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散り散りのメンバー・2

おまたせしました。

「イ~~~~ェアアアアアッハ~~~~~~~~~!!」


 ――GAAAAAAAAAAAA!! ――GAA!!


 陽気な掛け声とともに、跳び上がったミーは振り被った大剣を一気に目の前でガードするベアーへと振り下ろした。

 肉を断ち切る鈍い感触とともに、ミーの大剣は地面に突き刺さりながら、ベアーをイットーリョーダンする。

 ガシャリとフルプレートが擦り合う音が周囲に響く中で、周囲を見回しながら地面に突き刺さった大剣をそのまま横へとスイングする。

 ギャギャッと地面を擦る音が響きながら、ウルフの前脚を切り落としていく。


 ――GYAUUUNN!!


 ドッグみたいなボイスを放ちながら、ウルフは地面に倒れこむ。

 それを見ながら、もう一回転のスイングでウルフの顔は上下真っ二つとなり倒れていく。


「ヨッシ! イイ感じネー! アウチッ!!」


 フンスと鼻息を荒くしながら、自信満々にミーが言った瞬間、背後からディアーがタックルを仕掛けてきた。

 当然、痛い。けど、それを我慢しながら、ミーは大剣を振るう。


「オカエシネー! 『パワースイング』!」


 スキルネームを口にするとともに振るわれた大剣のスピードはアップして行き、もう一度タックルしようとしてきたディアーの首へとヒットした。

 バシュっとナイスな音が響き渡り、バタンとディアーは倒れて素材になっていく。

 それらをすかさずミーは回収していく。


「ベアーの毛皮にライトハンド、ウルフのファングに毛皮、そしてディアーのホーンに毛皮。大収穫ネー!」


 ハッピーな気分を味わいながらミーはホクホクフェイスで喜びながら、インベントリからポーションを取り出すとそれをイッキノミする。

 すると、ジンジンと痛んでいた背中の痛みが治まっていき、失われていたエナジーが回復していく。

 そしてそれを待っていたかのように、モンスターたちがまた姿を現してきたネー。


「OH~~!! どんどん溢れてくるネー! ここは、戦略的撤退ネー!」


 クイックターンをすると、ミーはすぐさまランする。ランランラ~~ン!

 それを追いかけるようにモンスターたちも集団でランするけれど、ミーはウインドマジックを足にチャージするとそれを解き放った。


「グッバイ、モンスター! 『エアダ~~~~ッシュ』!!」


 その瞬間、ミーはイチジンのウインドとなった。

 まるでその姿はエアプレーンのように段々と地上へと上がり始め、最終的にはヴィレッジを見下ろせる高さまで高くなっていた。

 その高さまで上がるとヴィレッジ全体を見下ろすことができ、どれだけのモンスターが居るのかが分かるようだった。


「WAO! こいつは凄い量ダネー!?」


 ジャパンかぶれのアメリカ人らしく大げさに驚きながら、ミーは降り立つ場所を考える。

 というか、中々ハイテンションでグレートなデモプレイだよ!

 テンションがハイになりながら、ミーはブラッドレックスのボディを見る。

 ガッチガチに固められたフルプレートの中見はムキムキマッチョボディ。

 アナザーワールドであるここだから出来るマッスルだ。

 ん? マッチョマッチョ言い過ぎてるって? それは当たり前だよ!

 ミーことアレックス=サンダースのリアルボディはイケメンだけど、ちょっとスマートなボディだからマッチョに憧れるワケだ。

 そんなクレイジーなことを考えながら、降りれそうな場所を探すと……一番奥のハウスにフェンスがされており、モンスターを拒んでるのが見えた。


「ンーー……。これは、何かありそうかも知れないネー!」


 ドキドキワクワクを感じながら、ミーはそのハウスへと降り立つために徐々に高度を下げていく。

 そして、フェンスの中へと入った瞬間――ミーの手に握られた大剣が消失し、直後目の前にワーニング表示がされた。


「WHAT? ……ああ、ここはホームだったのか!」


 その事実にようやく気づいたミーは、急いで地面へと降り立つ。

 すると、ミーが降り立つのを見ていたのかハウスの()から音が聞こえ始めた

 誰かが居る。それは分かるが……いったい誰だろうか?

 そう思いながらミーはハウスをジッと見ていると、ドアが開かれた。


 中から出てきたのは……、3名のエルフたちだった。



 ◆


 《――告知。プレイヤー『ブラッドレックス』がエルフを3名保護しました。》


 サンフラワーさんと合流してから次の集落への移動を開始しようとした瞬間、突如オレたちの視界にその画面が表示された。

 表示された画面にオレは驚いた表情をしているらしく、イーゼが物珍しい表情をしながらこちらを見ていた。

 ちなみに驚きながらだが、樹之命さんの顔を見ると彼女も驚いているらしく仰天顔をしていた。……きっとオレもこんな表情なのだろう。

 そして、半透明の画面の先でオレを見ながら妖しくも獲物を狙うように興奮した笑みを浮かべているサンフラワーさんはちょっと無視しよう。

 というかこの人に何かしたかオレは? 少し前に到着した集落でモンスターを蹴散らしながら救出したら、お礼とともに「ダチにならねーか?」と言ってきたのだ。

 別段それは問題は無いと思う。思うのだが……、素足となっている太股に手を伸ばしたりするのは何でだろうか?

 まさかダチ=ヤバイ関係ってことなのか?!

 そう心から思いつつ、彼女から逃げたいと思い始めているのも事実だ。


「ああ、そういえば……殆どのエルフは捕らえられているって言われていましたけど、殆どってことは少なからず捕まっていないエルフも居るってことですねぇ」


 ポンと手を打ちながら、告知内容の意味を考えていたらしき樹之命さんが口にする。

 その言葉を聞きながらオレも納得するのだが、邪神シャマラたちと会話をしていない上に聞いた話だけだから上手く実感できない。

 けど、とりあえず……。


「ブラッドレックスさんが居る集落って何処だろうか?」

「分かりませんけど……とりあえずマップで確認してみましょうか」

「別にかまわねーぞ? わたくしはエルサさんについて行くだけだから……な」

「そ、そうかー……、そ……それじゃあ、マップを見るか」


 サンフラワーさんのゾクリとするような視線を感じながら、オレは何事も無いように返事を返しつつマップを開く。

 先程と同じようなマップが表示されたが、集落があるであろう未確認エリアで輝く光点に変化があった。

 これは……?

 疑問に思いながら、すぐ近くの未確認エリアにある集落であろう光点をタップする。すると、なんと詳細画面が表示されたのだ。


 ――――――――――


 集落名:イーナの集落

 集落長:イーナ

 現住人数:1名


 状況 :モンスターが占拠中

 バトルプレイヤー:アニマステラ


 ――――――――――


 どうやら、集落名とそこの長と集落に居る住人の数が表示されるようだ。

 そして、状況とそこへと飛ばされたプレイヤーの名前も表示されていた。

 そういえば……、サンフラワーさんが居た集落はどうだったのだろうか?

 ふと疑問に思いながら、先程通ってきた集落をタップする。


 ――――――――――


 集落名:イーフォの集落

 集落長:イーフォ

 現住人数:0名


 状況 :住民ゼロ

 バトルプレイヤー:なし


 ――――――――――


 ……あの集落は全てのエルフが連れ去られていったようだった。

 他も色々と見てみようとしたが、うんともすんとも表示されなくなっていた。

 いったいどうしたのかと首を傾げていると、サンフラワーさんがポツリと……、


「……もしかすると、そこをクリアすると次の集落の詳細が表示されるってことじゃねーのか?」

「「あ」」


 その言葉に納得し、次の集落を目指すことを決めたオレだったが……再び告知が表示された。

 ……が、今度の告知は呆れたものであった。


 《――告知。プレイヤー『ジ・ゴールド』さんが集落に残されたエルフを敵に渡して寝返りました。》


「「「……………………」」」


 えー、なにこれー……? なんなのこれー?

 どう言えば良いのかわからないまま、二人に視線を向けるが……何も言わず首を振るだけだった。

 というかサンフラワーさんにいたっては……。


「あー……、あのジジイ、やるだろうって思ってたけど、本当にやったかぁ……流石錬金術師キタナイ」

「あ、あはは……」


 その言葉にどう反応をすれば良いのか分からないのか、樹之命さんが頬を引き攣らせながら愛想笑いをする。

 ……とりあえず、だ。


「現状ほかのプレイヤーたちがどうなっているかはよく分からない。だから、早くイーナの集落に向かおう」

「そうなのだ。早く行くのだ! 誰かがまだ居るのなら、助けに行くのだ!」

「そ、そうですねぇ! うちらはうちらのやるべきことをするだけですよぉ!」


 イーゼと樹之命さんの言葉を皮切りに、オレたちは再び移動を開始する。

 ……それはそうと、集落にモンスターを集中させているからか、モンスターの姿はなかった。

 そして、イーナの集落へと辿り着くと、そこは小高い丘に造られた集落で中央にある家を囲むようにモンスターたちがグルグル屯っていた。

 どうみても、あそこはホームで中に連れ去られなかったエルフと、アニマステラさんが居るよなぁ……。

 一度後ろを見て、イーゼたちの様子を見る。……やる気十分だ。


「……それじゃ、行くか」


 その言葉を口にし、オレは駆け出す。同時にモンスターが駆けて来るオレに気づいたらしく、黒い波となって押し寄せてきた。

 押し寄せてくるモンスターたちへと、さっきと同じようにオレはナイフを振るい、蹴散らしていくのだった。

あかん、日本かぶれのアメリカ人ってよりも、むしろル●語な人になってしまってる!(汗

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