなくてぇ、


ぼけーっと頭の中で術式を組んでは消して組んでは消してをしていると、街に入る為の関所が見えてくる、関所を通っていくと、初めて訪れる他所の街並が馬車の窓から見える、屋敷の窓から見える街並とどことなく雰囲気が違う、新鮮さがある街並。


唯でさえ自分が生まれ育った街ですら見回ったことが無い私にはすごく新鮮に見えて、ついつい、景色を堪能してしまった。


お父様と馬車を運転する召使の人が二人、私を含めてたったの四人だけの旅。


どこまで行くのかわからない旅。行き先を教えてくれないからね。目的地は隣街なのかな?


てっきり、何処かの貴族の家にでも連れていかれて強制的お見合いからの~即日結婚式!とかするのかと思っていたけれど、全然違っていた、だって、隣町に入ったと思ったら、もう出ちゃったから

出たと言っても、少しだけ休憩する時間はあったのよ。


トイレ休憩とご飯を食べただけ!だけどね!この街に入ってしたのはそれだけ!…観光目的でもない?


これは、もしかしなくても、凄く遠い旅の予感!?だってね、馬車には結構大きな荷物が積まれているし、それだけじゃないの、普段はね、帯刀なんてしないお父様が腰に剣をつけているし、馬車の横にもね、武装があって、槍がね、両サイドのドア上に、各2本ずつ、合計4本も装備されているの。


たぶん他にも、何かあった時の為に、装備があると思うのよね、馬ちゃんだって、甲冑みたいなの装備してるの。



こんな重装備でいったい、何処に向かってるのだろう?



気まずい家族旅行は順調に続いていく、初めての外がこんな長旅になるなんて思ってもいなかった、長く硬い馬車に座っているせいでお尻痛い、トイレもすぐにできないから、飲み物も適度に飲めないからずっと、喉が渇いた辛い、喉が渇く原因として他にもあるの、、


お父様と二人っきりっていう部分でも喉が渇くの。


折角の外で、誰にも聞かれず遠慮せずに親子水入らずで話すチャンス、チャンスだってわかっているのだけど、もう嫌。


この空間に耐えられないよ、帰りたい、帰りたいよぉ、この二人だけの空間すっごく嫌だ。辛い、お尻も辛い、喉も辛い。。。。


大きな街で泊まっては進み、泊まっては進み、三つかな?四つかな?もうわかんないくらい、街を通り過ぎたの、正確な数なんて、なんかもう辛すぎて記憶があいまいだよぉ、揺れが酷くて本なんて読んでたら気持ち悪くなるし。


お父様は一言もしゃべらないし、ずっとピリピリしてるし、限界だよぉ、帰りたいよぉ、なんでこんな目にあってるの私?


涙が流れ零れ落ちないようにぐっと堪える、ここで泣いてしまうとお母様に笑われちゃうし、目の前の唐変木に涙なんて見せたくない!!

ギリギリのプライドで心の枷が外れないように耐え続けているとゆっくりと馬車のスピードが落ちてくるのが分かる、次の街に着いたのかな?


馬車のドアが開いて、お父様が馬車から降りる、慌てて私もそれに続いていく、お尻が痛すぎて歩くのも辛い、、、

久しぶりの外は、風が気持ちよくて気温が穏やかな場所だった、周りを見渡すと、私が育った街とは大違い、無骨な城壁があって、高い塔がいくつもあって、見張り台っていうのかな?

そういうのもいっぱいあって、人が暮らす街っという感じではなく、何かに備えている街って感じだった。


初めて見る異質な光景にテンションが上がっていく、ここは何処なんだろう?今日はここに泊まるのかな?なんて思っていると。


ふと横を見るとお父様の姿が無く、どこ行ったんだろうと辺りを見回すと、なんでか知らないけど後ろの方に居る。


・・・?なんで距離取ってんの?じっと立っているとお尻が痛いんだけど、、、まだ歩いている方がましなんですけどー?なんで眉をひそめて険しい顔つきしてるの?


「お前は自由だ!!」


・・・はい?いきなり叫ばないでよ、そんな距離を置かなくても話せるでしょ?


「好きに生きろ!!!」


うるさいなぁ!!うわ何事かと人が集まってきてるじゃないの!?やめてよ恥ずかしい!!


「お前はもう平民だ!!!!」


大きな声ださないでよ!っていうか、何これ?どういう状況なの?恥ずかしくて頬も熱くなってきちゃったし、色んな感情でぐちゃぐちゃだよぉ、涙があふれちゃいそう、、、


「過酷なこの環境でお前は好きなだけ自由に生きろ!!!」


?ん?好きに生きてきたけど?もっと自由にいきろってこと?ぁ、もしかしてこれって私、捨てられる流れ?勘当的な感じ?ここって、もしかして、私の様な親の言う事を聞かない子供達を捨てる場所ってこと?


「ここの都市に名前は無い!人類の敵から人類を守るために生まれた最も死が近い街!!誰が呼んだか知らないが!人呼んで最前線の街!!」


ぇぇ!?ここがそうなの!?うそやだ本当に!?やった!やったぁ!!やったぁぁ!!!お父様大好き!なんてサプライズ!!


周りをぐるっと見回すと辺り一面に人だかりが出来ている、あまりの嬉しさとか、感動とか、お尻の痛みとか恥ずかしさとか色んな感情で感極まってしまい。

涙を、大粒の涙をポロポロとボロボロと、どんどん溢れて止めることが出来ない、あまりの嬉しさでつい「おどうざまぁ」っと情けない声を漏らしてしまった。


なんか遠くで声を震わせながら叫んでる身内の会話内容だけど、たぶんだけどこんな感じ


荷物は後日届けてやるから好きなだけ研究して好きな様に自由に生きろ、お前はもう平民だ。

貴族としての務めを拒否し、貴族としての生き方が出来ないのであれば、お前に貴族を名乗る資格はない!!多少の支援はしてやる!ここで平民として生きていけ!!


みたいな感じの事、言ってるけど、正直耳に入ってこないの!感極まりすぎて!!お母様!私、運命の街に辿り着けました!導いてくれてありがとうございます!!

ここで、私私、、思う存分、好きなことをして生きていきたいと思います!!!!!!


お父様が、くるっと華麗なターンを決めてかっこつけて馬車の方に戻っていく。

お父様が見えなくなると周りに居た野次馬の方たちが一斉に駆けつけてくる


可哀そうに!捨てられたのね!こんな年端もいかないのに!なんて非道な貴族なのかしら!!こんな可愛い子を捨てるなんて!!今日から私達の妹よ!!!


なんかすっごい、抱きしめられたり頭撫でられたりしてるぅぅ、頭を揺らさないで、気持ち悪、、、ぁ、、、だめ、、、

急な展開についていけず、ふっと意識が飛んでしまった。



ここから始まる、私の私だけの!本当の人生!ここから始まるの、導いてくれてありがとうお母様、夢はあきらめなければ叶う、素敵な言葉。




後日知ったんだけど、私の第一印象ってね。

12歳って若さで最前線の街に見捨てられて目の前で捨てられた不幸な子っというのが周りの印象で

出来ることがあれば、皆で助けてあげようっていう暗黙の了解もあったみたい。


だからこそ、この先の我儘放題が通ってしまったのね。



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