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天の花  作者: 東亭和子
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 座敷牢に閉じ込められてから、どれくらいの時間が経ったのだろうか?

 舞子にはもう分からなかった。

 考える気力もなかった。

 トオイとは一緒になれない。

 離れにはもうアツキがいる。

 私の姉が!

 どうすればいい?

 諦めたくない。

「トオイ!」

 私はトオイの傍にいたい。

 例えアツキがもう傍にいても。

 だからそれにはまずここを出なければ!


 そんな時だった。

 頼子と清子が来たのは。

「姉様!どうしてこんなところにいるの?」

「お前達こそどうしてここに?」

 舞子が顔を上げると、格子にしがみついた頼子と清子がいた。

「母様がこっちに来るのを見て…」

「お願い、離れに行ってトオイを呼んで来て!」

「トオイって誰?」

「私を助けてくれる人」

 分かった行ってくる、と頼子は座敷牢を出て行った。

 清子はそこに残った。


「…トオイって人は、姉様が夜に離れで会ってた人?」

 清子が軽蔑した目で舞子を見ていた。

「見ていたの?」

 清子は頷いた。

「正志兄様がいるのに、どうして?」

「…しかたないのよ。

 私はトオイしか愛せないの」

「どうして!?」

 清子は信じられなかった。

 あんなに仲が良いのに。

 優しい正志をどうして裏切ったのか?

 清子には理解できなかった。

 そして初めて姉を汚らわしいと思った。

 大好きな姉だった。

 だから、許せなかった。

 清子は座敷牢を出て、離れに向かった。

 これ以上姉の傍にはいたくない。

 だからとりあえず頼子の後を追うことにした。


 玄関で清子は正志に出会った。

「やあ、こんにちは。

 舞子の具合はどうだい?」

「…姉様なら、奥に」

「奥?」

「ええ、奥の座敷牢に」

 座敷牢を見て正志は愕然とした。

「舞子!どうしてこんな…」

 舞子は正志を見ようとしなかった。

 正志は舞子はまだ病気だと聞いていた。

 それなのにこれは一体?

 正志は清子に説明を求めた。

「多分、姉様が正志兄様を裏切ったから、母様がここに閉じ込めたのよ」

 裏切った?

 正志は清子を見つめた。

「そうよ。

 夜に男と会っていたんだもの!」

 正志は愕然とした。

 そして舞子の言葉を思い出した。


 もう結婚できないの。


 舞子はそう言った。

 それは…

 正志は何も言えず、ただ舞子を見つめていた。



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