《③》
全て日本語ではない言葉で書かれていた
紙切れに書かれた設問に答えを書くだけの作業
こんな事をする為に
老人はオレを連れ出したのか?
設問自体が間違っている
全て答えるには紙の余白が足りない
まぁ適当に書いておいた
肉の塊と葉っぱと米の飯を
初めてフォークとナイフとゆう
道具を使って飯を食ったが面倒くさい
つくづく箸とゆう道具は合理的である
どうやらオレは
別のところに住むことになるらしい
何人かの知らない大人がオレを差し置いて
オレの書いた紙切れを見ながらコソコソと話していたのが不愉快だった
生きる事に疑問を持たない事を心情に過ぎていく毎日という時間
その中で唯一
老人が何者なのかに対する疑問だけは常に
まるで赤錆のように脳裏にこびり付いていた
小さな木造倉庫のような一軒家から次に放り込まれたのは
レンガの壁の大きな建物の地下だった
地下といってもそこで寝泊まりをしているだけで
上の階や外出に制限があった訳ではない
世を知ることは自らを知ることにもなった
老人は背が高いと思っていたのは間違いだ
オレの背が低いのだ
膝が外向きなことをガニ股というがオレは極端だ
頭から出る粉は生理現象だと思っていた
頭以外はオレの身体は全てが小さく出来ているようだ
ただ・・・
男の証であるイチモツが最大限に肥大化した場合
それは1尺程になり冬場は暖かかった
外に出ることを拒む自身の生活が変わることはなかったが
三階建てに管理されて詰め込まれている書物に歓喜した
急速に広がってゆく脳裏の中の宇宙
老人に示された単語
例えば【動力】とか【生死】とか【飛行】とか・・・
それに対してオレが乱雑に書き記したノートを老人は定期的に回収して行った
そこでは
性別の異なる人間がオレの世話をした
大きな収穫だった




