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冒険者ギルドの闇2山小屋保安クエスト

 ここはファンタジー世界、街から一歩出ればモンスターの住まう大自然が広がっている。

 そんな世界で人々は道を切り開き、商隊が物資を運び、人々は街を繋げ文明を発展させてきたのだ。


「山小屋は道行く人々の避難所です、私達冒険者ギルドはこの管理を任され皆さんC級冒険者向けの安定クエストとして年間を通して依頼を出します」

「ハイ!」


 素晴らしい事だ、不安定だと聞かされてきたこの職業に…こんな安定した仕事があるなんて!C級の新入り達はホッと息を吐き、そして気を引き締めた。皆、様々な理由で食い詰めてこんな最底辺へ落ちてきた者達だ。背水の陣、研修の仕上げとして受けるこのクエスト…絶対に成功させるという熱意を燃やした。


「ではA班はミートボルの街への1区間、B班はオカムランド国境までの2区間、最後のC班は私と一緒に三日月川を下り、サカナールへ入る4区間になります、それぞれの班に分かれてください」

「ハイ!」


 1区間とはつまり山小屋一つと言うことらしい、山小屋は基本的には早朝出発し夕方に到達出来る距離、概ね20キロ毎に設置されているのだから、A班は約40キロの道のり、B班は約60キロ、C班は約100キロの道のりを歩く予定だ。

 更に一つの山小屋に付き1周間の滞在が義務付けられているのでA班は9日、B班は17日、C班は33日間の日程だ…キツイ!

 更に更に、山小屋へ物資件、旅の食料は背負って行くため、長くキツイ日程のコースほど荷物は非常にデカくかさばる。…ツライ!


「さぁ!皆さん!出発しますよ!?」

「ハイ」


「冒険は?」

「大好き!」


「自然は?」

「大好き!」


「歩くの?」

「へっちゃら!」


「クエスト!」

「やるぞー!」


 こうしてC級冒険者達はギルド職員達と研修クエストと言う名の地獄へ連れて行かれた。

 彼等はまだ知る由もない、ギルドは国から「山小屋の常駐警備による保安維持」と「山小屋への物資補充管理」という2つ分の依頼料を受け取りながらピンハネし、彼ら中は一つ分の依頼料から更にピンハネして支払われ、しかも半分は彼等が運ばされた物資を現物支給されるという事実を…この世の闇を…!


「じゃあ皆さんはこの山小屋で一週間滞在の上、次の班が来たら交代して次の山小屋へ向かってくださいね!では!」


 研修指導名目で着いてきていたギルド職員は1人馬に乗って帰っていった。

 

 ◇  ◆  ◇  ◆


山小屋滞在

…冒険者が滞在する事で浮浪者や犯罪者が拠点にしないようにするクエスト、冒険者はみんなギリギリの生活なので賄賂渡せば見逃して貰える。


山小屋物資補給

…冒険者に乾パン等を大量に持たせ街から山小屋へ行かせるので、それを補給とみなしている。

その為、冒険者は山小屋利用者に求められた時は物資の提供が義務付けられている。

 もちろん、物資を渡すだけ冒険者が損をする事が無いようにギルドが定めた取引価格で販売する事になっているが…


アルバイト

…このクエストを受けていれば、最低限の食事(乾パン)は受け取れるが現金収入は微々たるものである。

 故に慣れてきた冒険者はこのクエストと並行してアルバイトを行う、薬学等がある冒険者は薬草を集めたりするわけだが…そんな学がある冒険者は稀である。(学があったら冒険者になってない)

 もっともポピュラーなアルバイトは郵便物、手紙等を街から街へ運ぶことだ。大した金額にはならないがやりがいを見出す冒険者もいる。


人数

 国からは3名セットで依頼をうけている。1人が荷物、1人が戦士、1人が案内という構成だが

研修時は研修だからと半額賃金で2人+職員(最初に山小屋で帰る)、研修が終わると1人でやらされる。

 クエストの最後にゴールの街の冒険者ギルドに行くと何故か三枚の書類に署名を書かされ、口止め料として小銭を渡される。


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