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未来の歴史書
エム氏は古本屋で、百年後の日付が記された「歴史教科書」を見つけた。彼は震える手でページを捲った。そこには、これから起こる株の大暴落、新エネルギーの発明、そして自分の名前が「稀代の予言者」として刻まれていた。
「これで私は世界の王になれるぞ!」エム氏は本の内容を元に投資を行い、莫大な富を築いた。彼は歴史の通りに動き、一歩も間違えることなく頂点へ登り詰めた。
教科書の最終章には、彼が死ぬ日付と場所まで記されていた。その当日、彼は豪華なベッドに横たわり、満足して目を閉じた。しかし、死の瞬間、教科書の奥付に奇妙な一文を見つけた。《本書は、退屈な独裁者を操るために書かれた、娯楽用の創作物である》




