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Journal Journey ~魔王罪として処刑する~  作者: 柚須 佳
第九章 年輪の仮面(真歴一四九八年二月)
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14.目覚め

 目覚めると、どこかの狭い小屋のような場所だった。

 天井の梁の間から天板が覗き、その隙間から幾筋かの薄い光線が舞い降りていた。

 王子は薄明りの光線を横切るチリをぼんやりと見つめていた。


「あれ? ここはどこだっけ?」


 王子は、起き上がると、寝ぼけた頭で周囲を確認していた。

 右手には壁沿いに小さな棚があり、その脇には大きめの箪笥が並んでいて、その隣には小さなテーブルが置いてあった。

 テーブルの上には何もなく、それどころか、部屋全体が小奇麗にかたずけられていて、どこか生活感のない様子だった。

 王子はテーブルの角を見つめながら考えていた。


 たしか……、『真王の証』を得る旅に出て……、マスケスと馬車に乗っていたんだっけ……

 それで、シンクフォイルの所へ行く途中で、マスケスの仮面を付けて……、なんだか夢を見ていたと思ったら、気持ち良くなって、そこで寝てしまったんだっけ?

 王子はあやふやな記憶に混乱していた。


「でも、なんで……、ここにいるんだ?」


 王子は相変わらず、状況を掴めなかった。


 王子がキョロキョロと辺りを見回し、ベッドの左側に小さな窓を見つけると、ベッドの上で膝立ちし、そこから外を眺めた。

 正面には材木で作られた十字架が二つ並んで立っていた。

「お墓?」

 王子がそう呟くと、なんだか急に焦げ臭さを感じた。

 窓から身を乗り出し、右手の方を見てみると、そこかしこから白い煙が上がっているのが見えた。

 そして、空からはハラハラと黒い煤のようなものが降っていた。


「火事?」


 王子が混乱する頭を整理しようと思っていると、突然小屋の扉が勢いよく開いた。

 王子は驚き、身を乗り出していることも忘れ体を引くと、窓枠に後頭部を打ち付けた。

「いたっ!」

 王子が声を上げて、後頭部を押さえると、扉の方から声が響いた。


「おっ! ポンコツ王子か? こんなところで何してる?」


 王子が振り向くと、そこに懐かしい顔があった。


「えっ! ジャニィ?」


 王子は、書記官の制服を着こんだ、ジャニィを見つめていた。

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