第56話 夜の出来事の真実
本日の2本目です
男爵が部屋から出ていったあとで服を着ると、『取り寄せ(アポーツ)』の魔法を試してみた。
サヘラさんの家に置いたままの神様のバッグを取り寄せるためだ。
失敗するかと思ったけれど、幸いな事に取り寄せることができた。
どうやら男爵が命令した、『外に向けて助けを呼ぼうとするな』の、条件には当てはまらなかったようだ。
逆にメモを書いて、瞬間移動でサヘラさんの屋敷に送ろうとしたら、『外に向けて助けを呼ぼうとするな』に抵触したために、実行できなかった。
ちなみに、昨日この部屋でキスを迫られそうになったとき、男爵の目の下にクマがあるのがわかった。
なぜ出来たかはともかく、寝不足なのだろうと判断した僕は、男爵の顔を両手で包み込むように触り、袖に仕込んでおいた噴霧式の睡眠薬を吹き付けた。
魔法でも魔眼でもないし、初対面の時の顔色の悪さと、寝不足を心配したのは本当だったので、首輪は反応しなかった。
しかしこのままだと怪しまれる。
なので、夢侵入を使ってみることにした。
禁止されていないし、男爵を気持ちよくさせるつもりなのが幸いしたのか、またも首輪は反応しなかった。
夢侵入は本来は生身で夢の中に入るのだけれど、今回は外から夢を操るだけにした。
そのため、男爵は寝たままで全身を痙攣させ、僕がその横で椅子に座り、男爵の額に指を置いているという光景が繰り広げられることになった。
男爵が満足した後は、部屋のシーツを取り替え、怪しまれないように角と羽と尻尾をだしたまま全裸になって横で寝ていたのと、魔法をかけた時に、病症療治と体力回復をかけておいたお陰で、男爵が、眠らされ、夢侵入をされた事に気がつくことなく、機嫌良く部屋を出ていった。
服を着終わり、ベッドを改めて整えると、指示通り調合道具を置いている部屋の場所を訪ねるべく部屋をでた。
屋敷は所々、『きんきらきん』とか『ごてごて』とかの悪趣味な雰囲気の調度品がたくさん飾られていた。
そうして廊下を少し歩いた所で、あのリノちゃんに良く似た女性に出くわした。
18禁バージョンは鋭意制作中です
感想をいただけるとありがたいです
ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします




