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意外と何ともない。
鈴城さんの部屋に来てまず思ったことだった。
あの時の光景が掠れてしまった訳じゃない。
この部屋でどの様にかまでハッキリと覚えてる。
それでも変に高揚しないし、緊張もしない。
おかしな事だとは思うんだけど、家に居るよりも落ち着く。
久々になるけど、鈴城さんのベットに寝転がって昨日買った小説を読み始める。
家にいると物音1つで気が狂いそうになるほど不安や圧迫感が押し寄せるから、ほとんどの時間を外で過ごす。
鈴城さんの家に居ない日は図書館が専ら私の家だった。
階段を上がる音なんて違いなんてほとんど無いはずなのに、いい意味で何も思わない。
「……はい」
コップ2つを手に取って部屋に入って、テーブルに置いて鈴城さんは私を真似るように本を読み始めた。
気になって覗くけど、当たり前だけど文字列だけではなんの本か分からない。
「なに」
「あ、いや。何読んでるのかなって」
不機嫌そうに私を見上げて、「何でもいいでしょ」って言われると思った。あなたに興味はありません。
あなたに私を知る必要もありませんってスタンスだから冷たくあしらわれると思った。
「ん」
栞を挟んで本を手渡してきたから何事かと思って動きが止まる。
脳が正常に体を動かせなくなっていた。
そうしていると鈴城さんはますます不機嫌な顔になるから、無理やり体を動かして本を受け取った。
それでも相変わらず不機嫌そうだけど。
「え」




