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挨拶という物がいかに心を満たしてくれるのかということを実感した。それはいいけど、その認識を与えたのが岐阜さん第ということに納得はいってない。
その後、荷物を持ってさっさと帰ってもらった。
少しだけ不満そうな顔をしていたけれど、気にしてやる必要も無い。
私は初めて見送りをした。
世界中でありふれた行為である見送り。戦時中から何気ない通勤通学へ向かうその背中を見送る行為。
岐阜さんも大層驚いた顔をするものだから、私は逆にどんどんと不機嫌になってく。
眉間に皺がより、口がひん曲がっていくのを鏡を見なくても分かる。
「じゃあね。お邪魔しました」
こういう空気が読めるのがますます腹立たしい。
そのまま何も言わずに帰ってくれれば、次なんてものは絶対に訪れることはなく、見送るのも最後になるのに。
おずおずといった感じではあるけれど、言われたものはしょうがない。
古今東西礼儀は礼儀で返すものだ。
中には仇で返す人もいるみたいだけど。目の前の人とか。
私はそうじゃないので、あっち行けと言った手の動きを交えつつ。
「さようなら。またね」
と、返すのだった。




