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ボーナスステージの異世界冒険録  作者: 椰子獅子


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第97話

トロトロの温泉はエッシェンバッハ辺境伯領として、領都とはあまり離れてはいないがかなり外側にある山間の村の近く。

俺が皆を引き連れて転移魔法で移動。


村の外から皆で雑談しながら歩いて近付いていくと、警備隊のチームが騎乗したまま近付いてきて自己紹介したらかなり驚いている。

俺が来るかもという連絡は受けていたようだが、一緒に風王マリベルがエルフを引き連れて来るとは想像してなかったようで……驚愕して警備隊隊員が絶句していた。


マリベルはイタズラが成功したような顔でなぜか笑っているけど、執事やメイド達が同情するような顔で暖かく見守っている。


風王マリベルは伝説上の人物。

世界最強の一角を目の前にして落ち着かないのは仕方がないし。

俺が訪れてきた場合は当主のルドヴィークから領主の館を開放するようにとの指示を受けてるとの事で警備隊の副隊長が先導して案内してくれる。

隊長が別の方向に馬を走らせたので、即座に連絡をする為に駆け足で走って行ったんだろう。


領主の館へと歩きながら警護をしてくれている警備隊の馬が、俺やマリベルに甘えようとしてくるのを手綱を引いて必死になって止めようとしているが、俺やマリベルが笑いながら馬の顔をポンポンするだけで満足してる馬を見てグレタは笑っている変な状況。


それほど大きくない温泉の観光地なので道行く人達は少ないが、他の大陸からもやってきている人々はそれなりにいる。

獣人やドワーフもいるけどエルフもそれなりにいる。

冒険者がチームで休養の為に訪れているのが多いのかも。


エルフは俺とマリベルを見てハイエルフだとわかった瞬間に膝をついて頭を下げるので直ぐにわかる。


美しいメイド達を見て下品な笑いを浮かべてた連中が、俺とマリベルの圧倒的な存在感に気付いて恐怖のあまりに逃げ出す冒険者達も何人かいるな。


荒くれ者の多い冒険者だけど強さが圧倒的に離れているような場合は大人しく逃げ出す……今までどの世界に転生しても一緒だ。


それにあの程度の冒険者がエルフという魔法特化種族になにか出来るとは思えないが。

マリベルのメイドはエルフ王国の選りすぐりのエリートの中から勝ち上がってきた精鋭中の精鋭。

マリベルのみではなく全てのハイエルフを信奉するあまりに、他の種族で友好的ではない連中はゴミぐらいにしか思ってないから……文字通り粉砕するのに躊躇もしないだろう。


下品にほくそ笑んでいたヤツラが粉砕される様をみたいような気もするけどね。


そんなたわいもない事を考えて歩いていたら直ぐに領主の館に到着した。

名湯と言われる温泉を楽しむ為に作ったような観光メインの小さな村だからね。

到着した足でそのまま温泉に直行。


男湯と女湯に別れて温泉を満喫。


男は俺しかいないので貸し切り状態だな。

内風呂は普通の温度の湯と高温の湯と、更に露天風呂にも岩風呂と3つに浴槽が別れているので何往復も楽しもう。


着替えるスペースを女湯と真ん中で別けて外側に内風呂の浴室。

露天風呂は更に外側となっているので女湯からはほぼ声は聞こえない。

浴槽に浸かっているとトロトロの湯が身体の疲れや悪い成分を溶かしているかのようにトロトロしていて肌触りが堪らない。

温泉に浸かっている時は何度も手を肌に滑らせてトロトロの感触を楽しむ。


フワフワでモコモコのバスローブを手早く作り、着替えるスペースの壁にある長椅子で冷えた牛乳を飲みながらポカポカとする身体をゆっくりと冷ます。

両手両足をだらりとのばして寛ぎ続行。

なかなか冷めないのが温泉の良さなんだけど……汗が止まらないな。

でも少しずつポカポカが抜けていく感覚も気持ち良くて堪らない。


着替えるスペースの長椅子に寝転がり軽く寝る。


20分ほど寝るとかなり落ち着いたな。


バスローブごとクリーン魔法でキレイにしてから普段着に着替える。


着替えるスペースから外に出たが女性陣はまだ誰も出てきてないようだ。

まだまだ温泉を満喫中なんだろう。


領主の館にいるのは俺達の団体のみ。

メイドや執事は領主が来ていないし、ここには元々誰も住んでいない。

管理者の村長が使用人を使って毎日清掃して管理してるだけだ。


暇なので領主の館の全てをクリーン魔法で綺麗にする。

うん、ピカピカになったな。

キッチンの広さは流石国内トップクラスの辺境伯家の領主の館。

領主が接待でも使えるように広く作られて、複数のシェフが料理出来るようにスペースは多めだ。


まだ皆、温泉から出てこないな。

暇潰しに天むすを作る。

具材はまだ1人で龍の森で遊んでた頃に山ほど作り置きしてあるので、食べやすい大きさに軽く握って海苔を巻いていく。


海老天だけでなく豚肉の天ぷらや鶏肉の天ぷら。

アスパラや舞茸なども美味しいだろう。

天かすとネギを混ぜご飯にした変わり種の天むすなんかも作ってみた。

1個味見で食べてみたけど……なかなか美味しくできたな。

味付け海苔で天むすを作ってみたけど……俺の好みではないな。

だけどマリベルや他の人は好きなのかもしれないから数種類作る。


普通のおにぎりはまだ山ほどあるので大丈夫。


キッチンを出てダイニングルームに移動。

動くとまだ身体がポカポカしてる。

流石、アーリンドル王国でも有名な温泉。

よく冷えた麦茶で身体の中から冷やす。

寛いでいるとグレタとマリベルがやってきた。

メイドと執事達はキッチンの方に向かったので今日はここで昼食かな。

執事がアイテムボックスに入れて保存しておいた料理を出してきた。

美しい刺繍のはいったテーブルクロスや銀のカトラリーが美しく並べられる。

前菜から始まるフルコースっぽい。

ほぼ身内ばかりなのでテーブルマナーは必要ないが、常識が求められる場面なので適当には出来ない。

グレタは普通レベルのテーブルマナーだけど問題ないレベルなので大丈夫だし、俺は過去の輪廻転生で王族として叩き込まれてるので問題はない。


エルフの超一流シェフの高級ランチはめちゃくちゃ美味しいけど少し肩がこる。


食後は応接室に移動してそのままティータイム。

雑談はそのまま続く。

メイド達はダイニングルームでゆっくり食事をしている。

和気あいあいとした声がダイニングルームから聞こえてくる。

彼女達の寛ぎの時間。

俺達は会話もおざなりになり、それぞれがうとうとと舟を漕ぎ始める。

メイド達が食事を終えて俺達がうとうとしている応接室にくるまで寛いでいた。


メイド達と眠気覚ましついでに村の外を探索。

俺達が領主の館を出ると村の警備隊が護衛に回ろうとするが同行は断る。

このメンツに護衛は必要ない。

警備隊隊員が少しだけホッとしていたのは緊張していたからだろう。

辺境の村とはいえ有名な観光地の警備隊なので屈強な警備隊の隊員が揃っているようだけど……このメンバーの護衛となると足手まといでしかない。


山の中腹にある村で魔獣や獣は数多くいる。

俺達が転移魔法でやってきてから魔獣や獣は蜘蛛の子を散らすように逃走して離れていた。

村の外に歩いていくと周辺の肉食魔獣の長(おさ)達が挨拶しに現れる。


ここは山岳岩狼や岩山虎など珍しい肉食魔獣が多い。

肉食魔獣は次々と現れて俺とマリベルに挨拶していくのだが、草食魔獣は色々いるみたいだけどもちろん誰もやってこない。


肉食魔獣がうようよといるところにノコノコやってくるような、チャレンジャーのバカな魔獣はいないだろう。


挨拶って言っても顔を見せにやってきて頭を下げていくだけなんだけどね。


エッシェンバッハ辺境伯領の外れにある山岳地帯は、岩山となっていて木々はあまり生えていない。

岩山の山頂は巨大な湖となっているが、そこは他の貴族の領地。

この岩山を境にして反対側は雪深い場所の豪雪地帯。

冬季のこの時期、数種類の寒さに弱い魔獣はエッシェンバッハ辺境伯領にやってきて、岩山の数多くある洞窟の中で冬眠している。

元々岩山の豪雪地帯側で暮らしている魔獣はほとんどが雪のなかで平気な魔獣。

この豪雪地帯の魔獣の毛皮が特産品として有名。

この冬季の時期のみ雪と同化して白銀に輝く長毛種の美しい毛皮は、世界中の金持ちから愛されて超高額で取引されている。


そのお陰もあって豪雪地帯は猟師のみが活動している一攫千金の場所。

返り討ちにあい魔獣に喰われる猟師も多い。

作者からのお願いです。


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