14.目覚め
目覚めると、どこかの狭い小屋のような場所だった。
天井の梁の間から天板が覗き、その隙間から幾筋かの薄い光線が舞い降りていた。
王子は薄明りの光線を横切るチリをぼんやりと見つめていた。
「あれ? ここはどこだっけ?」
王子は、起き上がると、寝ぼけた頭で周囲を確認していた。
右手には壁沿いに小さな棚があり、その脇には大きめの箪笥が並んでいて、その隣には小さなテーブルが置いてあった。
テーブルの上には何もなく、それどころか、部屋全体が小奇麗にかたずけられていて、どこか生活感のない様子だった。
王子はテーブルの角を見つめながら考えていた。
たしか……、『真王の証』を得る旅に出て……、マスケスと馬車に乗っていたんだっけ……
それで、シンクフォイルの所へ行く途中で、マスケスの仮面を付けて……、なんだか夢を見ていたと思ったら、気持ち良くなって、そこで寝てしまったんだっけ?
王子はあやふやな記憶に混乱していた。
「でも、なんで……、ここにいるんだ?」
王子は相変わらず、状況を掴めなかった。
王子がキョロキョロと辺りを見回し、ベッドの左側に小さな窓を見つけると、ベッドの上で膝立ちし、そこから外を眺めた。
正面には材木で作られた十字架が二つ並んで立っていた。
「お墓?」
王子がそう呟くと、なんだか急に焦げ臭さを感じた。
窓から身を乗り出し、右手の方を見てみると、そこかしこから白い煙が上がっているのが見えた。
そして、空からはハラハラと黒い煤のようなものが降っていた。
「火事?」
王子が混乱する頭を整理しようと思っていると、突然小屋の扉が勢いよく開いた。
王子は驚き、身を乗り出していることも忘れ体を引くと、窓枠に後頭部を打ち付けた。
「いたっ!」
王子が声を上げて、後頭部を押さえると、扉の方から声が響いた。
「おっ! ポンコツ王子か? こんなところで何してる?」
王子が振り向くと、そこに懐かしい顔があった。
「えっ! ジャニィ?」
王子は、書記官の制服を着こんだ、ジャニィを見つめていた。