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来ると思っていなかったから、インターホンが鳴るとなんだろうと思いつつもモニターを見ずに玄関のドアを開けた時、当たり前のように岐阜さんが居て驚いた。
「え、なんで?」
「3日に1回」
そこで認識のズレを感じた。
急に来られても困る。まあ、アポイントを取ってこられても困るけど。
追い返す訳にも行かないし、渋々上げる。
いつも渋々だと思う。
今日もいつも通りコップ2杯の麦茶。
岐阜さんは何をする訳でもなく、ボーッとしていたけど、私が部屋に入ってくると思い出したように本を読み始めた。
ブックカバーが被さっていて、どんな本を読んでいるか、どんな本を読む人なのか分からない。
少しでも岐阜さんを理解しようとしても、障害が必ずある気がする。
それは簡単に取り除ける類のものだけど、取り除く気にはならない。




