友達
まだ投稿しだしてから、そんなに立っていないのにアクセスして下さった皆さんに感謝です。
これからもよろしくお願いします。
「真、今日さ、学校終わって帰ったら公園で、サッカーしようぜ!」
と俺に声をかけてきたのは梅宮隆という人物だ、俺が小学校に通い始めてから最初の一週間ぐらいは、話しかけられることは、よくあったが一緒に誰かと遊ぶということはなかった。
俺も精神年齢は37だし、別に焦って友達を作る必要はないと思っていたし、正直に言って誰ともつるむつもりはなかった。だってそうだろ、37のおっさんが小6の奴らと遊んだってどうしようもないだろう。
だが、この梅宮隆という人物はよく、俺に話しかけてきていた。
俺達、家族が住んでいるマンションには俺も含めて小6の男子が3人いた、その中の一人がこの梅宮隆という人物だった。
身長は俺と同じぐらいかちょっと小さいぐらい、髪型は天然パーマ、顔は、んー、なんというか某妖怪アニメに出てくる、ネズミ男みたいな顔をしているな。
ちなみにだが俺は人の顔を覚えるのはものすごい苦手だ、男の顔だったら多少は覚えられるが、女性に至ってはほとんど覚えられない、だって女性の場合は、髪型、化粧などでちょっとでも変われば印象が全然、違って見えてしまう。
その為、俺は基本的に相手の顔を覚える時は動物の顔に例えるようにしている、まあ例外はあるが。
「まあ、今日はいつもより、ちょっと早く終わるから、少しの時間だったらいいぞ」
今まではやんわりと断っていたのだが、この梅宮があまりにもしつこいので今日は一緒に遊んでやることにした。
「なに、梅ちゃん、今日、サッカーすんの?、俺も行っていい?」
と声をかけてきたのは梅宮と一緒によくつるんでいる、小野満という人物、身長は俺よりちょっと高い、髪型はスポーツ刈りで、顔は典型的な猿顔だ。
「ああ、満も来いよ、3人でやろうぜ」
「おー、今日はマコっちゃんも来るんでしょう、初めてだな」
俺は色々な呼び名で呼ばれていた、天野、天野君、あまちゃん、マコ、マコっちゃん、などなど、まったく、子供は本当にいろんな呼び名をつけたがるな。
そんなこんなで今日も授業が終わり、帰りの会が行われていた。
前世の俺からしたらなんだ、それ、とも思ったが要は明日の予定や持ってくるものの確認だ。
確かに前世の俺の時代もあったような、気がする。
そんなことを思っていると号令がかかった。
「起立、礼、さようなら」
と一連の流れを済まし児童達は一斉に立ち去った。
午後の15時20分、まだかろうじて日差しがあり、多少ではあるが弱い風が吹いていた。
Y運動公園と書かれた看板を通り過ぎて中に入ると芝生が半分、残りの半分は野球が出来るようなグラウンドだった。
俺の家から歩いて10分ぐらいのところにあったのだが、こんな公園があったなんて初めて知ったな。
周りを見ると、こんな時間帯ということもあり誰もいなかった。
なんでも基本的には誰でも利用可能らしいが、団体が使う場合は利用出来なくなってしまうらしい、その場合は事前に予定が運動場の前に張り出されており、それを確認しながら使うということだ。
まあ、平日の午後に使う利用者はあまりいないため、この時間はほとんど空いている。
「よし、まず、パス回しからやろうぜ!」
「うん、そうしよう、いつも梅ちゃんと、二人だから、なんかすぐ疲れるんだよね、でも今日は三人だから、色々出来るね」
と楽しそうに、梅宮隆と小野満は話していた。
あーあ、やるとは言ったけどいざやろうとするとやっぱり面倒くさいな、前世で俺は、スポーツというものは好きではなかった。だってそうだろう、わざわざ身体を酷使して疲れて、汗かいて、なにが楽しいのか、俺には全然わからなかった。
だが親が何か運動系の習い事をしろ!とうるさかったので、週3日で時間も短かったとの理由でスイミングスクールに通い始めた。
そして気がつけば7年ぐらい続けていた。最初は嫌々やっていたが段々と泳げるように成ってくる自分に嬉しかったのか夢中になっていた。
しかし、球技だけは、はっきり言ってめんどくさい。何故なら球技は基本的にはチームプレイが多いし、一人がミスをすれば非難が集中するし、何よりも仲間意識が強くなってしまう。
もし今、ここで俺が一緒にサッカーをして、俺と一緒に遊ぶことが楽しいと思われてしまうと俺の気ままなダラダラ生活に支障をきたす可能性がある。
だからここは俺とサッカーをすることはつまらないと奴らに思わせなければならない。
「よし、いくぞ、真、満のほうに向かって蹴れよ!」
梅宮隆はそう言うと俺のほうに向かって、ボールを蹴り出した。
さてと、どうするかな?、どうやれば俺とサッカーを、もうしたくないと思わせられるか、と一瞬考えて、一つの答えを思いついた。
よし空振りしよう!。
そうして俺はボールが足元に近づくと同時に右足を、上に向かって振り上げた。
その瞬間、バランスを保てなくなった身体は重力に逆らうことなく背中から倒れて行った。
「おいおい、真、しっかりボールを見ろよ!、こんな遅いゴロ球で、空振りなんてよ、たのむぜ、本当よ」
「ちょ、マジ、マコっちゃん、マジ、ウケるんだけど」
梅宮隆は呆れるような顔をし、小野満は声を出しながら笑っていた。
「いやー、ボールを蹴るのって、意外と難しいな」
俺は起き上がると同時にそんな言葉を二人に向かって言った。
「まあ、何度かやれば、蹴れるようになるし、ゆっくりやろうぜ!」
「そうだぜ、マコっちゃん、ゆっくりやればいいんだよ!」
その後、俺は何度も空振りをする演技をするものの二人は常に笑いながら俺を見てサッカーを続けていた。
そんなこんなであっという間に時間は過ぎて気がつくと、もう太陽も沈んでいた。
「はーはっは、マコっちゃん、逆によくあんだけ空振り出来るな」
「そうだな、なんかよくわからんが、面白かったな!」
と、二人は俺を非難するでもなく、差別するでもなく笑顔で話しかけてきていた。
んーどうしてこうなった?、俺の計画と違うぞ、挙げ句の果てにまたサッカーしようぜ!とか言われちゃうし、なんかわざわざ演技をして空振りし続けたこちらが馬鹿みたいだ。
「じゃあな!」
と小野満は手を上げながら帰って行った。
俺と梅宮隆は同じマンションの為、二人で並んで歩いていると梅宮隆が弾むような声で話しかけてきた。
「いやー、今日は本当、なんだかんだで面白かったな!」
「いやいや、俺はもうサッカーはしないぞ、空振りするし、こけるし」
「いや、別に、いいんだよ!、単なる遊びだし」
と梅宮隆はそんなこと気にするなと、言わんばかりの態度で接してくる。
まあ、でもあれだな、なんかこういう気持ち、ひさびさだな、なんかあったかい。
当初の計画とずいぶん違う方向に進んでしまったがこれはこれでいいか。
友達になる、というのはなに?、と聞かれるとちょっと悩んでしまうが、こういうふうに一緒の時間を共有し笑顔で話していれば自然と友達になってしまうのかもしれないな。
と考えながら家に向かって帰って行ったのであった。




