12
座敷牢に閉じ込められてから、どれくらいの時間が経ったのだろうか?
舞子にはもう分からなかった。
考える気力もなかった。
トオイとは一緒になれない。
離れにはもうアツキがいる。
私の姉が!
どうすればいい?
諦めたくない。
「トオイ!」
私はトオイの傍にいたい。
例えアツキがもう傍にいても。
だからそれにはまずここを出なければ!
そんな時だった。
頼子と清子が来たのは。
「姉様!どうしてこんなところにいるの?」
「お前達こそどうしてここに?」
舞子が顔を上げると、格子にしがみついた頼子と清子がいた。
「母様がこっちに来るのを見て…」
「お願い、離れに行ってトオイを呼んで来て!」
「トオイって誰?」
「私を助けてくれる人」
分かった行ってくる、と頼子は座敷牢を出て行った。
清子はそこに残った。
「…トオイって人は、姉様が夜に離れで会ってた人?」
清子が軽蔑した目で舞子を見ていた。
「見ていたの?」
清子は頷いた。
「正志兄様がいるのに、どうして?」
「…しかたないのよ。
私はトオイしか愛せないの」
「どうして!?」
清子は信じられなかった。
あんなに仲が良いのに。
優しい正志をどうして裏切ったのか?
清子には理解できなかった。
そして初めて姉を汚らわしいと思った。
大好きな姉だった。
だから、許せなかった。
清子は座敷牢を出て、離れに向かった。
これ以上姉の傍にはいたくない。
だからとりあえず頼子の後を追うことにした。
玄関で清子は正志に出会った。
「やあ、こんにちは。
舞子の具合はどうだい?」
「…姉様なら、奥に」
「奥?」
「ええ、奥の座敷牢に」
座敷牢を見て正志は愕然とした。
「舞子!どうしてこんな…」
舞子は正志を見ようとしなかった。
正志は舞子はまだ病気だと聞いていた。
それなのにこれは一体?
正志は清子に説明を求めた。
「多分、姉様が正志兄様を裏切ったから、母様がここに閉じ込めたのよ」
裏切った?
正志は清子を見つめた。
「そうよ。
夜に男と会っていたんだもの!」
正志は愕然とした。
そして舞子の言葉を思い出した。
もう結婚できないの。
舞子はそう言った。
それは…
正志は何も言えず、ただ舞子を見つめていた。




