第11話【メロンパンの中でわたあめのようなものを投げられる】
前回のあらすじ
結局はノリが大事
そこは円形のドームの中とは思えないほど立派な造りであったが、360°全方位ガラス張りになっていた。
「わ~メロンパンみたい♪」
旅気分がまだ抜けていない
大好きな食べ物の事を考えないと集中出来ないのだ。
格子とガラスが交互に張り巡らされている。
「だけど変だなぁ、、、人は誰もいないし、殺風景な場所、、、ここはまるで、、、」
奥の方から、コツコツと足音が聞こえる
声の主はこちらに向かって歩いてきた。
「貴女、面白いから、ここへ招待したわ。ここは王宮ではなく、私の実験施設、、、もとい、牢屋って所かしらね。」
先ほどのチケットを渡した女性が目の前に現れた。
「姉様と私の檻だぞー☆!!」
姿は1人、だがもう1人いるようにも見える。
徐々に距離を詰めてきている。
コツコツと足音がドームに響いている18M程離れた場所で止まった。
「見ず知らずの私を助けたり現れたかと思えば突然消えたり、貴女たちは一体何者なの?」
数秒の間が開いたが、女性は口早に話を進めた。
「それは、私達のセリフよ。貴女は一体誰で、どうやってこの街にこれたのかしら。」
またどこからか、声がする。姿は見えない。
「姉様の質問に早く答えろ~!!早く!!早く~~☆」
「わっ、、、私は、、、」
さっきまでとは状況が違う。
今は囲まれてないとはいえ、敵意剥き出しの相手が目の前に立っていた。
この状況から打開しようと
右手の施設出入り許可証を出そうにもなにも反応しない。
「無駄よ。それは入る際はポケットの微弱な魔力で補えても、出る際は相当量の魔力がないと出れないわ。」
まるでこちらの意図がわかるように先に対抗策を言われてしまう。
姉は真実を突いてきた。
「貴女、、、魔力がない、、、いや、、、なにか隠してるわね?」
妹は確信で着いてきた。
「隠しごとわ~し・け・い☆」
ただ目の前で腕を組み立っているだけなのに威圧感で押し潰されそうだ。
なにかわからないが、ただこの場に居てはダメだと感じていたが、どうしようもできない。
「なっ、、なにも隠し事なんて、、、ははは」
笑ってごまかしてはみるが相手はジっとこちらを見たまま動かない。
ひとりで、会話をしている内に逃げたい。
逃げなくちゃ、逃げたい、お腹すいた、もう帰りたい。
でもできない
足が震え、身震いし、それでも目が離せない姿にただただ怖かったのだ。
会話が止まり、こちらに向かい問いかけてきた。
「貴女がこの街に来たのも何かの運命ってことかしらね。」
ドーム内は壁で覆われていて、出口は見当たらない。
私は、だんだんと強くなる風の正体がわかった。
目に見えるほどの、魔力がうねうねと生き物のように彼女を中心に巡回していた。
魔力は洗練されればされるほど、目に見えると言われているが、
彼女の出す膨大なそれは魔力のない私でも肌で確かに感じていた
髪がなびき、バックが揺れ、冷や汗までもが後方へ飛んでいった
右手で空に弧を描くと魔力の渦が頭上に上がる。
「私の魔力は、【天変地異】、、、その一角の【突風】って所かしらね。」
くるくるとわたあめのように右の指先に魔力を集中し出した。
次第に大きくなるそれは、ついには1つの槍のように先端が尖りだした。
それは、魔法と言うには雑で荒々しくただただ殺傷能力に特化した見た目だった。
「もう一度、聞くわ。貴女本当に何者?」
私は幾度となく、問いかけられた質問についに言葉もだせなかった。
彼女はまた【誰か】と会話すると。
小さく、ため息をついたように見えた。
それは安堵なのか、はたまた期待はずれの動作か。
「もういいわ...死になさい。」
そう言って、右手の槍をこちらに向かいて投擲してきた
私はどうすることもできない。
え? それ投げるの? 死んじゃうよねそれ?
当たったら死んじゃうよ?
嘘でしょ?
とも思った。
あー、こんなことになるんだったら。
ちゃんとおにぎり食べていればよかった。
師匠にも、感謝は伝えてないし
お弟子の方たちも優しかったなー
あっこれ、考えたらダメなやつだ、、、
ラシメイナは、走馬灯がぐるぐる頭を駆け巡っていた。
「人って、死ぬ間際はこんな感じなのかな?」
そのときだった。
|簡易通貨【雨除け傘 】×30!!
目の前に、かすかに認知出来るほどの魔法壁のような物が私と彼女のあいだに置かれていた
槍は傘を次々と貫くが、微量の魔力で雨除けするそれはラシメイナにたどり着く前に僅かにそれた。
その距離僅か1M
「あっ...危なかった...」
緊張が解けたと同時に地面に座りそうになった
手を誰かに引かれた。
意識朦朧の中、微かに見えたのは...あの時の....




