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異世界リターンズ

「僕は特にスキルが無くてね、苦労したよ…だだ、会社の講習で習ってた心肺蘇生、あれが役立ったんだ。たまたま助けた冒険者にさ4代貴族の8男が居て…」


「あーわかるー、俺は柔道習ってて助かったわ。先輩冒険者に後ろから羽交い締めされてさ、体に染み込んだ返し技決めたら偶々見てた勇者スカウトの爺さんに声かけられて。」


「お主らはショボい人生だったみたいじゃのう!わしは最強の魔道師として名を馳せたものよ。“第六天魔王ノブナガル”いやはや愉快な人生じゃった!」


 …カリカリカリ


 死んだ魚の目をした3人が、薄ら笑いを浮かべながらベッドに腰掛けて話し合っている。

 彼らの会話を記録する医師は頭を抱える。うーん…悪化している…お薬多めに出しておくか…


「じゃあな第六天魔王ノブナガル!」

「あぁ、(黒帯)クロービー=マカルマンもな」

「なんだよ!俺無視するなよ!俺は伝説の医術師だぞ!俺は人工呼吸で王様も魔王も助けたんだぞ!」

「「いや…お前口臭キツイし…」」


 治療の効果は見られないが、彼等3人を会わせた事は正解だった…中学生…小学生みたいな程度の会話は悲しいが、理解者を得た彼等は傍目に見ていて微笑ましかった。


 第六天魔王ノブナガルこと、世渡旨子は爺口調の付け髭マニア(顎髭あると落ち着くらしい)小学6年生の女子である。

 クロービー=マカルマンこと弐階粋流は力士並にふくよかな46歳の親父でバツイチ無職。

 伝説の医術師こと前歯臭男は警備業を生業としていた30歳のフリーターで通りすがりの女子高生〜OLの唇を奪おうとしては殴られ奪おうとしては殴られ逃げを繰り返していた猥褻犯で責任能力の有無を調べるために入院してきたゴミである。


 ヒゲ小学生、デブ、ゴミ

 涙無しには見られない3人だ…その哀しみは、周りの苦悩はしかし本人達には届かない…鏡を見せて見たが駄目だった。

 「お前は誰だ、お前は誰だ、お前は誰だ…」

 …否、効果があり過ぎた。

 鏡に向かい自問自答を繰り返し、最終的に首を掻きむしりながら発狂した為彼等の前に鏡を置く事は禁止になった。


「…先生、また…“異世界人”が運ばれて来ました。」

「またかよ!流行りなの!?」

「流行りです!」


 報告に来た看護師と頭を抱えてベッドの空きと治療スケジュールを考える…っと、とりあえず一回診察して重度をみなけりゃしょうがないが…


「今度はなんていってるんだ?先に家族と話をするか…」

「え〜っと三日前山中で発見された人で家族は…本人曰くカレー教団に所属する魔術師だったとか…」


「山中!?あ〜もう重度じゃん!うわああ!」


 ドカーン!


 仕事のストレスでついに頭が爆発したと思ったが違った。なんか病院の天井が無い。

 what!?


 パキパキ…


「ほう…ここが転生者達の言う“ちきゅう”か?魔法は問題なく使えるようだな…」


 黙っていればイケメンっぽい全裸の男が現れた、え?ガチやん?


「せ…先生」

「あぁ…精神異常者ではないようだな、うん」


 診察終わり!

 頭がどうのじゃないよ別問題だよ!

 私の管轄じゃなきゃ知らねーよ!

 もしかして頭おかしいの私じゃね!?


「…ふっ魔力を感じて来てみれば…じゃな」

「っえ!?世渡旨子さん!?」


「ククク…久々のクエスト、血がたぎるぜ!」

「弐階粋流さん!?」


「さがってな先生、ここは俺達に任せな!」

「猥褻犯!?」


 こうして、彼等3人の精神異常は誤診であり、今までの言動の正しさが証明された。

 

ピーポーピーポー


 責任能力有りと認められた前歯臭男ははれて正式に逮捕され、警備会社も首になったという…

 異世界もこの世界も、頭の正しいもおかしいも無い…犯罪者には罰を!犯罪者には罰を!


 そんな動きが起きたとか起きないとか

 そんなこんなで物語は終わる。


 END

 

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