育成期間0年10ヵ月1週間
豆は空を舞う。
俺の手から離れた1粒は、青空に弧を描きつつ地へと落ちていく。
その先に待ち構えるのは無数の白球達。
我先にその小さな豆粒を喰らわんと、互いを押し退け合う姿は醜いの一言。
果たして、見事その豆を啄ばむ者は現れるのだろうか?
かれこれ十数粒投げ込んでいるが、
一向に豆を啄ばめた奴はいないように見えるんだが・・・・・。
・・・・そもそもどこに落ちているのか、
もう分かっていないのかもしれない。
何時の間にか他者を押し出すという手段が、目的と入れ替わっている。
欲が思考を鈍らせたか。或いは、そもそも何も考えていないのか。
まあ、無駄な問答ではある。
俺の中では後者一択なのだから。
あの日以来、俺とコッコはよくこのニワトリモドキの群れを訪ねている。
初めはある種の逃避に近い物であったのだが、
訪問を重ねる毎にある事柄に気付いたためだ。
こうして豆を撒くのも、益の対しての見返りというわけで。
でなければ、わざわざ餌付けするような真似はしないさ。勿体無い。
ともあれ、その事柄というのは勿論俺の魔獣について。
理由は分からないがコッコの群れと戯れている間、
魔獣コッコのステータスが上昇しているのだ。
これは微々たるものではない。勢いがある。
少なくとも、生命の奪取による上昇を軽く超える勢いだ。
同族と行動を共にすることで魔獣が成長した。
・・・などという話は、見たことも聞いたことも無い。
答えを求め、文字の羅列を読み漁るも成果は無く、
教官達に質疑しても、皆同じく首を横に振るばかり。
中には憐れむ様な目で見てくる者もいる始末。
ならば、これは俺の妄想か。或いは、勝つための飛躍か。
どちらが正しいかは、何れ分かる。
だが、俺は後者を選ぶ。
前者であってたまるものか。




