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ボーナスステージの異世界冒険録  作者: 椰子獅子


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第59話

王宮執務室を鑑定魔法で探るとラーフィーとミクリーがいてもう1人……執事長がいる。

彼らだけなら大丈夫だろうと俺は控室から、コン・ココン・ココン・コンコンと決められているリズムでノックする。

しばらくしてから『ホープラー良いぞ』とラーフィーとミクリーの声があり、執事長が扉を開いてくれたのでグレタと手を繋いだまま部屋に入る。

ラーフィーから挨拶してミクリーも話し掛けてくる。


「おはよう、ホープラー。今日はデートの日か。グレタもおはよう。」

「おはようホープラーとグレタ。朝から呼んで悪いな。」

「2人ともおはよう。アニーにはもう伝えたから。トルベッケトラース通商衛星国の本国にすっ飛んでいったよ。」

「ラーフィー王とミクリー宰相、おはようございます。」


俺とグレタも挨拶を終えると執事長がお辞儀してから執務室を出る。

すぐにメイドを連れて戻ってきて4人にコーヒーを準備してくれた。

なのでメイドと執事長が退出するまで他愛もない話をする。

4人だけになるとミクリーが知っている事を説明してくれた。


全世界に向けてラハティカンナス獣人国が旧デバッケルフラート教国に勝利し、この大陸に国を移動したと正式発表があった。

移動してきた理由は2ヵ国から宣戦布告もなく一方的に挟撃されて移動を決意したと発表。

これから2ヵ国に対して改めて宣戦布告をして戦争状態を今後も続ける。


土地を追われた怨みを永遠に忘れない為に定期的に船で戦力を送り続けて2つの国を絶えること無く荒らすと宣言を出した。


撤退戦で散々な目にあわせただけでは不十分なほどの被害が今でも残っている。


その上で世界中の獣人にラハティカンナス獣人国を解放して集結するように呼び掛けた。


呼応して集合をしようとしてる獣人。


しかしながら……

トルベッケトラース通商衛星国の本国からのワイバーン定期便の手紙で世界中の獣人の一部がラハティカンナス獣人国への移民を希望してるのに、ほぼ全ての国が勝手な移民を一切認めないとの公式見解を出した。

理由は国ごとに違うようだけど移民どころか移動すら制限してる国も多過ぎるぐらいにある。

更に理由もなく一方的にラハティカンナス獣人国との交易すら禁止を通達してきた。


獣人は最下層の安価な労働者として奴隷のように使っている国は勝手に移動されると困ることになるので許すはずがない。


移民したいという住民情報を遮断してまで移動させてないのは、獣人のみなのであまりにもおかしいし異常なまでに神経を尖らせていると、トルベッケトラース通商衛星国の商人の間で……

『違法な隷属魔法を使用して獣人を無理矢理押さえ込んでいる』

という情報が出てきた。


という状況らしい。

この件では何人かのハイエルフが既に動き出していて、そこにアニーが先程加わったから……

俺の出番は無さそう。

だけど、今日はグレタとラハティカンナス獣人国でデートするとラーフィー達に伝えたら、ラハティカンナス獣人国の国民達の状況や街の様子を見てきて教えて欲しいと言われる。


それなら街の中を歩き回るだけで集められそうだなと了承した。


話が終わったみたいなんでラハティカンナス獣人国用に変装してからグレタを連れて転移魔法で移動した。

移動に選んだ場所は今はまだ工事中で手付かずになっていて絶賛放置中の教会跡地。


以前この新ラハティカンナス獣人国首都『マエンタウスタ』にやって来た時はまだ正式名称が発表される前だったけど、ラハティカンナス獣人国が正式に移動したことと一緒に首都名マエンタウスタも発表されている。

この名前は旧大陸にあった首都名とも違う名前で、太古の昔に滅んだ獣人国の首都名を使っている。

この名前からもわかる通りにラハティカンナス獣人国は世界中の獣人の結集を呼び掛けているのが本気だとわかる。


他の大陸の獣人が全て迫害されている訳では無いけど、人間至上主義者の権力者達は数多く存在していて、そういう国では奴隷『のような』扱いを受けているのも事実。


それらの国では獣人は最下層に位置付けされていて、どんなに功績を積んでも出世できないようにされて利用しつくされている。


同じ亜人でもドワーフとエルフは特別な技術を持っているので優遇している。


実際にラハティカンナス獣人国を挟撃した2つの国では、獣人の人権はほぼ認められていないし、戦争の初期に最前線に立たされてたのも各地から強制連行された獣人や、ラハティカンナス獣人国から拉致された獣人。


拉致されたり強制連行された彼らが戦争中に寝返って、ラハティカンナス獣人国に亡命して2つの国には多大な損害を与えている。

なのでラハティカンナス獣人国は戦争で多数の亡命者を抱えた為に戦争前よりも国民の数は増えている。

獣人は戦争で多数の被害を受けたけど、死者の数は挟撃した2つの国の方が3倍以上……怪我人まで含めた死傷者の数は5倍近い。

2つの国の死傷者の合計は軍人のみで10倍にもなる。

ただ敵の移動を遅延させてなるべく多くの損害を与える為だけの撤退戦で、ゲリラ化した冒険者を使った補給線潰しや、占領軍が町に入って就寝中に町ごと爆破したりして大損害を与えている。


ラハティカンナス獣人国では世界中の人間至上主義国に対して、獣人の解放とラハティカンナス獣人国への移民を求めている。

人間至上主義国家はそれに対して反発して『隷属魔法』で獣人の動きや声を規制した……


ってのが今回浮き出てきた問題の簡単な説明。

既に何人かのハイエルフが動いている。

人間至上主義国家の中枢はハイエルフすら下に見ている奴らもいるみたいで、アニーからの念話連絡では既に証拠を突き付けられて逆ギレしてハイエルフに襲い掛かってきた事例もあるみたい。

王族どころか王城と首都ごとまとめて潰されたようだけど。


その潰された国の獣人は全てラハティカンナス獣人国へ転送されてるから、続々と住民が増えていってるよとの連絡もあった。


アニーからの注意では……ラハティカンナス獣人国へ複数の国からスパイが入り込んでいて、ゲリラ活動をするように準備中だから気付いたら潰しておいてと頼まれた。


うーん、頼まれ事が増えてくな。

断るつもりもないし。


グレタと手を繋いで新首都マエンタウスタを歩く。

前に来た時よりも活気に溢れていて盛況な感じ。

冒険者がかなり多かった以前よりも普通の住民の方が多くなっている。

屋台も増えているし店に並んでいる商品も種類が豊富になっているようだ。


前に来た時は無かった本屋がオープンしていたのでグレタと入る。


本棚にびっしりと並ぶ様々な本。

タイトルのみではわからない本もあるので、時には手に取って斜めに読む。


やはり獣人の国柄かテイマー能力開発とかテイムする魔獣の相性をアップさせるトレーニング方法など、テイマー関連の本はかなり多くて本屋に並んでいる本の3割はテイマー関連。

面白そうなテイマー関連の本は無かった。

知っていることばかりで真新しさは皆無だったので、テイマー関連じゃない本で面白そうなのを探す。

獣人の世界分布など面白そうで購入。

世界中の獣人国の歴史や今現在の獣人国での環境なんかも面白そう。


亜人と呼ばれるドワーフ、エルフ、獣人……そしてそれらのハーフの人々。

彼らが迫害を受けてきた歴史なんかの本も面白そうで購入する。

ハイエルフに対する考察の本を斜めに読んで……意外と良さそうでこれも購入。


こんな感じで10冊ほど購入した。

グレタも何冊か購入していた。

本屋を出てきたらちょうどお昼頃だった。

まずは腹ごしらえだな。


お昼御飯はグレタの希望もあってガッツリ食べる事に。

海が近いから海鮮系のお店を探す。

ラハティカンナス獣人国の冒険者ギルドに所属する、Sクラス冒険者の『ヨハンネス・チッコリーニ』通称ヨハンが以前教えてくれた店に行ってみることにした。


刺身等の生魚系は無いけど、煮魚と焼き魚の美味しい店が海辺の方にあって、地図に書いて教えてもらった店

『パルヴィス・デ・コンティ』

がかなりヤバいらしい。


グレタと手を繋いで店まで歩く。

グレタは普通のワンピースにジャケットを羽織っているだけのシンプルな服で、俺は革のジャケットとカーゴパンツのラフな格好。

しかも変身魔法でハイエルフではなく犬獣人に変身している。


パシーに教えてもらったけど、魔道具でハイエルフを隠そうとするのは無理がありすぎるらしい。

普通は変身魔法で獣人になった方が無難なんだと。

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