一話 酒と肴
いつも読んで頂きありがとうございます♪
ストレス発散目的と本格的に書き始めました。
それでも拙い文章力ですが最期までお付き合い下さい。
この作品は完結まで書く!
――大陸暦、五八三年、ニュータイト大陸――
乾いた季節風が一際大きな峡谷の間を縫ったかと思えばその先に広がる荒野を駆け巡ると透き通る陽射しと共に大都市へと辿り着く。
〝ガルバス自由国〟首都〝ワールロー〟
大陸には大小様々な国家が形成され、一つの大陸と為しているが、その中でも国家の勢力が大きいガルバス自由国は大陸中央に位置し、故に昨今の経済市場や人の往来が非常に盛んである。
とりわけ、その国家繁栄に多大な貢献をしているのが迷宮の数々であり、引いては冒険者業と呼ばれる一攫千金を夢見る者達や才気に溢れる英雄願望者等を始めとしたピンキリの冒険者達だ。
そんな彼等が極自然に集まる大陸随一の大都市として〝ワールロー〟は存在する。
今振り返ると、その都市の一角にある酒場にて物語は産声を上げていたのかもしれない……
★★★
「おい、最近噂になってるやつ聞いたか?」
「あぁ、アレだろ……行商潰し。」
都市の酒場としては小さくとも大きくとも無い店内で昼下がりから酒を煽る冒険者達が噂話に興を見出す様に食い付いていた。
数年前から、ガルバス自由国を繋ぐ経済貿易陸路で何組もの行商隊が襲撃に遭っており、中には護衛についていた冒険者達にも被害が発生している。
生存者の証言では野盗による事件らしいのだが、聞こえてきた噂によると主犯は元冒険者で【四ツ星級】だと言う。
先程から呑んでは暮れている冒険者達は軽く息を溢しながらも卓に並んだ食事をいそいそと口に運んでは話を続ける。
先日、隣国パノラ大国からさる高名な大行商隊が件の貿易路を巡行中に襲撃され護衛任務にあたっていたパノラの冒険者達が何とか凌いだようだが、その中でも【二ツ星級や三ツ星級】の冒険者達数名が犠牲になったとの事。
護衛隊を率いていた【七ツ星級】の冒険団が二組も居たにも関わらずだ。
「おっかねぇよ。護衛隊率いていたのってパノラの【十一足】の内の二組だろ?」
一人の男がそう言うと向かい合って座る男は黙って頷き、周りに居た数人は驚きを隠そうともせず騒ぐ。
この世界の冒険者業は古くから新人や未熟者を意味する【一ツ星】から英雄的称賛を浴びる【十一星】まで十一段階の階級が存在し、【七ツ星級】となると人間離れし始めると言ってもなんら過言ではない領域で、小さな迷宮なら単独踏破出来る程の実力を保有するとして認知されており、護衛を率いた【十一足】の二組はその【七ツ星級】の猛者が複数人所属するパノラでも屈指の冒険団。
そう、言い換えれば【七ツ星級】の実力者が複数居るにも関わらず甚大な被害が出たという事実。
そして隣国パノラ大国は武功主義国家、武力に長け迷宮探索や武芸大会などで大いにその存在感を世界に示す国である。
〝パノラの三年、他国の三十年〟と謳われるのはそれほどにパノラ大国という土地柄や国家思想が如何に武功主義かを物語る由縁で心身を鍛えたい者達の聖地でもあるのだが、〝十一の足音〟通称【リッチオ】と呼ばれる称号はパノラ大国きっての勇士や一団に贈られる呼び名。
そんな強者達ですら無難に事を運べなかった事実は瞬く間に世界に広まっていたが、その実パノラの二組だけでは戦況は危うかったという部分は切り取られていた。
伏せられた事実はガルバス、パノラの二大大国にとっては大きな脛持ちになりかねないからだ。
だが、水面下での噂……こと情報屋というのは非常に恐ろしい。
国家の威信に関わる情報ですら金に変える始末。
「紫黒鎧の戦士……か……。」
黙って頷いていた男が不意にそう呟くと興味深そうに周囲の冒険者達は顔を覗くように男を見るが、男は自身の過去を振り返りつつも仕入れた情報を語り始めた。
ワールロー北の街道にてパノラ大行商隊は交戦。
交戦時に相手が名乗った数十名の中には、数名だけではあるものの、かつて大陸各地で活動していた【四ツ星級】冒険者も含まれていて何故野盗と化していたのか分からないが、そこは冒険者業で闇堕ちするのもそう珍しくはない。
だが、現役の【七ツ星級】冒険者達と渡り合う実力者ともなると国も黙ってはいられない。
パノラを始めとする近隣諸国と協力して散り散りに逃げた野盗達の掃討を企てている様子と男が呟いた〝紫黒鎧の戦士〟が野盗の頭領を含む百を超える野盗団の大半をたった一人で切り捨てたとなるとガルバスはまだしも、武力自慢のパノラの面子はあったものじゃなく、面白くないのは明白。
ましてやパノラ国王が認めた実力者達が追い込まれ劣勢を強いられる状況であったなど口に出せるわけない。
そして、続けさまに男が駆け出し冒険者に毛が生えたくらいの時期を話し始める。
紫黒鎧の戦士は紫を基調に黒く縁取られた一本線の入った全身甲冑を身に纏い、人の背丈をゆうに越える大剣を振り回し、あっという間に敵を蹴散らす戦士だったと。
その時に男は戦士に名を尋ねたが名乗ることはなく、その男の身を案じくれたという。
以来その男からしてみれば紫黒鎧の戦士は憧れである――と。
「あの状況は不味かった……まっ、詰まる所、紫黒鎧の戦士様が居なけりゃ、俺はとっくの昔に迷宮の養分だったって話だ。」
「オルテガの糞野郎を食べたとなったら迷宮も糞詰まりしてたろうな。」
言葉の綾か、卓を囲む雰囲気は明るい。
そんな何気ない日常の一端にて、食事を終えた男が一人、椅子から立ち上がっては店外に出るとワールローの街中へと姿を消し去った。
ここまで読んで頂きありがとうございました♪
極力サボらず毎日マイペースで少しずつ書き出してますが
一身上の都合により不定期更新となります。
また次話読んで下されば嬉しいです♪
書き溜め… …_φ(・_・




