505/514
2章 160
買いすぎてると思う。多少時間がかかっても自転車に袋を引っ掛けて歩いて帰るしかないなと思う。
「ねえ、最後に1箇所だけ寄っていいかな」
岐阜さんは既に私の方を向いてはいなかった。
視線の先には小さなスーパーに併設されている花屋さん。
「花を買うの?」
「牡丹は枯れたから」
岐阜さんへ送った牡丹の花。
きっと大切にしてくるてたんだろうというのが伝わる。
薄情なのかもしれない。私はもう忘れていた。
言われれば思い出す、そんな記憶なのに。
岐阜さんには違っていた。
自分がどうでもいいことが、人の大切なものだったとき。
どんな顔をすればいいんだろうか。
「……花を贈る」
「え?」
「だから、岐阜さんに花を贈る」




