家族
あれは、土砂降りの雨が朝から絶え間なく降り続き、外へ出ることさえ億劫になるような晩秋のことだった。
その頃の俺はまだ六歳で、数日前から患っていた風邪をこじらせてしまったらしく、その日は朝から身体が焼けるような高熱を出し、横になっているだけでも息苦しいほど調子が悪かった。
熱だけならまだ我慢できたかもしれない。
それ以上につらかったのが、目の奥を内側から抉られているような激しい頭痛だった。少し頭を動かすだけでも脈打つような痛みが走るため、俺は布団の中で丸くなりながら、ただ痛みが過ぎ去るのを待っていた。
普段は滅多なことでは取り乱さない父も、この時ばかりは深刻そうな顔をして何度も俺の額へ手を当て、母も井戸水で冷やした布を何度も取り替えながら、心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。
四歳になったばかりの弟のラディも、いつものように遊ぼうとは言わず、何ができるわけでもないのに俺の寝床の脇へ座り込み、小さな手で俺の手をずっと握っていた。
「兄ちゃん、死なない?」
今にも泣き出しそうな顔でそんなことを聞かれたことを、今でもよく覚えている。
「死なないよ」
俺はそう答えたはずなのだが、その頃には頭痛があまりにもひどくなっており、自分が本当に声を出せていたのか、それとも頭の中でそう答えただけだったのかさえ分からなかった。
そして、そのまま痛みに耐えきれず、意識を失いそうになった時だった。
突然、俺の頭の中へ、これまでの人生には存在しないはずの膨大な記憶が一気に流れ込んできた。
最初に思い出したのは、夜だった。
街灯が一定の間隔で並ぶ舗装された道を、一人で歩いている。
明日の講義は朝からだから面倒くさいな。
できれば一限は休みたいな。
そんなことを考えていた。
それが、前世における最後の記憶だった。
その前後がどうなっているのかは分からない。
事故に遭った記憶もなければ、病気で死んだ記憶もない。自分がどうして死んだのかについては、いくら記憶を探っても何一つ思い出せなかった。
ただ、自分が日本という国で生まれ育ち、学校へ通い、大学生としてそれなりに平凡な毎日を送っていたことだけは分かった。
家族。
友人。
大学。
講義。
電車。
自動車。
電気。
水道。
インターネット。
それまでの俺なら知るはずもなかった言葉と、それに結びついた無数の記憶が次々と蘇り、ただでさえ激しかった頭痛はさらにひどくなっていった。
前世の俺が何歳だったのか。
どこの大学へ通っていたのか。
家族や友人の名前は何だったのか。
そういった細かな部分には所々大きな穴が空いていたものの、自分がごく普通の大学生だったということや、その世界で当たり前だった知識の多くは、不思議なほど鮮明に残っていた。
それと同時に、この世界で六年間を過ごしてきた俺自身の記憶も、消えたわけではなかった。
父と母。
弟のラディ。
村の子供たち。
家。
畑。
牛。
森。
そうした六年間の思い出と、前世で生きていた人間としての記憶が頭の中で入り混じり、一時はどちらが本当の自分なのか分からなくなるような奇妙な感覚に襲われた。
だが、やがて激しかった頭痛が少しずつ収まるにつれ、二つの記憶も徐々に一つへ馴染んでいった。
前世の俺が今の俺を乗っ取ったわけでもなければ、六歳まで生きてきた俺が消えてしまったわけでもない。
父を父だと思う気持ちも、母を母だと思う気持ちも、ラディを大切な弟だと思う気持ちも何一つ変わっていなかった。
そこへ前世の記憶や価値観が加わったことで、それまでとは少し違う新しい自分が出来上がった。
そう考えるのが一番近かった。
ある程度頭の中が整理されてくると、今度は前世の知識を使い、自分が現在どういう場所で、どういう身分の人間として生きているのかを考えてみた。
結論から言えば、中世の豪農の息子という表現が一番近いように思えた。
俺たちが暮らしている村には五十戸余りの家々が集まり、その周囲を浅い環濠と簡単な木柵が囲んでいる。外側には麦畑や牧草地が広がり、そのさらに向こうには獣や魔物が棲む深い森が続いていた。
村の中でもひときわ大きな家が俺たちの家であり、父は代々村長を務めてきた家の当主として、今も村長を任されている。
父は口数の多い人間ではなく、俺やラディを褒める時でさえ一言二言しか言わないことが多かった。
だが、誰かと誰かが揉めれば双方の言い分を聞いて公平に仲裁し、柵が壊れれば率先して修理へ出向き、収穫や水路の管理について問題が起これば、自分の畑を後回しにしてでも村の仕事を優先するような人だった。
そのため村人からの信頼は厚く、多少不満を持つ者であっても、父が決めたことなら仕方がないと最後には納得するほどだった。
一方の母は隣村から嫁いできた人で、今でも村一番の美人だと冗談交じりに言われるほど整った顔立ちをしており、家事をしている時にはよく古い歌を口ずさんでいた。
俺はその歌を聞きながら眠ったことも多い。
前世を思い出したあとでさえ、母の歌声を聞くと不思議と安心する気持ちはまったく変わらなかった。
そして俺には、二歳年下の弟であるラディがいる。
ラディは昔から俺の後ろをついて回るのが好きで、俺が村の広場へ行けば広場へ来て、川へ行けば川へ来る。畑の端で虫を捕まえていれば、自分も隣で虫を追いかけるような弟だった。
そんな今世の身の上を改めて考えてみれば、少なくとも生まれとしてはかなり恵まれている。
領主や騎士のような身分ではないものの、村の中では比較的多くの畑や家畜を持ち、飢饉や戦争でも起こらない限り、明日の食事に困るような家ではない。
前世の記憶を取り戻した直後には、奴隷だったり、食べ物にも困る貧農の家だったりしたらどうしようかと一瞬考えたため、その点については素直に安心した。
そんなことを延々と考えているうちに、身体が疲労に耐えられなくなったのか、俺はいつの間にか深い眠りへ落ちていた。
翌朝目を覚ますと、昨日まで身体を焼いていた高熱は嘘のように下がっていた。
目の奥を抉るようだった頭痛もほとんど消え、多少身体が重い程度で、普段とほとんど変わらない状態まで回復している。
俺が自分で起き上がったのを見た両親はたいそう安堵したらしく、母などは俺の額や頬を何度も触って、本当に熱がないことを確認していた。
父もいつもの無愛想な顔を保とうとしていたものの、その表情は明らかに緩んでいた。
家の神棚には普段より多くの穀物や果物が供えられており、どうやら俺が助かったことへの感謝を神へ捧げたらしい。
そして、誰より俺の回復を喜んだのがラディだった。
「兄ちゃん、遊ぼう!」
目を覚ましてまだそれほど時間も経っていないというのに、昨日まで泣きそうな顔で俺の手を握っていた弟はすっかり普段通りに戻っており、朝食を食べる前から遊びの催促を始めていた。
「朝飯食ってからな」
「食べたらすぐ?」
「分かったから、まず飯だ」
「絶対だよ」
そんな弟を見ていると、前世の記憶を取り戻したことで昨日までとは何もかも違って見えるはずなのに、この家で過ごす日常そのものは以前と何も変わっていないのだと思えた。
朝食は日の出とともに始まり、その日の食卓に並んだのは黒パンと一欠片のチーズ、それに豆や根菜を煮込んだ温かいスープだった。
前世の感覚からすれば、かなり質素な食事だ。
最初の一口を食べるまでは味気なく感じるのではないかと思ったものの、実際に黒パンをスープへ浸して口へ入れてみれば、六年間食べ続けてきた馴染み深い味であることに変わりはない。
二口目を食べる頃には、そんなことなど気にならなくなっていた。
「もう本当に大丈夫なのか?」
食事の途中、父がまだ少し心配そうに俺を見ながら尋ねた。
「大丈夫だよ。なんなら風邪をひく前より元気なくらいだ」
俺は父を安心させようと、努めて明るい声で答えた。
前世の父や母については、顔も名前もほとんど思い出せない。
ただ、思い出そうとすると胸の奥に言葉では表せない寂寥感だけが残った。
けれど、だからといって目の前にいる父や母に対する気持ちが薄れたわけではない。
この人は俺の父だ。
あそこで鍋を片づけている人は俺の母だ。
その感覚は以前と何も変わらなかった。
「それに、今日は牛の世話も手伝うよ」
俺がそう言うと、父は僅かに眉を上げた。
昨日までの俺なら朝食を食べ終えた瞬間、ラディを連れて真っ先に外へ遊びに行っていたため、自分から仕事を手伝うと言い出したことが意外だったのだろう。
「そうか。なら一緒にやるか」
「うん。ラディも行こうな」
「うん!」
ラディは牛の世話が何を意味するのかよく分かっていないようだったが、兄と一緒なら何でもいいらしく、嬉しそうに返事をした。
その笑顔につられて、俺も笑った。
実際にやってみると、牛の世話は六歳の身体には思っていた以上の重労働だった。
まず井戸から水を汲み上げ、それを桶へ入れて牛舎まで何度も運ばなければならない。俺が両手で持てる程度まで水を減らしても、数往復する頃には腕と肩が痛くなった。
その後は乾草を運んで牛へ与え、夜の間に溜まった糞を木製の道具で掻き集めて外へ運び、汚れた藁を新しいものへ取り替える。
ラディも最初は張り切っていたものの、途中から桶を運ぶより牛の鼻先を撫でて遊んでいる時間のほうが長くなっていた。
すべて終わる頃には一刻ほどが経っており、病み上がりの身体ということもあって、俺は額へ浮かんだ汗を袖で何度も拭っていた。
「手伝いありがとう。今日はもう遊んでいいぞ」
父がそう言って、俺の頭を軽く撫でた。
「うん」
そう答えたものの、俺はすぐには動かなかった。
以前の俺なら、この言葉を聞いた瞬間にラディの手を引いて広場へ向かい、村の子供たちと追いかけっこをしたり、草むらへ入り込んで虫を捕まえたり、意味もなく木へ登ったりして一日を過ごしていた。
しかし前世の記憶を取り戻した今、それを以前と同じように楽しめるのかと考えると、何となく気恥ずかしいものがあった。
精神だけを考えれば大学生だった頃の記憶まで持っているのだ。
六歳の子供たちに混ざって全力で追いかけっこをする自分を想像すると、どうにも妙な気分になる。
「兄ちゃん?」
俺がその場で考え込んでいると、ラディが不思議そうに顔を覗き込んできた。
「行かないの?」
「……そうだな。まず広場へ行こうか」
「うん!」
結局、ラディに引っ張られるような形で村の広場へ向かった。
ところが実際に子供たちの輪へ入ってみると、気恥ずかしいなどと考えていたのは最初だけで、それよりも子供たちの有り余る体力と遊びの混沌さについていくほうが大変だった。
さっきまで木の枝を剣に見立てて戦っていたかと思えば、いつの間にか誰かが虫を見つけて全員で追いかけ始め、その虫を見失ったと思ったら、今度は理由もなく広場の端まで競走が始まる。
一つの遊びが終わったという明確な区切りなどない。
誰かが別のことを始めれば、いつの間にか全員がそちらへ移っている。
前世の感覚を取り戻した俺には、その流れについていくだけでも一苦労だったが、ラディが当然のように俺の手を引いて輪の中へ連れていくため、いつの間にか俺も一緒になって走り回っていた。
そして、せっかく前世の記憶があるのだからと、時々こちらの世界では見たことのない遊びを教えてみると、それが思いのほか受けた。
ある日、適当な草の葉を取って両手の親指の間へ挟み、そこへ息を吹き込んで音を鳴らしてみせると、周囲にいた子供たちが一斉に集まってきた。
「こんな風に挟んで吹くと音が鳴るんだよ」
俺が息を吹き込むと、草の葉が震えて甲高い音が響いた。
「もう一回やって!」
「俺にも教えて!」
「私も!」
「分かった分かった。まずこうやって葉っぱを持つんだ」
最初は上手く音を鳴らせず、ただ息だけを吐いている子供ばかりだったが、一人が偶然音を出すと、全員が負けじと練習を始めた。
その日の広場は、夕方まで不格好な草笛の音で満たされることになった。
そんな日々を過ごしているうちに、前世の記憶を取り戻した直後に感じていた、この世界に対する奇妙な違和感も少しずつ薄れていった。
便利な道具もない。
夜になれば家の中は暗い。
冬は寒い。
食事の種類も少ない。
病気になれば、前世なら簡単に治るようなものでも命に関わる。
それでも、父がいて、母がいて、ラディがいて、村の仲間たちがいる生活は、決して嫌なものではなかった。
むしろ俺は、いつの間にかこの世界で生きていくことを当たり前のこととして受け入れていた。
そうして月日は流れ、六歳だった俺も十二歳になった。
身体が大きくなるにつれて家の仕事を任されることも増え、牛の世話や畑仕事はもちろん、村の自警団から剣の扱いを教わり、狩人たちからは弓の射方や獣の痕跡の見分け方、森で迷わないための知識などを学ぶようになった。
最初は弓をまともに引くことさえできなかったが、何年も練習を続けるうちに、小さな獲物なら一人でも狩れるようになった。
十二になった頃には、村の近くであれば単独で森へ入ることも許されるようになっていた。
ただ、それを誰より不満に思っていたのがラディだった。
「僕も一緒に森に行く!」
その日も、狩りへ出るために弓と胡簶を用意していると、十歳になったラディが俺の後ろについてきながら不満そうに言った。
「駄目だ。森には魔物もいるんだから、お前はもう少し大きくなってからだ」
「兄ちゃんは行ってるじゃん!」
「俺は弓も剣も使えるからな」
「僕も弓を覚える!」
「覚えてから言え」
「じゃあ教えて!」
「帰ってきたらな」
そう言ってもラディは納得しなかった。
仕方なく俺は最後の手段として弟の頭へ手を置き、わざと大げさな声で言った。
「今日は大物を狩ってくるから、上手くいけば晩飯は肉だぞ。それまで留守番してろ」
「お肉……」
案の定、ラディの表情が変わった。
「鹿が獲れたら腹いっぱい食えるぞ」
「絶対?」
「獲れたらな」
「絶対獲ってきて!」
「さっきまで森へ連れていけって言ってただろ」
「肉のほうが大事!」
あまりにも素直な食欲に思わず笑いながら、俺はラディの頭をくしゃくしゃと撫でた。
「じゃあ、すぐ帰ってくるからな」
「うん。行ってらっしゃい!」
「行ってきます」
そうして俺は家を出た。
村の周囲には広い麦畑があり、その外側には牧草地や小さな畑が点在し、さらに先には深い森が広がっている。
森には山鳥や兎、鹿、猪といった普通の獣だけでなく、魔物と呼ばれる危険な生き物も棲んでいるため、狩りへ入る時は獲物ばかりに気を取られず、周囲の音や痕跡にも常に注意を払わなければならない。
俺は弓と胡簶、腰の剣、解体用のナイフ、水袋、縄、それに獲物を運ぶための背負子を背負い、森の中へ入っていった。
その日は運が良かった。
森へ入って半刻ほど進んだところで、木々の間に一頭の鹿を見つけた。
俺は風向きを確かめると、身体を低くし、木々や茂みを利用しながら少しずつ距離を詰めていった。
鹿はこちらへ気づいていない。
十分に近づいたところで足を止め、胡簶から一本の矢を静かに抜き、音を立てないよう弦へつがえた。
ゆっくりと弓を引き絞る。
狙うのは胸だ。
呼吸を止め、鹿の身体が横を向くのを待つ。
そして――指を離した。
弦が鳴った。
放たれた矢は木々の間を抜け、鹿の身体へ突き刺さった。
鹿が大きく跳ねた。
だが、倒れない。
驚いた鹿はそのまま木々の間を駆け出した。
「くそっ」
俺はすぐに次の矢をつがえ、逃げる鹿を追った。
一本目の矢は狙いを外し、左脚の付け根近くへ刺さっている。
傷を負った鹿は思うように速度を上げられず、走り方も明らかに乱れていた。
俺は木の根を飛び越えながら距離を詰め、鹿が一瞬速度を落としたところで立ち止まった。
弓を引く。
狙いを定める。
二本目の矢を放った。
今度の矢は首へ深く突き刺さった。
鹿はなおも二、三歩ほどよろめきながら進んだものの、やがて脚から力が抜け、その場へ崩れるように倒れた。
「……よし」
近づくとまだ僅かに息があった。
俺は腰からナイフを抜き、苦しませないよう首を切ってとどめを刺した。
完全に息絶えたことを確かめると、後脚へ縄を結びつけ、近くの太い枝を利用して逆さに吊るす。
首の血管を切って十分に血を抜いたあと、腹へ慎重にナイフを入れた。
内臓を傷つけないよう腹を開き、取り出した臓物のうち食べられるものを分ける。
それから後脚の内側へ刃を入れ、皮と脂肪の間へナイフを滑らせるようにしながら、少しずつ皮を剥いでいった。
最初の頃は狩人に手伝ってもらわなければまともにできなかった作業も、今では時間こそかかるものの、一人でできるようになっていた。
解体を終え、持ち帰れる肉を背負子へ括りつけて立ち上がる。
「重っ……」
ずしりとした重さが両肩へかかった。
一頭分の鹿肉をすべて運ぶことなど、十二歳の俺には到底できない。
持ち帰れる分だけを選んだにもかかわらず、それでも十分すぎるほど重かった。
村へ戻る頃には背負子を固定している縄が肩へ食い込み、足もすっかり重くなっていた。
何度も休みたいと思ったが、そのたびにラディの顔が頭へ浮かぶ。
『絶対獲ってきて!』
「……獲ってきたぞ」
誰に聞かせるでもなく呟き、俺は歩き続けた。
やがて木々の隙間から畑が見え、その向こうに村を囲む木柵が見えてきた。
ようやく帰ってきた。
そう思った時だった。
村の入り口から、こちらへ向かって小さな人影が走ってきた。
「兄ちゃん、お帰り!」
ラディだった。
「おう。ただいま」
息を弾ませながら駆け寄ってきたラディは、俺ではなく真っ先に背負子を覗き込んだ。
「鹿?」
「見れば分かるだろ」
「肉!?」
「だから鹿だって」
「今日、肉!?」
「そうだよ。今日は肉だ」
「やったー!」
ラディは両腕を上げて無邪気に喜んだ。
「どこ焼くの!? いっぱい食べていい!?」
「まだ家にも着いてないだろ」
「僕、大きいのがいい!」
「父さんと母さんが先だ」
「じゃあ、その次に大きいやつ!」
「分かった分かった」
俺の周りをぐるぐる回りながら、ラディは晩飯の肉のことばかり矢継ぎ早に聞いてくる。
そんな弟を見ていると、肩へ食い込んでいた背負子の重さも、少しだけ軽くなったような気がした。
俺は笑いながら、ラディと並んで家へ向かった。




