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バタンとドアが閉まる。
岐阜さんが廊下を歩く音がする。
家のドアが開く音がする。
「鍵、閉めてねー」
余計なお世話な事を言ってる。
この部屋まで聞こえるって、どれだけ大きい声してるんだ。
いや、それよりも。
岐阜さんは何をしたんだ?
キ、キス?
でも、口と口は触れてないから違くて。
あ、え、は?
ダメだ考えがまとまらない。
今さっきの出来事が白昼夢の様に感じてきた。
え。なんで。
「なんであんな事するの」
目を見開いてしまったからだと思う。
マジかに迫った岐阜さんの綺麗な顔。
目をつぶってふわりと一瞬微笑んで。
かすかな衝撃が口に伝わって。
でも、それは唇の感触じゃなくて。
手の平なんだけど、その手がなければキスで。
「はぁーーーーーー!?」
訳わかんなすぎて叫ばずにはいられない。
まだ近くに岐阜さんがいたら外からこの叫びを聞いていたかもしれない。
会いにくいと思った矢先に、もっと会いにくくなるなんて思いもよらないじゃない。
「あの女……。次来たら本当にいじめてやるんだから」




