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2章 116
色んなことを考えてしまう。けれど、列は徐々に進んでいく。
何十人と先に鈴城さんが見える。
私にはそれ以外は見えたいなかった。
和氏さんと白狼さんとの会話もどこか上の空になりがちだったけど、必死に意識を戻していつも通りを演じていた。
適当に相槌をうって、話を振って聞いて話して。
そうこうしているうちに等々次が私の番だった。
「来てくださってありがとうございます」
静かで、力強くて、自信がこもった声。
ゆっくりと視線を上げて先生と視線が合う。
「あ、あ……」
言いたいことはいっぱいあった筈なのに出てこなくなって、次第に泣けてきて、先生も困惑してしまっていた。
震えている手で小説を渡してサインを書いてもらって握手する。
「サイン、確認してね」
最後までみっとも無かった私に、終始優しくて、その優しさが仕事だからであっても嬉しくて、余計に私は泣いた。
もう、一生分泣いたと思う。




