第14【決意の再戦】
長くお互いの話をしてるうちに
少年は椅子に座ったまま眠っていた。
そっと、膝掛けを置き
ベット脇のライトを消した。
目を閉じたが、眠れない
ぐるぐるぐるぐる、沢山の感情が走り回っていた。
あれからどれくらい時間がたっただろう?
寒さと部屋の寒暖差で窓が曇っていた。
右指で、円を描くようになぞる。
そこから見える景色は、静寂さと月夜の灯りで照らされていた。
すると遠くの方で叫び声がした
慌てて外に飛び出した叫び声のような、悲鳴のようなその声の主を探した
数分後に声の主を見つけた。
先ほどまで、元気だったおじいさんが血まみれになり仰向けで倒れていた。
抱き抱え左耳を口元に近づける
「もう息をしてない...」
後から追ってきた、少年が駆けつけてきた。
少年は抱き抱える私を見て、何かを察したのか膝を崩し、
胸に顔を埋めた
「おじさん...」
私も、泣きたかった。
人の死は、誰であれこんな悲しいことはないから。
言葉にならない声が辺りに響き渡る。
強く握られたその右手には、一粒の小さな小さな最後の豆が握られていた。
コロコロと地べたに転がったその豆は、おじいさんの死を安易に認めてしまっていた
私は
魔力がない、ただそれだけ、たったそれだけで回りから好奇な目で見られるのが嫌だった。
だけど今は違う、こうして外の世界に出れた。
私が本でしか知らない景色を見れたから
「ごめんね...やっぱり...私行くね。」
そっと、立ちあがり私はおじいさんと少年を背に歩きだした
「おい...今さらどこに行くんだよ!!」
涙ながらに問いかけてきた。
「いかなきゃ....私がいかなきゃ!」
右手の模様が光だす。
必死に何かを喋りかけているが私にはもうなにも聞こえなかった
施設出入り許可証
少年とおじいさんを残し私は、施設へ向かった。
眼前には、謎の女性が脚を組み浮いていた。
「やっときたのね...」
「待ちくたびれたぞ~☆」
この感情は...
怒り?
憎しみ?
悲しみ?
いいえどれでもない...
自分がなにもできなかったことへの、失望感だった
私は、息を吐き大きく深呼吸すると目の前の女性を睨み付ける
蒼い眼は真っ直ぐ見据える
「貴女は許さない!!」
私の声がドーム内で反射して響いた。
目の前の女性の、細長い指はきめ細かい髪の毛を掻き上げる
サラサラとなびく髪は綺麗に翠と黄色だった。
私は負けじと、被っていた帽子を取りサラサラヘアーを少しだけなびかせた。
「ふっ...同感だわ...待ってるのはお肌に悪いから...」
「お前なんて、私たちがぶっ殺だぞ~☆」




