435/504
2章 91
「服脱いで」
もっとよく見たいとか、そんなんじゃない。
暗い玄関に濡れた2人。今もスカートからポタポタと水滴が落ちる。
「……どうして」
私は驚いた。自分の部屋に行くまで、1人にするまではずっと楽しそうにしてたのに、急に真剣な顔を作って、目を逸らしてくれない。
いつもは二つ返事のくせに。私の言うことはなんでも聞くくせに。
どうして、その問の答えはまだ無い。
「風邪ひくでしょ」
体が冷えてブルリと震えた。
だから、理由をひとつ思いついた。
「それだけ?」
「じゃあ、風邪ひけばいい」
それなのに、岐阜さんはそんなことを言う。意地悪を言う。
後味は悪いけど、親切心があったのは本当で、それを蔑ろにされたみたいで嫌だ。だから、もうどうなってもいいと思う。
「鈴城さん、あの時のいつか言うは今日?」
「……っ。誤魔化さないで」
「服は脱いでもいい。裸にだってなってあげる。だから、キスをして」
試す様な言い方。試す様な目。




