第36話~スルマの魔法~
予選を勝ち抜いた8人が揃ったぞ。
双剣士、大剣士、狂戦士、魔法弓士、光魔道士、
死霊魔道士、槍聖と職業も豊富だ。
順当に行けば上級職の槍聖が優勝しそうだけど、
どうなるかな?
本選はトーナメント方式で、
第1試合が槍聖vs双剣士
第2試合が狂戦士vs死霊魔道士
第3試合が魔法弓士vs大剣士
第4試合が光魔道士vsスルマだ。
普通なら魔防が低いスルマが苦戦するはずだけど、
俺の魔法攻撃が無傷立った位だから、
余裕で勝てそうだね。
あっ、良く見たら光魔道士と槍聖は
盗賊を捕まえていた人達だね。
「コウイチ、此方で見学出来るぞ。」
舞台の真横、場外の部分に椅子が置いてある。
なるほど。
これは特等席だね。
2つ並びのところを見ると、
選手とサポートが並んで座るんだろう。
ん?
今端にいる人が付与魔法を唱えたぞ。
付与魔法を受けた方が舞台に上がっていくけど、
反則じゃないのか?
「スルマ。
あの双剣士、サポートから付与魔法を
受けていたけど、反則じゃないのかい?」
「サポートほそう言う役だから問題ないぞ。」
「そうなのか。
と言う事は回復とかもありなのか?」
「あぁ。戦闘中以外ならありだ。」
俺も一応付与魔法と回復魔法は覚えているからね。
いざとなったらサポートして上げるか。
第1試合の槍聖vs双剣士は、
あっさりと槍聖の勝利が決まった。
上級職と中級職じゃ当然だね。
第2試合の狂戦士vs死霊魔道士は
なかなか見応えがある戦いだった。
死霊魔道士が骸骨戦士を3体召喚し、
狂戦士が狂った様に回転しながら
骸骨戦士を全て砕き、決まったと思いきや
砕けた骸骨戦士で巨大骸骨を召喚。
更に巨大骸骨と狂戦士が戦っている間に
死霊魔道士が後ろに回り込み魔法で攻撃。
魔法攻撃と物理攻撃の挟み撃ちにあいながらも
狂戦士は踏ん張るが徐々に衰えて倒された。
第3試合の魔法弓士vs大剣士は
開始と同時に魔法弓士が魔法の翼を広げ
空中に舞い上がり上空から攻撃。
大剣士はスラッシュ等で応戦するが射程が届かず
為す術もなく負けた。
これはスルマとの対戦でも有効そうだ。
武闘家のスルマじゃ空中への攻撃は
難しそうだしね。
そのスルマの試合が来たぞ。
相手は光魔道士。
サポートとして付与魔法を掛けて上げるか。
「スルマ、付与魔法を掛けるよ。」
「コウイチは付与魔法まで使えるのか。
でも大丈夫だ。
これは俺の力を試す戦いでもあるからな。」
「そうか、だったら楽しんできてくれ。」
「戦いを楽しむか・・・それは良いな。」
さて、魔道士相手にどう戦うのか楽しみだね。
俺の魔法を耐えた方法も分かるから
しっかりと見なくてはね。
「エノルムフレイムボール!!」
光魔道士が巨大な炎の玉を放ったぞ。
食らったら火傷では済まないな。
スルマはどう出る!?
「おりゃぁぁぁ!!!」
嘘だろ!?
巨大な炎の玉を殴って掻き消したぞ!?
光魔道士も唖然としてるし。
「デェロ!!」
盗賊を捕らえた水牢だ。
見事にスルマを捕らえたぞ。
「ハッ!!」
気合いで吹き飛ばすと。
一体どういう原理なんだ?
「エクレール!!」
光魔法Ⅲだ。
目潰しの効果があるぞ。
効果は・・・
「なんだ!?
何も見えんぞ!!」
あった様だ。
これで勝負ありか!?
「キ・ン・ニ・ク!!!!
よし!見えたぞ!!」
そんなアホな・・・。
瞳孔を筋肉で調整出来る訳が・・・筋肉達磨なら
可能なのか?
「中々やるではないか!
次はわしの魔法を見せてやろう!!」
スルマの魔法!?
いや、魔法は覚えていないぞ。
孔雀眼で見ているんだから間違いない。
一体なにを・・・スルマが右腕を横に上げて、
肘を曲げて拳を前にしたぞ。
そしてそのまま回転し始めた。
スルマを中心に風が渦を巻き始めたぞ。
まさか竜巻!?
「竜巻烈風殺!!」
光魔道士に竜巻が近付き、
吹き飛ばして場外になったぞ。
スルマの勝ちだ。
「どうだ!わしの魔法は!!」
・・・竜巻を作り出すのは凄い事だけど、
竜巻の中からパンチとキックで吹き飛ばしたのを
魔法と呼んで良いのか?
「コウイチ、俺が強いのは分かっただろう?
俺と戦って見たくなったか?」
「遠慮しておきます。」
「残念だ。」
「それより回復はいるかい?
必要はなさそうだけど。」
「回復も出来るのか!
何でもありだな、コウイチは。
必要になったらお願いするかも知れんが、
今は大丈夫だ。」
「しかしスルマは凄いな。
魔法が効かないのも筋肉達磨に
関係しているのかい?」
「そうだ。
筋肉達磨のおかげで筋肉が
鍛え上がったからな。」
俺の妄想世界と比べて使い勝手が良さそうだよ。
でも待てよ。
妄想世界でスルマの筋肉の動きの研究は
出来るかも?
「妄想世界」
スルマが巨大な炎の玉を殴って消したシーンだ。
ついでにスローモーションで妄想している。
拳の前に空気が押し出されている感じだね。
スキルの拳圧の極小版なイメージかな?
それに腕の回りの空気も押し出されている。
攻撃する瞬間に筋肉が膨れ上がり、
回りが押し出されている感じかな。
・・・どうやっても真似が出来そうにないね。
≪妄想世界がLv3になりました
妄想時間が1分に伸びました≫
久々に妄想世界のレベルが上がったぞ。
妄想時間が延びたのか。
じっくり鑑賞出来て良いかも。
Lv3だと・・・
『妄想が自分に影響する様になる』
ね。
どういう事だろう?
試してみた方が早いか。
「妄想世界」
ラウンドガールが出てきたぞ。
頭の片隅にいないなと思っていたのが、
きっちり反映されている訳ですね。
そんな事より影響って何だろう?
特に変わりが無い気も・・・あっ動いたぞ。
確かに今ちらりと後ろも見たいとは思ったけど。
しかも近付いて来たし。
そしてそのまま俺の膝の上に座ると・・・!?
感触があるぞ!!
影響ってこういう事か!!
となると俺の方を向いて膝の上に座らせて、
あくまでも実験のために揉む・・・と。
本物と全く変わらない感触だ。
いつまでも揉んでいたくなるのは男の性か?
「コウイチ、何しているんだ?」
「うわっ!?」
「どうした!?」
「何でもない!
ちょっと手の体操をしていただけだよ!」
「そうか。なら良いんだが。」
ここが外だったのを完全に忘れていたな。
危ない、危ない。
この実験は夜にでもじっくりやるとして、
今は試合に集中しないとね。




