第81話
孫バカに進化した祖父はグレタを連れてエッシェンバッハ辺境伯のところに行った。
エッシェンバッハ辺境伯はグレタの槍の才能を見抜き、自分の知り合いで一番槍の教え方が上手い師匠を紹介。
それがテオの弟子。
師匠はテオにグレタを見せ、結果テオも師匠もグレタを可愛がって育てる。
その後2人の弟が産まれるが弟2人も同じ師匠に弟子入りして可愛がられる。
なぜ法務局の内勤畑貴族のカラマンリス家が、エッシェンバッハ辺境伯と繋がりが出来たのかは、祖父の孫バカとグレタの才能のおかげとなっている。
イングリッドの運動神経の良さとダニエルの冷静沈着で素直な性格が受け継がれたグレタと弟2人は、師匠とテオに殊更可愛がられ……ある意味鬼畜のような鍛え方をされてしまう事になるが。
鍛えれば鍛えるほど伸びる才能を師匠は喜び、更に過酷なトレーニングが続いていくのでイングリッドは流石に心配するが、自分自身の力が伸びる事に喜びを感じていたグレタと弟2人は素直に喜んでいるので止められなかったようだ。
その後はグレタのお転婆だった小さい頃の話で盛り上がっていると、シェフが準備が終わったと報告されたのでダイニングルームに移動。
俺が上座に座るとメイドと執事が料理を運び始めた。
途中の魚料理は鰆でメインの肉料理はヘラカイオンの熟成肉を使っている本格的なコース料理。
今日の本来のメイン料理は鰆だったようで仕込みは先日から済ませていたけど、俺とグレタが急遽参加となったのでメインとなる肉を探し回っていたようだ。
知り合いのシェフのツテを探し回って見つけたヘラカイオンの熟成肉は極上品だと胸を張るシェフ。
それは楽しみだな。
思わず笑顔がこぼれるメンバー。
途中の鰆も絶品だったけどメインのヘラカイオンは確かに極上品で美味しかった。
執事がダニエルに耳打ちするとダニエルから提案された。
「ホープラー様、今夜は泊まっていかれませんか?」
「よろしいので?」
「はい。準備出来ました。今夜は語り合いましょう。」
「わかりました。」
昼食を終えるとリビングへ。
楽しい会話は尽きない。
俺の知らないグレタの失敗談なんかも出て来て、グレタ自身も忘れてた事まで暴露されてしまい、真っ赤にしてプンスカと怒っているけど、そのプンスカする姿も可愛くて魅力的に見えてしまうのは愛の成せる技か。
グレタの素直で優しい性格はこの両親から受け継いだ宝物だな。
和気あいあいと会話していると、弟2人もやって来た。
既に跡継ぎとして貴族院に登録されている長男の名前は『バレリオ・カラマンリス』
既に騎士団の寮に入って独り暮らしを満喫中の次男は『レナート・カラマンリス』
バレリオは俺が自宅に訪れていることを訓練中で聞いてなくて知らず、レナートからの連絡を聞いて初めて知ったようだ。
それで慌ててレナートと共に帰宅したらしい。
挨拶を交わした後に雑談。
「ホープラーはレナートとは初対面よね。」
「そうだね。よろしくね。」
「いえいえ、こちらこそよろしくお願いいたします。」
「ここは公式の場所じゃないから、年下の俺にそんなに畏まらなくて良いよ。」
「すみません。そう言っていただけるのは大変ありがたいのですが、なれるまでは敬語が抜けないと思いますので、ホープラー様も気にならさずに。」
「わかった。」
「バレリオとは騎士団との演習で何回も会って肉体で会話しているからよろしくね。」
「ホープラーさんには何度もお世話になってます。武器も新調してもらったし。」
「兄さんマジか? それは羨ましい。」
「レナート、それはたまたまだよ。演習中に壊れたから修理してもらったんだけど、元より性能がアップしちゃうのが意味わからないだけで。」
確かに演習の指導中に俺と打ち合った瞬間にバレリオのロングソードがあっさり折れた事があった。
あまりにも脆すぎて修理してもまたすぐに折れそうだから、直してからミスリルコーティングした簡易的な補修をしただけなんだけど。
「別に俺だけでなく騎士団全部補修してもらったから……それで大問題に発展してしまったというオマケまで付いてきた。」
「バレリオ、どういう事なの?」
「あぁ、母さんには知らせなかったけど、ホープラーさんが騎士団に納品されてる鋼になってない粗悪ロングソードってなんなんだ? と怒りはじめてね……」
思い出したよ。
あれは酷かったな。
手加減している俺と一合すら打ち合えずに壊れたロングソードがあまりにも酷くて修理したけど……
その場で調べたらその他の団員の持つロングソードもいくつかは粗悪品で、納入されてる全てのロングソードを調べたら……とある時期から粗悪品が納入されていたみたい。
命を懸けて戦い国や国民を守る騎士団に納入されてる粗悪品ってなんなんだ?
と怒りをラーフィーとミクリーに訴えた。
俺の話を聞いたラーフィーとミクリーも激怒。
極秘で徹底的に捜査開始。
俺も捜査に協力して迷彩魔法で極秘家宅捜査したりして真相究明。
会計局のとある幹部と鍛治業者が他国からの諜報員の賄賂に引っ掛かり、粗悪品を納入させて国の騎士団の弱体化と私腹を肥やす事を目論んでいたようだ。
今までバレなかったのは俺と打ち合ったロングソードが初めて実戦練習に使われた品で、それまでは正規品の在庫を使用していたために表面には出てなかっただけ。
真相究明されたのでラーフィーから犯人達に抹殺命令が下され、関係者全員が事故に見せかけて暗殺。
跡継ぎ達も関係者だったので暗殺されている。
会計局の幹部は他に男子がいなかったので、ラーフィーから養子いう調査員を送られて内部からの調査を継続している。
鍛治業者は弟子達もグルだったので、全員が揃っている時に爆殺。
工房は火の不始末という形で国に没収。
全て極秘裏で終わった話。
グレタは事後報告を受けている。
ラーフィーもミクリーも完全にブチ切れていたからな。
俺は納入されてしまった粗悪品を極上品に作り替えて証拠も何もかも消えた見えない事件。
レナートとダニエルはラーフィー達の始末の付け方に絶句。
イングリッドはクソ業者と会計局幹部にブチ切れていたけど、ラーフィー達が行った断罪にニヤリとしていた。
「済まないが……この話はここだけの話にしてくれ。せっかくラーフィー達が極秘裏に始末した話なんだからな。後ろにいる執事とメイド達もな。」
「「「「ホープラー様、了解しました。」」」」
口の固そうな連中だけどここは釘を刺す必要があるので、あえて俺は口に出して他言無用を徹底させる。
レナートとダニエルは人の良さが邪魔をしてなかなか飲み込めないようだけど、他人に話す内容でない事は理解してるんだろう……コクコクと頷いたまま絶句している。
ラーフィーとミクリーは国家の威信を傷つけられる事を嫌ったんだろうし。
犯人達がやった事はアーリンドル王国を舐めてる事なのだから。
他国からの諜報員はラーフィー達が始末したが、本国には粗悪品のロングソードを全て王城に突き刺した。
玉座の頭の部分に刺したロングソードには、ラーフィー直筆の『次は戦争だ!』という札と共に刺してある。
札にはラーフィーのサインと俺のサインが並んでいる。
他のメンバーには語られてない俺とラーフィーとミクリーだけの秘密。
諜報員だけはかなりの拷問されている。
それでも何も吐かなかったが、俺が姿を表したとたんに絶望の表情になった。
ハイエルフは記憶が覗けるって知っていたからだろう。
ラーフィーのヘルプを受けて俺も協力にのりだし、本国への報復を担当することになったから。
諜報員の記憶の中にはグレタに害を加えて、龍の森とアーリンドル王国の仲違いまで計画されていると知ったからにはな。
ハイエルフを舐めたら国ごと潰される恐怖におののいてもらう。
本国側は今後の動きを調査中。
作者からのお願いです。
少しでもこの作品を面白いと思っていただけたら↓の好評価とブックマークの登録をお願いいたします。
皆様の応援が作者の励みになります。
是非ともよろしくお願いいたします。




