ゲームセンター
今日も引き続き、俺は何の予定もない、相変わらず、家族は旅行に行ってるし、玲香さんも今日も帰らないと連絡があった。
しかし、こう誰もいない、そしてやることもないと、暇すぎて手持ち無沙汰になる。
さて、どうしようか?
とりあえず、家にいても暇なので外に出る事にした。
「よし、近場でもブラブラするか!」
そう言って暇潰しの為にやって来たのは、最近、近くにできたゲームセンターだ。
このゲームセンターはどちらかと言えば小さい子供達向けの感じで、いわゆるゲーセンという感じではない、だが数台だが最新の格闘ゲームが置かれている。
まあ、前世での話しになるが、俺の青春時代はいわゆる格ゲーが全盛期で大人気だった、かくゆう俺もその波に乗り、格ゲーにだいぶ、はまっていた。
小遣いをほとんど格ゲーに費やしていた。そのため地元では結構、有名になっていた、そのおかげか、先輩、後輩、関係なく色々な友達もできた。
それこそ学年なんか関係無いほどに、それぐらい充実していたと思う。
さて、俺の目の前には、対戦形式の格闘ゲームが3台並んでいる、ようは、一人でプレイしていても誰かがすぐ対戦で入れるようになっている昔からの配置だ。
とりあえず昔やっていた、チームで戦っていく、格ゲーをやろうと思う。
まあ、俺がやっていた時よりはバージョンアップされているみたいだが基本的なやり方や技の出し方などは変わっていないようだ、プレイ台の百円を入れて始めた。
「おー、なんか凄いな!」
思わず声を出してしまった、というのも、思っていた映像よりも格段に綺麗で、流れてくる音楽も凄いカッコいいものだった、まあ、俺が昔やっていた時代と比べるのもおかしいとは思うが。
そして、昔やっていたおかげもあり、すいすいと進み、あっという間にラスボス前までたどり着いた、その時だった。
「New challenge」
という声が発せられ、いきなり対戦画面になった。
なんだよ、マジか、ちょっと俺は落胆してしまった、あと少しでクリアできると思っていたところにくるとは思わなかったからだ、実は格ゲーのほとんどは対戦して勝てば、前にやっていた人の進んでいたところから開始できるのだ、つまりここで負けてしまえば今まで進めてきた苦労が水の泡になると言うことだ。
まあ、仕方ない、ここは気持ちを切り替えてやるしかないな!
そして、、、、
はい、あっさり負けました、だが俺もここまで来て簡単にはあきらめられない!、なけなしの百円を投入して再度、対戦を申し込んだ。
そして、、、、
またまた負けました、と言うか相手、強いな!、女性キャラがまとまったチームを使っているのだが、とてもじゃないが全然、勝てる気がしない、だが、あきらめ切れない俺は、これが最後との思いで百円を投入して、対戦をしたが、、、
はい、負けました。
仕方ない、あきらめるか、だが、俺をここまで負かしたやつの顔だけは拝んでおこう!、ただでは帰れん!、なぜか俺はイキった顔をしながら反対側にいるであろう相手の場所に向かった。
そしてその相手を見た瞬間、俺はえぇぇぇー、と思ってしまった。
「あら、真、意外と弱いのね!、全然、相手にならなかったわね!」
そこにいたのは俺が天野真に生まれ変わってから初めて接した同級生の深井あきだった。
俺が入院している時にたまたま出会った女の子だ、その後、同じ学校ということがわかり、挨拶ぐらいはしていた関係だ、まあクラスも違うし、そんなに話す機会はあんまりなかった。
「え、なんであきちゃんがここに?、それに格ゲーなんてやるんだね!」
「なによ!、私がこういう所にいてゲームをしてたら悪いっての!」
「いやいや、そう言うことじゃなくて単純に意外だなぁ、と思っただけだよ!」
しかし、相変わらず、彼女は気が強いな、この年でこんなに気が強いと大人になったらどうなってしまうのか、見ているこちらが不安になるな。
「ところで真、もう私に挑まないの?、負けたままでいいのかしら?」
「いや、もうあきちゃんにはかなわないってわかったんで、これ以上やっても無駄だよ!」
「ふーん、情けないわね、しょうがないから私が終わるまで見てなさい!」
あきはそう言うとあっという間にラスボスを倒し、エンディング画面を迎えていた。
「あきちゃん、凄い、上手いんだね!、ビックリしたよ」
俺は、彼女の機嫌を損なわないように、そしておだてるように言った。
「まあ、当然よ!、なんってたって私は、格ゲー、マニアだからね!、これぐらい余裕よ!」
よくよく聞いてみると、彼女は昔から女性のキャラで格闘するゲームが大好きで、ゲーセン、自宅でかなり腕を磨いていたそうだ。
そして今日、いつものようにゲームセンターに来て見ると、俺がやっているのを見て対戦しようと思ったそうだ、しかもわざとラスボスの手前で。
その後
「負けたんだから、ジュースでもおごりなさい!」
と、あきちゃんに言われて仕方なくジュースをおごってゲーセンを後にしたのだった。




