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2章 56
驚きよりも呆けている様な岐阜さんは、今回は意識をしっかり持っていて、気まずい。
変に意識しすぎる前に、別のことをした方がいいと思って、部屋を出ようとして手を掴まれる。
振り返るのが、何だか怖い様な気がして正面を向いたまま、
「なに」
それだけを言う。
岐阜さんは握る手を強めた。
「最後に一つだけ聞かせて」
「……噛み跡じゃすまないかもよ」
「それでもいい」
「……なに」
やけに力強い言葉に、冗談めかしてかわそうとしても真正面から受け止めるから岐阜さんの方を振り向く。
濡れそうな瞳。小さく喘ぐ様な息遣い。
ずっとみていたらいけない。そう本能で感じたから目をそらす。
「私の事嫌い?」
「……別に」
「はっきり言って」
「……嫌いじゃない。離して」




