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「それがご褒美?」
鈴城さんは静かにそう言った。確認する様に、逃げ場を塞ぐように。
袋小路に入ったみたい。蔦が絡まったみたいに、金縛りにあったように動けなくなる。
ゆっくりと近づいてくる。
これからどうなるのかなんて想像する必要も無いけれど、そうなるとそういう事をする訳で。
どうしても一点だけを見てしまう。
「答えて」
「ずっと願ってた事だよ」
掠れた声で伝えると鈴城さんは私の目を手のひらで覆ってしまう。
柔らかくて小さな手。お日様よりも暑いんじゃないかってくらいの暑さを感じる。
何かが近付いてくる気配が感じて、そんなものは一つしかなくて。
柔らかい感触が口に伝わる。
優しく押し当てる様に、私はそれを受け止めるように。
真っ暗な世界で手をさ迷わせて触れた体を引き寄せる。
キスの時、呼吸ってどうすればいいのか。ずっと息を止めてられなくて、少しだけ離れて。
そのままどこかへ行ってしまいそうな鈴城さんを離さない。
鈴城さんは私の目を隠すのをやめて至近距離で目と目が合う。
鈴城さんの瞳には私しか写っていなくて、私の目には鈴城さんだけを写している。
鈴城さんが目を閉じて、私から唇を触れ合わす。
何度も、何度も何度でも。
飽きることなんて無い。満足することも無い。
ただ解けてなくなってしまいそうな感覚に身を任せてしまいたい。
何度目か離れた時、鈴城さんは私を押した。
「もう、いいでしょ」
潤んだ瞳、上気した頬。荒い息。
わざとらしく口元を拭って立ち上がろうとするから、その手を掴む。
逃げ出さないように強く。
「痛い」
「もっと欲しい」
「駄目。お終い」
「ねぇ、お願い」
「ここまでだから」
1歩も引かない鈴城さんは私の手を振り払って今度こそ立ち上がるも、どうすればいいのか分からない様子で立ち尽くす。
私を見下ろした。その視線は今までのどの視線、目付きとも違って、私はまた見惚れていた。
「……続きがあるのなら、命令3回の後だから」
吐き捨てるように行って部屋を出ていった鈴城さん。
続きがあって、またもある。腰が抜けたように力が入らない体は支えを失ってベットに倒れ込む。
「自惚れない方が難しい……」
今度は私の手のひらで世界を遮った。鈴城さんほどの「生」を感じられないけれど、遅れてくる高揚感、羞恥心、幸福感に押しつぶされてしまいそうだった。




