20 転生の仕組み
ロゼハーブティーを飲み干した直樹は神父に感謝の言葉を言う。
「本当にありがとうございます! 毛布まで掛けてもらって……」
「ははは、いいんですよ。神父とは人に優しくするものですから。それより、夜中にあんなに疲れた様子で教会へ来られるとは、一体何があったというのですか?」
「いや……なんというか、俺は別の世界から来たんですよ」
「なんと。転生者の方でしたか」
神父の言葉を聞いて直樹は目を見開く。
「転生者!?」
「ええ。この世界とは別の世界で不幸な死を遂げたものは、皆この世界で新たな人生を送る、それが#理__ことわり__#というものです」
(ああ。本当に不幸な死だったよ。頭の悪いクラスメイトの幼稚なおふざけのせいで死ぬなんてな! 逆に運がいいのかもな!!)
「俺以外にも転生者がいるんですか?」
「勿論で御座います。この街にも一人敏腕の冒険者がいますよ」
神父の口から飛び出した衝撃の事実は直樹の心を揺さぶった。
「なるほど……こちらの世界の人間は転生者に理解があるんですね?」
「はい。まあ中には転生者を疎んだり憎んだりする輩もいますがね……」
「あの……お世話になっている身で大変恐縮なんですけど、この世界で生活するにはどうすれば良いんでしょうか?」
「ええっ!? ご存知ないのですか?」
「えっ……」
驚く神父の様子を見て、直樹は困惑した。