2章 6
「……寝てたな」
不意に意識が覚醒して、今までぐっすりと寝ていたんだと理解するのに時間は要らなかった。
辺りは真っ暗で、日もいつの間にか沈み、月明かりが部屋を照らしていた。
おしりが痛いし、体も痛い。
「起きて、ねぇ、起きってて」
「う〜ん……。わあ、真っ暗」
岐阜さんはぐっすりと小さな寝息を立ていて、時々口がムニムニと動くのが可愛いなと思ったけど、その思いごと振り払うように肩を揺さぶった。
乱暴に体をゆらされて目を覚ました岐阜さんは腕を上げ伸びをして、ヘロヘロの状態で立ち上がると、窓を勝手に開けて夜空を見た。
真っ暗なはずなのに、淡いスポットライトが当てられたように輝いて見える。それは私が寝ぼけているから、そうに違いなかった。
「岐阜さん、リラックスし過ぎ」
岐阜さんの隣に立って、呆れるように言う。
人の家で寝るなんて普通しない。人の家には目的を持ってくるのが普通で、じゃあ、岐阜さんの目的は何かと言えば、私からの命令を聞くこと。
全部意味がわからない。
岐阜さんはケロッとした顔で、嘯いて一瞬だけ私の頬に手を添えた。
「居心地がいいのかもね」
「……あっそ」
直ぐに離れて部屋を出ようとする。その背中に私のつぶやきは聞こえなかったと思う。
「それじゃ、なにか作りますか」
「ねぇ」
「どうしたの」
いつの間にかこの家だけなら隣で歩いて移動することも何も思わなくなった。
岐阜さんに会わない日、その日の夜が寂しく思う事があって、そんなこと前は思わなかった。
この考えに私は「料理」が関係していると結論付けた。
インスタント食品だから、手料理という温もりがないから心がやせ細るような気持ちになるんだと。
だから、明日、一人で食べる時用を頼もうとして、終ぞ言葉が紡げなかった。
「……なんでもない」
「そう?思い出したら言って」




