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〇×クイズの場合(一)

 日曜日の昼下がり。薫と椛の二人が、リビングのソファーで飛び跳ねている。それを美雪は台所から見守るのみ。喧嘩さえしなければ、別にどうということは無い。あと怪我とか。


「ジャーンプッ!」「ニャー」「びょんびょん」「ニャーニャー」

 まぁ実際に飛び跳ねているのは薫だけで、椛は背もたれに掴まって、気持ちだけ飛び跳ねているに過ぎないのだが。と、薫も止まる。


「ねーねーおかーさん、これトランポリンと違うみたい」「ニャー」「そりゃそうよ」「買って買って」「ニャー」

 ジャンプを再開した薫を見て椛も真似。でもやっぱり気持ちだけ。

 台所の美雪は手を休めると『フッ』と溜息。笑いながら言う。


「それで十分。本物は怪我するから良いの」「えー」「ニャー」

 納得しない二人は文句タラタラである。しかし美雪も引かない。

「そんなにジャンプしたかったら、お父さんにジャンプして貰いなさい」「えーえー」「ニャー」「どうする?」「ニャー」

 謎発言だが、娘二人には通じたらしい。お願いするかどうかのシンキングタイムに入った。しかしそれも束の間である。姉妹で見つめ合って頷くと、またジャンプし始めたではないか。

 どうやら父親の『高い高い』は、姉妹にとってしっかりトラウマになっているようだ。父の苦労とは一体。

 でも三歳と一歳だと、所詮そんなモンなのである。


「ジャーンプッ!」「ニャー」「びょんびょん」「ニャーニャー」

 ほらね。結局ジャンプ出来るか否かの問題であって、それが別にトランポリンであろうが、父の腹だろうが、どっちでも良いのだ。

 あぁ、一応付け加えておくと、ニャーニャー言っている椛は猫では無い。じゃぁどうしてニャーニャー言っているかと言うと。


『ガチャ』「ニャンニャニャニャニャー♪ ニャンニャンニャー♪」

 それは明人の口癖だからである。機嫌良くリビングへ戻って来た。

 薫が明人の腹の上で飛び跳ねたので『もよおした』と言う訳だ。

 台所の美雪が心配そうに声掛け。いや、疑いの眼か。


「ちゃんと手、洗ったの?」「ハーイッ! 洗いましたぁっ!」

 立ち止まり、元気良く挙手しての回答。百点満点だ。

 娘二人が見ているし、ここは良き父として『お手本を示さなければならない』との考えから。平素より『返事は元気良くはっきりと』が教育方針なのだ。自ら実践して見せている訳でもある。


「石鹸付けて?」『クルッ。ガチャッ。ドンドンドン』「静かに!」

 何が見本か。表情も変えずに、手を上げたまま洗面所へ逆戻りだ。

 おまけに大きな足音まで注意されて。明人の足音は大きくて有名なのだ。特に下の階から。クレームを受けるのはいつも美雪である。

 烏の行水は聞いたことあるが、それと同等の速さで明人が戻って来た。一応反省して足音は静かだが、声はデカいままである。


「ジャンッ! ではクイズです!」「はーい!」「ニャー」

 さっきと同じ展開。右手を上げた明人だが、今度はクイズ大会が始まるらしい。薫も椛もジャンプを止めて、元気良く手を上げた。

 美雪は台所でクスリと笑う。突然クイズ大会が始まるのは、いつものことであるからにして。


「うんちをしたら、石鹸で手を洗わなければならないが、おしっこだけのときは、水だけで良い。〇か×か?」「まるー」「ニャー」

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