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ツンのときもデレのときも永遠に愛することを誓いますか? 1/19 12年前、春、放課後

●幼馴染(ミユ)エンド


【本編のあらすじ】

 三善実幸:主人公。鈍感。大家族の長男。

 夕濵ミユ:幼馴染。基本的にはしっかり者。主人公にだけツンデレ(ツン>>>>>デレ)。


 七歳で婚約しているが、とくに気持ちを確認しあうこともなく曖昧な関係を維持したまま本編は終了。




 教室の窓を開けると、桜の花びらが舞い込んできた。

 夕濵(ゆうはま)ミユの肩や前髪、ポニーテールに落ちる。

 ピンクの歪なハート形だ。


 放課後、彼女は自分のクラスでひとり、ある人を待っている。


「ごめん、待った?」


 そう言って教室に入ってきたのは彼女の幼馴染――三善実幸(みよしさねゆき)である。

 彼に頼まれて、彼女は待っていたのだ。


「待った!」


 ミユがあてつけるように言うのは、内心緊張しているせいだ。

 そして次の瞬間には自分の口調を反省していて、次の言葉をすこし迷って、それから平然をよそおって尋ねる。


「なに?呼び出しとか。そんなの今までしたことないのに。」


 一緒に行動していたのは小学生までで、中学に上がってからは茶化されるのが嫌だったからクラスメイトがいる前ではあまり近づかないようにしていたのだ。


 実幸はミユのそばにやってきて、正面に立った。


(こんなに背、高かったっけ?)


 ミユは上目遣いに見上げて、それから(見過ぎたっ!)と思って視線を窓の外へ外す。


「うん、言いたいことがあって。」


 実幸の手が伸びて、ミユの顔に迫る。


 ミユの鼓動が高まる。


 彼は彼女の前髪についていた桜の花びらを取った。


「おれ、彼女ができた。」


 ミユは完全に停止した。


 実幸はつまんでいた花びらを窓の外にポイッと捨てた。


 ミユの思考は堰を切ったように再開する。


(カノジョ? あたしのこと? まだ返事してないけど? てゆうか告白されてないけど? 嬉しすぎて記憶一瞬飛んだかな? いやいや、実幸がパニクって順序間違ったんだよねきっと。……まさか、まさかほかの子とか絶対ありえないしね?)


「おれのクラスの委員長で、萱沢華子(かんざわはなこ)ちゃん。知ってる?」


 ミユの息が止まる。


(知ってるよバカ。あの馴れ馴れしい女ついに手ぇ出しやがった……)


「……なんで?」


(なんで、YESしちゃったの?)


「なんでって、かわいいから。」


(は?)


「それに優しいし、いい子だし、心づかいができるっていうか、なにかと気にかけてくれて、でもちょっと抜けてるっぽくて、だけどすごく頑張ってる子、だから。」


 実幸はだらしなく笑う。


(……ナニコレのろけ?)


「昨日告白して、昼に返事貰った。」


(…実幸から、…告った?)


 ミユが真顔で黙り込んでしまったから、実幸は切りだす。


「それだけ。ミユには知っといてもらいたかったから。じゃ、華子ちゃん待たせてるから、行くね。」


 ドアを向いた実幸の腕を強く引いて振り返らせて、ミユは彼の頬へ平手打ちを喰らわせた。


 実幸が驚きよろめいているところで、彼の顎を両手でつかまえて引き寄せ、唇に唇をぶつけた。


 一瞬。


 ミユは実幸を突き放した。


 実幸が驚いたままミユを見ると、彼女の頬も口も目元も真っ赤に染まり、物々しい目付きで実幸を射抜いていた。


 それも一瞬。


 踵を返すと、鞄をひっつかんで教室から走り去った。




 彼らは「さよなら」も言わずに別れて、十年以上のあいだ交流は途切れていた。




【御挨拶】

 これにて委員長(華子ちゃん)エンド完結です。

 ご愛読ありがとうございました。


【次回予告】

 幼馴染(ミユ)エンドはまだまだ続くよ!

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