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Journal Journey ~魔王罪として処刑する~  作者: 柚須 佳
第七章 印刻の鎧(真歴九九九年一月)
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7.氷の芯

 王子は昨夜イソダムに教えられた西の岩場を彷徨っていた。

 まったく、氷の精霊はどこだ?

 王子が辺りを見回すと、巨大な雪の結晶のようなものが歩くとも転がるとも言えぬ動作でうろついていた。

 あれか? どんくさいな。

 王子は幻真の剣を抜き、正面なのか背中なのか分からない雪の結晶を切りつけた。

 幻真の剣が雪の結晶に当たると、それは溶けるように消え去り、後には六角形の氷のようなものだけが残った。

これが氷の芯だな。王子はそれを拾い二匹目の氷の精霊を探した。


 王子がイソダムの家に戻ると、イソダムがジェニーを軒先から引っ張りだしているところだった。

「イソダム、何をしているんだ?」王子は歩きながらイソダムに声を掛けた。

 イソダムはジェニーを引きずる体勢のまま王子の方へ振り向いた。

「おや、ちょうど良かったですね。そろそろ戻るころだと思いジェニーさんを連れていく準備をしていました」

「連れていく? どこにだ?」王子がイソダムの前まで来て言った。

「元いた場所ですよ。魂が来るとすればきっと同じ場所でしょうからね。そこに氷のドームを作ります」

 そう言うとイソダムは立ち上がり王子に尋ねた。

「芯は取れましたか?」

「ああ、これだな」王子は懐から氷の芯を取り出しイソダムに渡した。

「綺麗なもんですね」そう言いながらイソダムは芯を眺めている。

「氷の芯といいながら、こいつ自体は冷たくないんだから不思議ですよね?」

 イソダムはそう言って氷の芯を懐にしまった。

「さて、では行きましょうか。ジェニーさんをそこのソリに乗せてください」

 イソダムにそう言われると、王子はジェニーの身体をソリに乗せ、昨日白熊と戦った場所へと向かって行った。

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