表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/20

二十話

時間は少し遡ります。

誠が蒼月と会っていた時間です。


宗助視点


 目が覚めると、俺は知らない天井を見上げていた。

 いや、意識が覚醒してきた今なら見知らぬ天井と言ったこの天井が見覚えのあるものだと理解してきた。


「あらぁ?起きたぁ?」


 起き抜けにぼーっとしていたところに、真っ赤な髪をした女性が俺を見下ろす。

 見覚えのないその女性を顔から下までじっくりと見終えた後、その場から飛び起き女性……否、上級悪魔から距離を取るーーはずだったのだが、


「あっぶね!テメェふざけんじゃねぇぞ!せっかく作った飯を駄目にする気かゴラァ!」


 飛びのいた俺の後ろに別の上級悪魔が待ち構えていたのかそこにいた。

 反射的に体が動き、勝てないと本能で分かっていてもその動きを止める気すら起きなかった。


「そこまでです」

「!?」


 だが、俺が白髪の上級悪魔に当てようとした拳は、眼鏡の上級悪魔に止められた。

 咄嗟に拳を引き戻そうとするが、掴まれた拳は眼鏡の上級悪魔の手から離れず、まるで岩に手を埋め込んだかのように微動だにしない。


「ねぇねぇ!遊ぶのは後にしてご飯にしようよ!」

「うっせぇぞ!料理が冷めちまう前に席つけよ!」

「キャハハ☆シロが怒ったー!」

「こぉら、スーちゃんは走り回らずトル爺の横に座りましょうねぇ」

「ハーイ!」


 上級悪魔たちは先ほどまでのやり取りなんか無かったかのように、料理が置かれていく机の周りに座っていく。

 その席の中には桜が座っている。


「桜!?」

「あっ……宗助」


 その顔は今のやり取りに戸惑いを受けているようなのだが、上級悪魔に対して警戒している様子はない。

 

「おいテメェ!さっさと座れ!飯が冷めちまうだろ!」

「え?あ、はい」

「今日の飯はサラダともやしの味噌汁、それとからあーー」


 シロと呼ばれていた上級悪魔が唐揚げと言い始める前に桜以外の全員が唐揚げに向けて箸を伸ばし、掴み次第自分の口に放り込むように食べてまた箸を唐揚げに伸ばす。

 その光景を眺めていると山盛りだった唐揚げはその標高をドンドン下げていく。

 目の前の出来事に対して思考が止まってしまい、ただただ減り続ける肉の山を眺めることになる。

 止まった思考の中でも、桜はどうしているのかと視線を向けると、この状況に馴染んだかのよう自分のペースで食べ始めている。

 この光景だけを見れば、まるで家族団らんで食事しているようだ。


「おいテメェ!いつまで固まってやがる!食わねぇとせっかく作った飯が冷めちまうだろうが!」

「え?あ、すみません」


 思考は止まったままなのだが、出されたものを食べないというのは失礼にあたる。

 それがたとえ、悪魔から出されたものだったとしても。


「あ、うまい」


 いまだ減り続ける山から唐揚げを一つ箸でつまみ、一口かじる。

 味とかは未知のものかと思ったのだが、親しみのある家庭料理の味だった。

 お代わりはしなかったが、十分に満足感がある食事の余韻にしばらく浸った後に自分の思考が再び動き出す。けれど、先ほどまでの焦燥はないとはいえ警戒を解くわけにはいかなかった。


「それで……話し合いには応じてくれるのか?」

「話し合いに応じてくれるか心配していたのは私たちの方なのだがね」

「その言葉だけで少しは安心感を覚えるよ」


 その言葉を出した後、不思議な視線を感じてそちらを向く。

 そこには先ほどまで元気いっぱいでかけていた女の子が、俺の内側まで見通すかのようにこちらを見ていた。

 その瞳は先ほどまでの純粋な子どもの目とは違い、まるで蛇のように瞳孔を光らせている。


「こらこらスーよ、この少年に関しては心配する必要はないぞ」

「わかったよトル爺!」


 女の子は老人に諭されると、無邪気な子どものように部屋の中を走り回り始めた。


「すまないね、彼女はスーと言って精神透視系の魔眼を持っている」

「……人間相手に能力をバラしていいのか?」

「友好の証ーーと言いたいところだが、それ以前に能力がバレてもこちらは返り討ちにするのはたやすい」


 目の前の眼鏡の悪魔が言っていることを否定したいのだが、その言葉を否定する言葉を持ち合わせていない。

 悔しさから拳を握り締めてしまう。


「ハァ、君は最後まで話を聞かないな」

「どういうことだ?」

「上級悪魔一体なら君とそこの彼女、それから私たちをここに閉じ込めた人間の三人で倒せる実力を持っているだろ」


 その言葉から、目の前にいる悪魔が嘘を言っている様子は見当たらない。先ほどまでん握りしめていた拳から力が弱まるのを感じる。

 けれど、彼の言葉はまだ続く。


「だが私たちは常に五人いる状態、先ほど言った三人が揃っていても返り討ちにするのは可能だということだ」

「結局は人間ではお前たちに勝てないから話し合いに応じろという脅しか?」

「……そうは言ってない」

「アオったら図星をつかれて視線を逸らしたわねぇ」

「キャハハ☆アオ図星突かれてる」


 アオと呼ばれる眼鏡の悪魔が視線を逸らしたことを赤い髪の女性と先ほどの少女に揶揄われ、アオはその体をプルプルと震わせている。


申し訳ありません。

現実の方で引っ越しを行っていてバタバタしています。

なるべく更新しようと思いますが、不定期になってしまいます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ