母親の妹
俺は今、自宅で求人のチラシを見ていた。
今日もまだ連休の休みだ。実に素晴らしい、また家族はそれぞれ予定があるらしく朝食を済ませるとみんな家を出て行った。なので俺は今、ひとりだ。
しかしあれだな、こういうふうに求人を見てみると正社員の募集は少ないな、景気が少し回復しただの何だの言っているが正直、前世から比べてもほとんど変わっていないような気がする。
ここでちょっと昔話をしよう!、実をいうと俺は前世で派遣社員の期間がほとんどだった。なので色々な派遣会社や色々な企業に勤めてきた、期間が1ヶ月のものから、長いもので8年、本当に色々やってきた。もちろんその間に正社員の仕事も探したがやはり中途で入るとなるとなかなか厳しい、よっぽど何かの経験や知識、資格などがあれば別だが。
そして俺から言わせれば派遣社員は使い捨てだと思う、結局、派遣は時給だし、出る日数次第で収入が変動する、それに企業によっては派遣社員の扱い方に疑問を覚える事もあった。
一番ひどかったのはとある食品会社で勤めていた時だった、今、考えればとてつもなくひどかった。
時給は1000円、時間外が1250円、労働時間12時間の交代勤務、休日は週1日この条件で働いていた時は本当にきつかった、まず休めない、常に動きっぱなし、休憩は一時間しかないし最悪だった。それでも一緒に働いている人達がいいひと達だったから続けられた、一年、頑張ってやり続けたが最後の方は身体を壊して無理矢理辞めた。
まあ、色々と言ったが要は、派遣は使い捨てと言うことだ。
学生諸君にはわからないだろうが社会に出たら理不尽な事なんていくらでもあるし、自分なりに乗り越えて行かなければいけないと言うことだ。
まあ、偉そうな事を言ったが俺も基本、色々な嫌なことから逃げてきた。でも逃げるだけじゃなくて逃げた後、すぐ行動を起こしていた、だから無職やニートなどと呼ばれる事はなかったと思う、多分。
俺は一通り新聞のテレビ欄や広告のチラシを見ていたら急に眠くなってしまい、その場で少し寝る事にした。
ふと気が付くと電話の鳴る音で目が覚めた、うーん、良い気持ちで寝てたのに、眠い目を開けながら電話の受話器を取った。
「あーもしもし、玲香だけど、姉さんいる?」
一瞬、俺は誰?、と思ってしまった。
「あのー、すいません、どちらの玲香さんですか?」
「あー、その声は真ね!、私よ、私、ほらお母さんの妹の玲香よ!、わかるでしょ!」
そういえば母さんの妹の玲香さんという人が来るって言ってたな!、その玲香さんかな?
「まあ、確かに真ですけど、今、家族はみんな出かけてて今、家には俺しかいないんですけど?」
「ふーん、そうなんだ、わかったわ!、とりあえず今、マンションの前にいるから家に入れてよ!」
え、何でいるの?、確かに来るとは聞いていたが、今日じゃないはずだ、家族が旅行に出かける当日に来るはずだよな、家族が旅行に行くのは2日後だし、よくわからないがとりあえず入れてあげるか!。
「わかりました、とりあえず入って下さい。」
そうして俺はマンションの入口の自動ドアを解除して玲香さんを家に入れてあげた。
数分、待っていると家のインターホンが鳴った。
家の鍵は開けておいたので開いてますよ!と声をかけると扉が開いた。
「ふうー、外は少し暑いわね!、真、久し振りね!」
俺は目の前に現れた玲香という人物を始めて目にした。
まあ、以前の天野真は会っているだろうが、俺は始めて会うからどう接していいかよくわからんな、玲香という人物は髪型は黒髪のストレートのロング、顔は猫っぽい、そしてスタイルはあの怪盗アニメの○不二子みたいな感じだ!、うーん、凄い。
「でも、玲香さん、来るの2日後じゃなかったの?、そう母さんから聞いてだけど?」
「うーん、まあ、色々あってね!、とりあえずのど乾いたから、何か飲ませてよ!」
その後、リビングに移動して、冷たい麦茶を出して玲香さんの話しを色々と聞いた。
なんでも、ヒマだった為、予定より早く来たらしい、それに俺にも早く会いたかったそうだ。
「それにしても、なんか真さ、前に会った時より雰囲気が変わったね!、大人っぽくなった、というか子供っぽくなくなったというか、なんかね!」
「そうかな?、まあ自分ではそんな事はないと思うけど?」
まあ確かにそうだろうな、でもここで変に取り繕っても仕方無いし、下手に色々と考えてもどうしようもないし、今のまま行くしかない!。
「まあ、別にいいんだけどね!、ところでさ姉さんにも連絡したんだけどつながらなくてさ、もしかして今日、仕事だった?」
「うん、そう言えば母さんは今日は仕事って言ってたような気がする」
「ねえ!、真、私さ、朝から何も食べてないのよ!、だから何か食べさせてよ!、知ってるんだからね、真が料理出来るのは!」
いやいや、何故?、という疑問があるが、時計を見ると、14時ぐらいになっていた為、俺の分も含めて一緒に作る事にした。
その後、食事を済ませると玲香さんの話しを4時間近く聞かされ続ける事になった。
俺は誰か早く帰って来てくれないかな?と思いながら玲香さんの話しをひたすら聞き続けるのであった。