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クッキーを食べるクッキー

 食べ物を粗末にしちゃいけない、当り前のお話だけども‥改めて話して聞かせよう。


 命が生まれてまた死んで、土に還って草木が育つ‥おっと、今回育ったのは小麦だよ?小麦はすくすく育っていったよ、太陽の光をポカポカ食べて、雲が運ぶ水ごくごく飲んで、そよぐ風に踊ったり‥鳥や案山子と話したり。そして彼もまた死んだのさ。

 生きる事に意味はある、無ければとても悲しいからね。彼が生きたのは食べられる為、死ぬ為に生きたわけじゃない‥誰かを生かす為に生きたんだよ。彼は確かにそう聞いた。空にぷかぷか浮かびながら‥天使さん達に聞いたんだ。

 彼の体は潰されて、捏ねられ焼かれてクッキーになった。生まれ変わった彼は買われて、子供のおやつになるはずだった。‥なるはずだったのさ。


 棚の奥に忘れられても、彼は人生を考えていた。今は子供の笑顔の為に生きているのだ、そんな意味を噛み締めていた‥ところがあれれ?捨てられた。捨てられた。捨てられたのさ‥ゴミ箱の中、死んだ彼は成仏も出来ずおばけになった。「クッキーおばけ」の誕生だ。


 ある夜、トイレに起きた子供が気配を感じてそっとゴミ箱をあけてみると‥


 ジャンケンポン‥バリバリバリ

 ジャンケンポン‥ムシャムシャムシャ

 ジャンケンポン‥バリバリバリ

 ジャンケンポン‥ムシャムシャムシャ


 クッキーがクッキーを食べている。 

 勝ったクッキーが負けたクッキーに食べられている。‥いや?自分から食べてもらってる?

 そして最後の一枚が残り、彼は虚ろに下を見ていた‥が、バッといきよいよく顔をあげ!子供を見つけてニヤリと笑った!


 ぴょ〜ん!がポポーン!


 口の中に飛び込んだクッキーは自分から砕けて喉に向かう!砂糖と玉子と小麦の甘さ!

 ゴクリ!と思わず飲んだ子供は!暫くキョトンとしていたが‥ぼんやり声が聞こえたらしい


 食べ物を粗末にしないでね、僕らは食べられる為に生まれたんだから


 はてさて、トイレに向かった少年はお腹を壊して大変だった。

 食べ物を古くするとバチがあたるよ、美味しく食べてあげないとね。

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