二十話 真の心
いつも読んで頂きありがとうございます♪
ストレス発散目的と本格的に書き始めました。
それでも拙い文章力ですが最期までお付き合い下さい。
この作品は完結まで書く!
マロンは一人、王宮内ですれ違う衛兵や所々に配置されている精霊騎士達を特殊技能〝解析〟を駆使して偵察を密かに速やかに敢行していた。
(これで全部か……それにしても、どれもこれも迷宮の魔物以上やわ【五ツ星級】以上やないとアカン理由はよぅ判るわ、さてさて……)
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「一人の方が動きやすいで。」
「いや、流石に一人では……ここは幻影世界とはいえ傷も付けば死だって充分あり得るんだぞ、マロン。」
「隠密行動全般で言うならラインヤールよりマロンが適任やろな、確かにラインヤールの隠蔽魔法はマロンより格上やけど、ここはマロンに軍配やろ。」
宝物庫にてマロン、ラインヤール、ブルオが言葉を交わす。
ユカの体調が戻り、これからどう動いて行くか五人による作戦会議は開かれていた。
敵情把握の為に斥候役を決める中で優れた隠蔽魔法を得意とするラインヤールだがそれはあくまで気配を消す事のみに長け対してマロンは魔導科と隠密科で優秀な部類に属する。
扱える攻撃魔法は初級程度だが、それは単に鍛練や経験不足によるもの。
七年の内僅かしか費やせなかった為で当然の結果である。
その大半は魔導科にて適性が高かった支援系魔導士の技能習得を主に次点で適性有りと判断された隠密科では斥候技能の習得に費やし、得れる物は一通り得てきた。
そのおかげで機動力に優れた動き回る後衛魔導士という変わり種として今や学徒とはいえ、一目置かれる存在となった。
セシルみたく前衛を張れるずば抜けた才能や恵まれた体格は無くブルオみたく戦況を読む優れた知能や慈悲深さも無いマロンは王道とされる陽魔導士にも不向き。
それゆえに彼女は如何に己の弱点を武器に変えられるかだけを突き詰め、その一心だけ考え抜き磨いてきた。
このマロンの存在は少なからずウィンブリーの冒険者達に良い意味での衝撃を与え波紋を拡げては近年、新たな流派として認識されはじめ冒険者界隈に一石投じている。
決して華やかとは呼べない類の職種ではあるが、研究に研究を重ねれば如何に心強い存在であるかを知らしめ、それがましてや若い芽の学徒が興したとなると学舎を経由して冒険者となって久しい支援系魔導士や斥候職は黙っていられなかったのだ。
日増しに学び直しに訪れる者も実に少なくない。
そんなマロンの知名度は史上最高の学徒と呼び名が高いユカさえも凌駕するほどである。
「ラインヤール、本職とは言わんけど斥候職の領域なら私に任せてぇや。」
天使の微笑みかとさえ思えてしまう愛らしい表情が穏やかにも弾ける。
「ラインヤール、ウチの自慢の妹にちょっかい出すなよ?」
「なんでそうなるんだ」
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マロンが宝物庫に戻って来るとユカ達は安堵しつつも報告を聞く。
王宮内を徘徊する敵の数が多すぎる点やクルゴンが周囲を精霊騎士で固めて正門のある庭園で待ち構えて居る点など主だった難点を述べてゆくマロンだが一つの提案を掲げる。
「隠れてくれたんが宝物庫やったのが救いやわ、私らもここの装備品貰ってええかな、ユカ」
「勿論!」
それから三兄妹は着替え終えると、ブルオは気になっていた。
「ラインヤール、なんで顔真っ赤なん?」
「えぇい!ほっとけ!」
★★★
クルゴンをはじめ、多くの衛兵や精霊騎士達は苦戦を強いられる。
敵はたったの五人。
精霊族の最高級品で完全武装しているとはいえ技量も体力も子供とは思えない領域に達している相手に募る焦りは色濃い。
決して攻撃が当たっていない訳ではない。
だが、どれだけ追い込んでも立ち上がり何度も襲いくる五人の一糸乱れぬ連係力と各個撃破具合により自身の戦力はみるみる内に狩り取られていく。
焦りという幹から枝分かれした幾つもの苛立ちや憤りの枝々から芽生える蕾はさながら怒りだ。
「貴様ら、〝ノヴィス〟であろう!何故それ程の力があるのだ!?」
我慢の限界に達するクルゴンは叫んだ。
あり得ない現実に直面して面を食らったのだ、無理もない。
なぜなら自軍の戦力による波状攻撃をたかだか冒険者の雛達に尽く払われる事が何よりもの苦痛。
だが、それは同時にクルゴンの負の遺産を増長させるが同理。
「お前の魔力が尽きるのが先か、僕等の生命が尽きるのが先か、根比べや!」
精霊騎士に匹敵する魔力の持ち主がそう叫ぶとクルゴンは、かの敵を討とうと仕掛けようとするが、周囲を尋常じゃない速度で走り回る女犬狼族の妨害により収拾がつかない。
(糞、糞、糞、何故だ!?〝魔素解析〟では是程までの力は無かった、ただの低品質な餌の筈!それに精霊族のあ奴らはともかく、そもそも何故五人揃っている!?あの装備はなんだ!?我の領域においてこちらの幻影武具を装備するなんて!何よりも受け入れがたいのは、この期に及んで孵化しおって!気に入らん……気に入らんぞ〝ノヴィス〟!これではあ奴らが……あ奴らこそが〝特異点〟ではないかッ!!)
戦況は長引く程にクルゴンの計算を狂わせてゆく。
「数で押せぬならば、質量で圧し潰すのみよ!」
クルゴンは幻影を生み出す技能から自身に宿し戻す技能へと切り替える。
周囲の兵や屍からさえも魔素が抜け出し幻影体が次々と減り消え、ついには真の姿を現す。
〝ノヴィス〟達の表情が明らかに変わるのを確認すると自身の昂りを抑えられなくなり、笑いを溢す。
あらゆる負の感情を取り込み戻しては自身の膨れ上がった負の感情も喰らい始めるとクルゴンの姿ではなくなり、やがてゆらゆらと揺れると黒い魔素が焔のようにそこに存在する。
「我が世界に不釣り合いな愚か者達よ、足を踏み込んだ己の運命を恨むがよい!」
高まる自身の衝動を抑え込めぬ〝五負〟は両腕を限界まで広げては溢れる力を黒い刃に変えて解き放つ。
その威力たるや五人にとってはまさに脅威であった。
既に疲労感が顕著な若い芽達は是迄とは次元の違う攻撃によって地を舐める様に伏せる。
「なんちゅう圧力やねんッ!」
ブルオの装備する法衣は魔力の膜が施されていたのだがついに破られてしまう。
度重なる波状攻撃により損耗が目立っていたのだが、辛うじて立ち上がると、これまで以上に集中してユカ隊全員に回復魔法を唱える。
「まずは貴様からだ!陽魔導士ッ!」
〝五負〟にとって五人の中で最も厄介なのはブルオであった。
魔力量や技能の幅は正直なところ大した脅威ではないのだが、本質的に〝五負〟の対にあたる陽魔は慈愛や期待や信頼などの温かく心地良い感情が根源。
――不快――
その一言に尽きる。
ましてや〝五負〟自ら産み出した筈の幻影装備なのに五人の魂と共鳴し定着するなど以ての外であり、性能が性能なでけあり何もかもが鬱陶しい。
〝五負〟の感情が具現化すると、それは大きな鏃となりてブルオ目掛けて放物線を描く。
その光景を痛みに呑まれかけながら四人はブルオに視線を送ることしか出来ない。
圧倒的な威力からは嫌悪感と寒気を感じる禍々しい気配。
四人はブルオに向かって避けろとだけしか言えなかったが、ブルオはその場で杖を構えて眩い光を宿す。
そして鏃がブルオに着弾すると耳を塞ぎたくなるほどの衝撃音が起こり、彼の体格の数倍の魔素が留まる霧のごとく辺り一面を包み込む。
「ブルオォォォーーーーーッ!!」
ラインヤールの悲痛な絶叫は衝撃波に攫われる。
やがて霧が散ると、ブルオの姿が露わになった。
法衣は酷く焦げ、損耗箇所は更に広い範囲におよび、傷も目立っていた。
血痕は耳や鼻からすらも滴る。
「……これだけ痛みをずっと抱えていたんよな……だが……好き勝手に他人の想い出を踏み躙っていい道理やない……怒りだ憎しみだ怖れだなんて、テメェが一番〝痛み〟の境地知っとるやないか、ならそれを他人に回さねぇ、回させねぇッて気概をなんで保てへんねん……〝痛み〟……この〝痛み〟を知る癖に、それに囚われているテメェは所詮器が小せぇ、小せぇんだよッ!!要は自分自身の怠惰やんけ!僕は負けるわけにはいかへんねん……そんな半端モンにッ、なんの改善も根性も見せんような愚者にッ、〝痛み〟を己の弱さを容認しねぇ理由にする様な奴にッ!負けれるか、負けてられるかぁッ、こちとらそんな軟な育てられ方してへんねんッ!」
そう叫ぶブルオからは普段見たことが無かった形相を見た四人は唖然として微動だにしない。
「〝痛み〟があるからこそ、この世に〝慈愛〟があるんや!その傷、全部受け止めてやらぁ!」
ブルオは唱える。
あらゆる〝五負〟の声に耳を傾けながらそれを包みこまんと。
「愚か、実に愚かだ!〝ノヴィス〟よ!」
〝五負〟の煽りに構わず、流れ込むあらゆる負の感情をブルオは受け止める。
――〝三真の仰〟の一つである〝真心〟を放ちながら――
ここまで読んで頂きありがとうございました♪
極力サボらず毎日マイペースで少しずつ書き出してますが
一身上の都合により不定期更新となります。
また次話読んで下されば嬉しいです♪
書き溜め… …_φ(・_・




