2章 37
「で?」
岐阜さんの方を向けない。その理由はなんだろう。この答えが見つかる日が来る気はしない。
この先高校生活が終わった時、あの時のあの人という感じで段々と薄れて行くだろうし、振り返った時に今の感情は持ち得ないだろうからどうでもいいことかもしれない。
今に振り回されている。
「……しばらく会うの辞めよう」
「……なんで」
静かすぎる薄暗い廊下。背景が影で青く見えて、光の届かないう〜ん暗く冷たい深海のようで、お互い苦しげに言うのだった。
私は理由を先延ばしにしたい。
でも岐阜さんはその私の気持ちを知らないから、違うように受け止めていそうだった。
「テストがあるから……」
「尤もらしい理由だね。分かったよ。家に行かないテストが終わったら再開、それがいいんだね」
苦しい言い訳だけど、岐阜さんは何かを別のことを言おうとして飲み込んで、キュッと足元から高い音がして、踏み込もうとして辞めて。
「……うん。岐阜さんは……」
聞き分けのいい態度に、嫌だと感じる。
岐阜さんはそれでいいの?そう聞きたかった。
「私は、なに?」
「なんでもない」
「……いつか素直に言ってくれる日を待ってるよ」
岐阜さんは寂しそうな、悲しそうな声だった。
ポツンと残された私はずっと背中を見ていた。
私が悪いことをしてるみたいで嫌だった。




