135、 いつかは、とどうしても思ってしまう
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されております。
本編の更新は毎週日曜のAM8:00ごろです。
「と1/2」シリーズは不定期です。
金曜日、仕事から帰ってきてご飯を作って智を待ちながら明日の準備をする。
「こんな感じでいいかな」
あらかた準備が終わったらヘアアレンジを見る。
いつもは自分でやるけど、明日は特別だから美容室を予約した。
「これもいいなー」
ソファーでハーブティーを飲みながら見てると玄関の鍵が開く音がした。
携帯を置いて玄関に向かうと智が靴を脱いでた。
「おかえりなさい」
智の前に立って声をかけると智が顔を上げる。
「ただいまぁ〜…」
ギューッと抱きしめられて私は抱きしめ返す。
「ふふ、お疲れ様」
「疲れたぁ」
いつの間にかお互いが帰ってきた時にできるだけ玄関までお迎えに行くようになった。
この時間が好きだったりする。
「ご飯できてるよ」
「いい匂いするー」
「今日は煮魚だよ」
智に肩を抱かれながらリビングに向かう。
智は荷物を置いて手を洗いに行くのを見届けて私は温め直す。
テーブルに料理を並べて一緒に食べる。
「「いただきます」」
美味しそうに食べてくれる智に嬉しいな、と思いながら私も食べる。
「明日、何時に家出るの?」
「10時かな」
「楽しんできてね。あと、写真撮ってきて」
「うん、もちろん」
二人でふふっと笑う。
明日は滝と由里香の結婚式だ。
次の日、智を朝ごはんを食べて見送った後、準備して美容室に行って結婚式場に向かう。
今日、午前に婚姻届を出してくると言っていた。
その話も聞かないと、と思っていると最寄駅に着いた。
改札を出たところで声をかけられた。
「中倉」
「雨宮、同じ電車だったんだ」
「みたいだな」
二人で会場に向かうことにした。
「雨宮がフォーマル着てると新鮮」
「なんでだよ。顧客との打ち合わせある時はジャケットじゃねーか」
「Yシャツは来てないじゃない」
「…それはそうだな」
身に覚えしかないのだろう、ちょっと気まずそうにする雨宮に苦笑する。
式場に到着すると上司や同僚たちがいた。
同僚たちと話していると声をかけられる。
「あれ、中倉じゃん」
「久しぶり!!」
振り返ると弓道部の同学年メンバー。
「久しぶり」
「蓮華ちゃん、相変わらず美人さんー!」
「そんなことないって」
「中倉、連司と同じ会社なんだって?」
「たまたまね」
久しぶりのメンツにテンションが上がる。
再会を楽しんでいたら挙式の時間になった。
スタッフさんに案内された私たちは席につくと挙式が始まる。
最初にシルバーのタキシードを着た滝が入ってくる。
いつもとは違う緊張した顔。
「滝、緊張してるわね」
「そりゃそうだろ」
智に見せる様にムービーを撮りつつ呟く。
次に由里香が入ってきた。
シンプルなレースのプリンセスラインのドレスが似合ってる。
「由里香、綺麗」
「だな」
由里香のお父さんから滝にバトンタッチ。
式が進んでいくのを見届ける。
幸せそうな二人に思わず泣きそうになる。
式が終わってブーケトスの時間。
「蓮華ちゃんも行こうよ」
「えー、私はいいよ」
「ダメダメ!!」
同期に連れられてブーケトスの受け取る組に混ざる。
由里香と目が合ってニコッとされた。
あ、これは。
「いきまーす!!」
由里香が大きく後ろに放り投げると綺麗な曲線を描いて私の手元に落ちてきた。
「きゃー!!」
「では取った方はお二人と写真を」
スタッフさんに案内されて私は由里香の隣に立つ。
「二人ともおめでとう」
「サンキュー」
「ありがとう!」
「で、由里香狙ったわね」
由里香は運動神経が結構いい。
だから狙って投げるのも得意。
「なんのことだろー?」
ふふっと笑う由里香に私は苦笑した。
披露宴も順調に進んでいき、お色直しの待ち時間。
「スピーチ緊張したー」
「それな」
友人代表で私と雨宮は二人でスピーチをした。
仕事とは違う緊張だった。
「二人ともちゃんとできてたぞ」
「さすがシゴでき」
シゴできと言ってきた同僚を睨む。
雨宮は無視してワインを飲んでる。
「それにしても滝くんと由里香ちゃん、本当に幸せそう」
「本当だなー」
「美男美女のシゴでき夫婦かー」
同じ席の同期達が楽しそうに話すのを眺める。
「あいつらって、本当に周りから愛されてるよな」
雨宮が小さく私に呟く。
「そんなの、前からわかってるじゃない」
「そうなんだけど、なんかより感じたって話」
クールな雨宮が嬉しそうにしてるのがわかる。
「そうね」
そんな話をしているとお色直しが終わったと司会からアナウンスがあった。
再入場した二人はまた雰囲気が違う。
オフホワイトのタキシードにネイビーの蝶ネクタイをした滝とピンクパープルのフリルが多めのドレスを着た由里香。
由里香はヘアチェンジもしていて、髪を下ろしてブーケと同じピンクと白の花を使った花冠をしてる。
「可愛い〜!」
「二人とも可愛い系だな」
動画を撮りながら思わず声が漏れる。
幸せな時間だな、と思いながら羨ましいともちょっと思ってしまった。
いつか、私もドレスを着れるのだろうかと思ってしまったのは内緒。
連司くんと由里香さんの結婚式です。
しっかりと友人代表(しかも二人の)でスピーチした蓮華さんと雨宮くんなのでした。
そしてどこか羨ましいと思ってしまう蓮華さん。
嬉しいのに羨ましいのです。
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