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ボーナスステージの異世界冒険録  作者: 椰子獅子


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第62話

ジョルが両手首にバングルをはめてショートソードを構えるとパチパチと紫電がはしる。

ショートソードの柄頭に魔結晶があり、手首のバングルと魔結晶までの間と刀身を紫電がパチパチと走っている感じ。


ジョルが右手で握るショートソードを投げてきた。

避けようと半歩ズレるとジョルが右手首を俺が避けた方向に動かす。

ショートソードが飛んでいる軌道を変化させて俺に迫ってきた。

面白いマジックソードだな。

威力を魔法で底上げするわけでなく魔法を纏わせて追加効果を狙う訳でもなく、武器の動きをバングルで制御してるっぽいな。


冷静にショートソードを打ち払うとバチンと感電してる。

追加の雷魔法付与みたいだけど俺は木刀なんで意味がない。

龍の森の中心部の木の枝なので火花が散るほどの威力の電気が流れても焦げ跡すら残らないし。


ジョルも『お!』って関心した顔してる。


普通の木刀ぐらいなら発火しているほどの威力がある雷魔法なのに焦げ跡もなく、紫電の威力が通っているのに無傷だからな。

これぐらいの威力しかないなら龍の森の住処近くでは枯れ葉すら燃やせない。


次々と襲い掛かる左右のショートソードを木刀で捌きながら、半歩づつ踏み込んでジョルに近寄っていく。

ジョルも半歩づつ下がったり左右に移動しているので間合いは始めから変わらない。


代わり映えがしないな。

変化をつける為に攻撃を加える。

土魔法で石礫(いしつぶて)を作り出して俺の背後に10個ほど浮かせてから一気にジョルを攻撃。


ジョルは俺への攻撃を中断させて迫ってきた石礫をショートソードの根元とガードで叩いて破壊する。

始めは石礫を切っていたけど2つにキレイに切っているだけなので、小さくなった石礫の数が増えただけで……そのまま飛ばしていたら流石に面倒くさくなったらしく叩いて砕き始めた。


ここで変化をつけた。

魔法攻撃を俺の攻撃のサポートに回して、より立体的な攻撃へと変化させた。


ジョルの足元から蔦を伸ばして右足を拘束する。

蔦を切ろうとした瞬間に俺が飛び込むようにして木刀をジョルに叩き付ける。

右足の蔦を右手のショートソードで切り払いながら、俺が上段から叩き付けてきた木刀を左手のショートソードで横から叩き軌道をそらして横に逃げて俺の攻撃をかわした。


逃げた場所の後ろから飛んできた石礫を右手のショートソードのガードのバックブローで叩き割って、追撃してきた俺の木刀の突きをかわす為に左手のガードでいなしてから更に半身になって突きを避ける。

ついでに後ろにバックステップで飛び退いて間合いを開けた。


ヨハン達の師匠というだけあってこれぐらいのスピードなら対応可能なんだし、更にスピードや威力を上げてもまだまだ大丈夫そうだ。


ジョルを拘束しようとして次々と地面から蔦を生やしていくと、ジョルは火魔法で対処してくるが蔦の合間に土魔法の石礫が死角から飛んでくるし、俺も木刀の攻撃の手を休める事はない。

ジョルも次第に精神的に消耗してきてるのが俺から見てもわかるようになってきた。

笑顔が消えて必死に対処している。

しかしギリギリ対処できるスピードと威力を調整して俺は攻撃してる。


グレタやヨハン達はジョルが必死に戦っている姿を見て固唾を呑んで見守っている。


ジョルは精神的にギリギリ限界を超えた所で、防御を捨てて俺に突撃を仕掛けるという一か八かの勝負に出て来た。

爆裂魔法で蔦を薙ぎ払い俺までの道を強引に作り出して石礫を無視して突撃。

今までで一番のスピードで斬り掛かってきた。

俺の木刀すら無視して左右のショートソードで、個々別々の動きで俺の腕と太ももを斬り払ってくる攻撃。


素晴らしいね。

俺もジョルに付き合う事にする。

魔法を瞬時に消して木刀を使って防御することなく、流れるように身体を動かして摺り足の足捌きでショートソードの連続攻撃を華麗に避ける。


木刀は左手に持ちまたもや居合いの構えからの防御姿勢。

ジョルに一方的に攻撃させないように時々居合い斬りをして防御させる。


ジョルは攻撃を止めてから5メートルほど後退してバングルを外してショートソードと一緒に収納袋に入れて装備を変更。

ショートソードの柄頭にある魔結晶の魔力が尽きたようで紫電も消えたから武器を変更するんだろう。


次に取り出したのはナックルガード。

攻撃用の爪が3本付けてあって、防御用に肘までガードされてる手甲。

脚にも(すね)当てを装備している。


覇王が得意としていた格闘だな。

俺も木刀をアイテムボックスに仕舞った。

素手でなんとかなる。


「ホープラー、待っててくれてありがとうね!」


お礼と共にダッシュで突っ込んできて爪で薙ぎ払ってきた。

冷静にバックステップで避けると即座に左足で踏み込んでから、避けにくい右肘あたりへのミドルキックを放つ。

ジョルは爪での防御が間に合わずに手甲でガード。

ガードした身体ごと3メートルほど吹き飛ばした。

目をパチクリさせて驚愕したジョルが話しかけてくる。



「ハイエルフって魔法戦闘の専門家みたいな言い伝えがあるからなぁ。まさか素手格闘まで凄腕だとは予想してなかったわよ。」

「面倒くさがりなエルフを更に上回る面倒くさがりなのがハイエルフって種族なのさ。魔法だけで何でも出来るけど素手の格闘も嫌いって訳ではないよ。」

「こりゃ凄い。では全力全開の本気で逝きましょう!」

「フフッ、字が違ってるね。」


ジョルの残りの体力や魔力を考えるとこれがラストだな。


自分の足の裏に爆裂魔法を仕掛けて突撃スピードを上げてからの攻撃。

俺が対応するために構えると俺の背後でも爆裂魔法を仕掛けてきた。

目眩(めくら)ましだけではなく俺の目の前にまで広がる範囲魔法を仕掛ける。


俺の視界を一瞬だけ塞いでスライディングキックを仕掛けてきた。

視界は奪われているけど気配はビンビンに感じているので足を踏ん張ってガードする。

ガードされた足にカニばさみを仕掛け転ばせようとしてくるがそれも踏ん張ってガード。


寝転がるジョルを捕まえようとするが転がるスピードを上げて、俺の掴む手をかわして下から爪で斬りつけてくる。

後ろに下がって爪を避けるとその間にジョルは立ち上がる。


この手甲と脛当てを付けた格闘攻撃が金虎獣人独特の戦闘……

『覇道』

と呼ばれてる格闘スキル。


俺に当たらない左足のハイキックを繰り出してきて脛当てが光ったと同時に俺の目の前に爆裂魔法が炸裂。

追撃するために左足を地面に付けてから右足の後ろ回し蹴り。

俺は気配を読み爆裂魔法は無視して右腕で後ろ回し蹴りをガードしながら、左足でジョルの軸足にローキックをして転ばせるように掬い上げた。


ジョルが空中で回っているうちに追撃の右ストレート。

ジョルは回りながら俺の右腕を斬りつけようと爪で攻撃してくるが、いつの間にか俺の右腕に纏っている土魔法にガキンと阻まれて切れない。

すると俺の右腕に爪を引っ掛けたまま右ストレートをかわした。

避けた事で俺が身体が流れていく力を利用して俺の右肩を踏み台にして飛び上がって俺の後ろ側に回り込む。

着地と同時に踏み込んで右爪のストレート。

俺は踏み台にされて更に流れた身体を傾けて身体を縮め、右爪をかわしながら手首を掴み一本背負いにもっていった。

ジョルは投げられる時に自分から飛び上がり、右手首を(ねじ)って捕まれているのを外し、自分から飛び上がった事で叩き付けられるのを阻止して飛んでから転がって6メートルほど離れた所まで離脱した。


いやぁ、面白いわ。

動きの流れの中でも色々な攻撃を仕掛けてくる。

ジョルも同じように考えているのかニヤニヤしてる。


ん?

ジョルの魔力は増えてないし、爆裂魔法を連発してそろそろ魔力が尽きている筈なのに爪が光はじめた。

ナックルガードはマジックウェポンなんだな。

しかも脛当てもマジックウェポンだ。

またもやハイキックと一緒に爆裂魔法が炸裂する。

脛当てが爆裂魔法を発動してるんだ。

これは珍しい『武器』だわ。




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