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「ん」
岐阜さんに小説を差し出したのに、受け取ろうとしない。
逆に困惑する。
手を伸ばした姿勢は案外と疲れるからさっさと受け取れと思う。
けど、私から言うのは違うから何も言わずに視線だけを送ると慌てて受け取った。
「なんで」
「……なにが?」
内心笑いが止まらいし、表に出そうになった。
けれど、ポーカーフェイスを保ったままにする。
そう、そういう風に困惑して戸惑ってればいい。
岐阜さんに平常心は許されないんだと、そうでなければならないと思う。
「言ってくれたら貸したのに」
「は、はあ?なんの事?」
言いたい事を纏まらない様子の岐阜さんは一旦思考を全部飲み込んで、私の予想外のこと言う。だから、戸惑ってしどろもどろにシラを切ることになった。
私が乱されてたら意味が無いのに。
図星だし、これじゃあ私が岐阜さんに興味があるように思えるんじゃないかって遅まきながら気が付いた。
つまり、墓穴を掘った事になる。
「じー」




