98話 「どうするべきなのか」
その日の夜、理人と隆太は美香への対応にかんして口論となった
「お前に何が分かるんだ!」
理人の声は部屋中に響いた。
「確かに今ここにいる俺はあの子の『俺』じゃない、あの子は俺たちの知る『美香』じゃないけどたしかにおなじ美香なんだ!!!
「だからこそ問題なんだよ!」
隆太も負けずに反論する。
「この子はお前の妹じゃない。お前の世界の美香は今も行方不明なんだよ!!!この子を保護して!そのあとどうする!!!いずれ美香が二人になるんだぞ!!わかってんのかあんたは!!!」
美香は隠れながら二人の会話を聞いていた
「だいたい並行世界から飛んできた阿久津理人だと知ったらあの子が知ったらどう思うんだ?あの子を苦しめるだけなんだぞ?わかってんのか?」
胸ぐらをつかむ隆太
その言葉に美香の肩が小さく震えた。彼女は顔を上げず、ただ床を見つめている。
「やめろ」理人が低い声で言った。
他の者たちは2人の会話をただ聞いていることしかできなかった
部屋に重苦しい沈黙が流れる。時計の針だけが無情に刻まれていく。
意を決して美香は彼らと話し合う決心をする
「あの....」
寝ているはずの美香が現れ更に重苦しい空気が漂う
「ダメだろ?ねていないと?」
「お兄ちゃんなんだよね?」
涙ぐんだ目で理人を見上げる
「違う!」
隆太が叫ぶ。
「その人は君の兄ちゃんじゃない!!」
「でも……」
美香は理人の服の裾を握りしめた。
「本当のことなんだよね。並行世界から来た私のおにいちゃんなんだよね?」
隆太が溜息をついて壁にもたれかかった。「説明してあげるべきだろうな」
理人は妹を見つめながら、ゆっくりと頷いた。彼らは座り込み、静かに話し始めた。美香は泣きながらも兄の話を聞き続けた。自分が元々いた世界の話。自分がどんな生活をしてきたのかをそして—あの日のことを
「そっか……」
美香は小さく呟いた。
「だからお兄ちゃんは元々いた世界の私を探し続けていたんだね」
「ああ...だけど今はそれができないでいる。島を皆を守るために手がかりを探している。君と出会ったのは偶然なのかもしれない」
いや....そうではないなここに来るまで個人的な思いで動いてしまっていた...
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風が冷たく吹き抜けた。
別行動をしていたミディールはこの世界の理人の墓標の前で立ち尽くしていた。
「これは……」
彼女の目の前にあるの墓石。一つは「阿久津理人」と刻まれたものそしてその横には—。
これは水子の墓?それにこの名前は。
「やはりそうだったのね……」
彼女は静かに呟いた。
「それじゃ....あの子はいったい.....」




